第87話 光の帯
これは、私が数年前に体験したお話です。
その頃、関東地方の某県で単身生活を送っていた私は、仕事がお休みの日には周囲のパワースポットを愛車のMTBで周遊し、楽しんでいました。
その中でも、お気に入りの神社がいくつかあり、月に何回か入れ代わり立ち代わり参拝していました。
特に足げく参拝したのは、海のそばの丘に鎮座した、こじんまりした神社です。
静かな漁村なんですが、すぐそばには旧海軍基地だった公園や、防衛大学の施設があり、ちょっと不思議な感覚に捉われる所です。
神社の鎮座する丘なんですが、境内前の一の鳥居から見上げますと、不思議な気が立ち上っているのが分かります。
こんな私でも分かるんですから、スピ系のスペックホルダーの方なら多分もっとはっきりと分かると思います。
私は一礼すると、階段を上がり、鳥居をくぐりました。
その頃、日曜日になれば朝からここを訪れ、近くの公園を散策して帰るといった生活を送っていました。
拝殿は、階段を上がった丘の中腹に鎮座されています。
拝殿までの階段を、一歩一歩踏みしめながら上がります。
拝殿の前に立ち、大地から込み上げて来る不思議な気に身を委ね乍ら、御祭神の夫婦神に日々のお礼と誓いを奉ります。
お参りを済ませ、振り返ると家並みの間から海の蒼い水面がみえます。
ここからの景色、何かほっとするんですよね。
それと、ここには神社猫がいまして、見る者の心を和ませてくれるんですよ。
近寄ってもなかなか撫でさせてはもらえませんが。
お参りが終わっても、私はそこからすぐに帰るでもなく、しばし佇んでいたりします。
神気を、身体に蓄えていくんです。
この頃でした。私が「神気の鎧」を意識するようになったのは。
お参りをした帰りなんですが、何となく身体を包み込む不思議な気を感じるようになったんです。
其れは、他の神社にお参りした時も同様でした。但し、私と波長が合った場合と言う条件付きですが。
私は神々の恩恵を堪能した後、周囲の景色を携帯のカメラで納めて行きます。
勿論、拝殿にカメラを向ける様な失礼な事はしません。あくまでもその周囲を撮影
するくらいです。
拝殿を撮影としても遠方からの画像となります。
何枚か画像を撮った後、私は近くの公園を散策してから家路に着きました。。
マンションに戻ると、私はすぐに撮影した画像を確認しました。
時々写るんです。
緑色の不思議な光の帯が。
人によってはただのゴーストだと言う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、時間は色々なんですが、だいたい決まった場所で映るんです。
階段の中腹辺りで。
其れも不思議ですよね。
特に日光に向けてシャッターを切っている訳でもないのに。
その日も、階段の辺りと、社務所の前あたりから階段を見上げるようなアングルで何枚か撮影しました。
見てみると・・・写っていました。
一枚だけ。
でも、何となくいつもと違う。
映っていたのは、石段の下の方。
それに、色が緑じゃない。
蒼。しかも、鱗の様な模様が入っている。
これは・・・。
私は息を呑みました。
画像を凝視する余りに、瞳孔が大きく開くのを感じます。
写っていたのは、光の帯だけではなかったのです。
青い光の帯より、少し上の石段に、ぼんやりと人の姿が写っていました。
巫女の様な装束を纏った女性・・・恐らくは、神代の時代の。
何となく、私の方を見て、静かに微笑んでられるように見えます。
女神様?
それに、蒼光の帯は、ひょっとしたら龍神様なのか・・・。
写っていたのは、これ一枚だけでした。
その後も何度か足を運びましたが、同じ画像を収める事は出来ませんでした。
また、その後、特に何も変わった事は起きませんでした。
でも。
何か、この一枚で勇気づけられたような気がします。
神々はちゃんと見守って下さっているのだと。
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