第84話 息子が・・・
これは、以前私と一緒に仕事をしていた、四十代の女性の方から伺ったお話です。
彼女は霊感が強く、家で足だけの何者かを目撃したこともあるそうです。
また、会社に来たら、ある従業員の顔が真っ黒に見えたとか。因みに、その従業員ですが、その後、特に何も健康上の異変も何も起きてはいないです。
ひょっとしたら、私達の知らないところで何かあったのかも知れませんが。
これから紹介するのは、彼女の体験談の中でもちょっと不思議なお話です。
その日の夜、彼女はふと夜中に目を覚ましました。
見ると、一緒に横で寝ていたはずの小学生の息子が、布団から転がって床に寝ていたのです。
彼女は慌てて息子を布団の上に戻そうとした時でした。
彼女は気付きました。
自分の隣で、しかもちゃんと布団の上ですやすやと寝息を立てている息子の姿に。
じゃあ、床に寝ているのは――。
彼女は再び床に目を向けました。
間違いなく、息子でした。
息子が二人・・・そんな訳ありません。双子ではないのですから。
彼女が困惑していると、床に寝ているもう一人の息子の姿が、ゆっくりと消えて行きました。
彼女は、心配になり、傍らで眠る息子を見つめました。
母親の心配をよそに、彼は熟睡していたのでした。
彼女は混乱しながらも、ゆっくりと居間眼の前で起きた現象を反芻しました。
そして、ある結論に到達したのです。
息子は、幽体離脱したのだと。
彼女曰く、其の時はっきりと目覚めていたので、決して寝ぼけていた訳でも夢でもなかったとの事でした。
私自身、上半身だけの幽体離脱らしき現象を体験したことがあるので、彼女の話は素直に理解出来ました。
その後、彼女の息子には何も起きなかったとの事でした。
それと、この不可解な現象は、其の時の一回きりで、それ以降は起きていないらしいです。
何故、彼女の息子が幽体離脱したのかは、結局分からずじまいでした。
でもそのタイミングで彼女が目覚めたのは、何かメッセージめいたものがあったのかもしれません。
因みに、彼女は現在、体調を崩されて退職されています。
彼女が息子の幽体離脱を目撃したのは、もっと前の話でしたので、これとは関係は無いとは思います。
少しでも早く良くなって、再び職場へ復帰してくれればと心から願う次第です。
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