第58話 無敵キャラ
ついに始まったダークマターとの最終決戦! でも俺の相手はおでんツンツン(元)勇者であり、今はおでんツンツン魔王補佐らしい。
「おい! なんでおでんツンツン(元)勇者さんが敵になっているんだ!( `ᾥ´ )」←怖いからさん付けのまま
「そうじゃ! お主はおでんツンツン罪で無期懲役になっていたはずじゃ!」
「え? そんな重たかったの?( `ᾥ´ )」
ということは、おでんツンツン魔王補佐は何故シャバにいるのだろうか。
「ふふふ、ここにいるダークマターっていう和服を着た75歳くらいの盆栽を趣味としていそうな爺さんが助けてくれたのよ」
「その通り。脱獄しても職がないだろうからダークマターなかよしフラワー軍団のアルバイトとして雇うことにしたのだ。我ら組織はアフターケアも万全なのだ。ちなみに時給は1130ゴールドだ」
「ぐぬぬ……わしの【ファイナルヘソクリパート2】があれば買収できたのに……!」
裁判の慰謝料はまだ受け取っていない。もう少し侵攻が遅ければ、逆におでんツンツン(元)勇者を仲間にできたかもしれないのに。
「くっ……! 時給1130ゴールドで魔王の味方するなんて見損なったぞ!( `ᾥ´ )」
「ふん! あれだけ私に助けてもらっておきながら新しい勇者が出てきた途端に用済みとして逮捕した奴らなんて知らないわ!」
「割と正論な気もする( `ᾥ´ ;)」
「なに納得しているんじゃ! ダークマターだったか? お主も普通の人間を手下にするなんて魔王としてのプライドはないのか!?」
爺さんは俺の頭をツッコミ気味に叩いてキレた。
「普通の人間? おでんをツンツンするというモンスターでもやらない極悪非道な犯罪を犯した彼女はモンスターを超えた存在と言えよう。彼女以上の魔王補佐はおるまい」
「そりゃモンスターはコンビニ入ったりしないからね(´・ω・`)」
俺が納得していると、おでんツンツン魔王補佐はぶるぷる震えながら大声を出した。
「みんな、おでんツンツン、おでんツンツンって! 今のうちに好きなだけ呼べばいい! 私がダークマターなかよしフラワー軍団を勝利に導き、モンスターだけの世界にして、この世からおでんを消し去ってやるわ!」
おでんツンツン魔王補佐はこちらへ勢いよくジャンプした。
「タメマン! 気をつけるのじゃ!」
「わかっている! あといい加減に名前覚えて!( `ᾥ´ )」
おでんツンツン魔王補佐の結界は確かに強い。だが主人公として負けるわけにはいかない。
「こい! おでんツンツン魔王補佐! 主人公である俺が相手だ!( `ᾥ´ )」
「待つのじゃ、トナケン! お主のクソ雑魚スキルではおでんツンツンの結界を破るのは不可能じゃ!」
「そうよ! タナケンは足を引っ張るだけなんだから、私に任せて引っ込んでいて!」←ヒロインにあるまじき発言をするアイリ
「うるせー! 俺だって主人公だ! 本編じゃないところではちゃんと修行していたんだ! こういうときのためにな!( `ᾥ´ )」
「なんじゃと!?」
そう、主人公らしく新技を繰り広げられるようになんやかんやで修行していたのだ。
「くらえ! 炎ボーボー! レベル2だ!( `ᾥ´ )」
「あ、ダメじゃ。レベルが1上がっているだけじゃ」
俺の新技にして最終奥義である「炎ボーボー(レベル2)」スキルは、これまでの炎ボーボーとは威力が違う。レベル1のときは料理や焚き火できる程度の炎を飛ばすスキルだったが、レベル2はなんと誕生日ケーキに刺さったロウソク全てに炎を灯す器用さを身につけたのだ!
ピンポン玉サイズの炎を20個ぐらい飛ばす。
「この技をくらって生き延びた敵はいない! おでんツンツン魔王補佐、これでお前もバースデーケーキや!( `ᾥ´ )」←主人公にあるまじきダサい決め台詞
「させないわ! くらえ、対炎専用バリア反射機能付きスキル(レベル5)!」
おでんツンツン魔王補佐の前に薄い結界が展開される。俺の放った炎玉×20個を全て防ぎ、さらな何百倍の大きさもある炎玉にして跳ね返してくる。ってやべー!( `ᾥ´ ;)
ドドドド!!! どかーん!!!
