第32話 同感
私は、自分に合った神社を参拝した時に、必ずと言っていい程、不思議た感覚にとらわれます。
と言っても、怖い話じゃありません。
ひょっとしたら、私の只の思い込みかもってお話です。申し訳ない。
神社に参拝し、神前にて感謝と決意をお伝えした後、私は暫く境内に留まり、大体は、ぼおっと佇んでいます。
決して危ない人じゃないですよ。見た目は危ない人に見えるかもですが・・・。
実は、こうやって、神気を体に取り込んでいるんです。
拝殿のそばとか、御神木の前とかに立って、静かに呼吸を繰り替えしますと、澄んだ空気が肺いっぱいに取り込まれて、それが全身に浸透していくのが分かります。
やがて、体がほくほくと温かくなり、不思議な気が身体を包み込む――様な、気がします。
気の鎧を着る――この現象を、私はそう呼んでいます。
但し、どの神社でもよいのではなく、私と波長の合う所でなければ、こうはならないのです。
そういった神社を私は『マイ神社』と勝手に名付け、足げく通っては、神気を頂いて鎧を強化しています。
一週間で薄くへろへろになった気の鎧も、神社に参拝した後は、重厚なパワードスーツとして蘇るのです。
この事は、恐らく誰に言っても理解してもらえないでしょう。
多くの方は、何を戯言言ってんだって感じですよね。
まあ、仕方が無い。そっと胸の内に秘めていよう――そう思っていました。
ところがです。
最近、息子と会った時に、彼が徐に私と同じ事を語ったのです。
神社に参拝したら、身を気の鎧で固めるイメージをすると。
「俺もそうだよ」
私は彼に同意しました。
嬉しかったですね。息子も同じ感覚を持っていたと知って。
でも、実は最近、私はこの『気の鎧を着る』感覚から遠のいていました。
神社に参りますと、神気は感じるんですが、全て体の中に吸い込んじゃうんですよね。まるで、乾いた砂に水を撒くかの如く。
ここの所、仕事が多忙で、そのせいか心身が疲れ果てているせいなのでしょうか。
それに加えて追い打ちをかける、連日の猛暑。
自称『夏男』の私ですが、流石に皮膚を刺す暑さには堪え切れず、外出もままならぬ日々が続いていました。故に、ストレスの捌け口が無いまま、ずっと体内に溜め込んでいるからなのかもしれません。
ところがです。
この前に、懇意にしている神社でお祓いをしてもらったところ、ひっさびさに感じましたよ。『神気の鎧』を。
気持ちもすっきりしましたし、体も不思議と軽くなりました。
これでまた、しばらくは頑張れそうです。
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