「ギャアアア!!!(´;ω;`)」
跳ね返ってきた特大炎玉をどうにか避けるも、威力がありすぎて地面が爆発して、なんか凄いことになり、それに巻き込まれて吹っ飛ぶ俺(語彙力ゼロ)
「タナケン! 大丈夫!?」
「だからやめておけと言ったのじゃ!」
「うぅ……二重瞼コウモリとかは倒せたのに……(´;ω;`)」
「雑魚モンスターとしか戦っていないじゃない!」
焦げかけている俺は地を這いながらアイリと爺さんの元へ逃げた。
「ふふふ、私の力はまだまだこんなものじゃないわ。炎だけでなく、水、雷、草、その他いろんな属性の攻撃も跳ね返すことができるわ。誰が来ようと結果は同じよ!」
おでんツンツン魔王補佐は腹立つようなドヤ顔で勝ち誇る。でも実際に強いから困ってしまう。
「パチパチ(拍手)、よくやったおでんツンツン魔王補佐。このままタナケンを倒したらバイトリーダーに昇格させてやろう。時給も30円アップだ」
「うぅ……俺は主人公だぞ? バイトリーダーじゃなくて社長にまで昇格させるほどの懸賞金的な価値はあるだろ(´;ω;`)」
「どうでもいいじゃろ、そんなこと!」
おでんツンツン魔王補佐が近づいてくる。アイリと爺さんが身構える。攻撃しても跳ね返されてしまうから迂闊に攻撃できない。一体、どうすれば……。
「あなた達は私の糧となるの! 私がバイトリーダーになるためのね! 光栄に思いなさい!」
「くっ……無敵キャラだからって好き勝手言いやがって(´;ω;`)」
「どうしようもないわ。多分、私の剣術でも防がれてしまうわ……」
「むぅ……物理攻撃は効かないと考えてよいじゃろう。そうなると精神的ダメージを与えるしかあるまい。彼女はおでんをツンツンしたことを結構気にしているようだから誹謗中傷攻撃は効果あるはずじゃ」
「嫌だ! 流石に誹謗中傷して勝つのは主人公らしくないから嫌だ!(´;ω;`)」
「わがまま言っとる場合か! 世界の命運がかかっておるのじゃ! 嫌なことやるのも自己犠牲っぽくて主人公感出るじゃろ!」
「それはそうかもしれない(´・ω・`)」
「二人ともふざけていないで真面目に考えて!」
アイリに怒られた俺と爺さんはシュン……と落ち込むのであった。
「ごちゃごちゃと話し合っているようだけど、無駄よ。私に弱点なんかない。さぁ、諦めて早く攻撃してきなさい!」
「うぅ……(´;ω;`)」
「あらあら、震えちゃって。早く攻撃すれば楽になれるというのに」
「ぐぬぬ、調子に乗りやがって(´;ω;`)」
「ふふふ、さっきまでの威勢はどこにいったのやら。もう一度、私に攻撃してみなさいよ」
「ちくしょー!! お前なんか結界がなければ炎ボーボーで一撃なのに!!(´;ω;`)」
「あはは、今なら結界を解いてあげてもいいわ。攻撃してきなさいよ」
「うぅ……どうせ嘘だろ。俺が撃ったら結界を展開し直して、また凄いことになるんだろ?(´;ω;`)」
「……チッ!」
「ほら、嘘だ! 舌打ちした! 絶対、結界を張ってくるんだ! もうおしまいだー!(´;ω;`)」
「いいから早く撃ってきなさいよ! ねぇ!?」
「うえーん、いつになったら主人公らしい活躍できるんだー!(´;ω;`)」
「ダサいこと言っていないで、早く攻撃しなさいよ!」
泣き喚く俺と激おこぷんぷん丸のおでんツンツン魔王補佐。万が一、なにかの事故でこの作品がコミカライズとかアニメ化したら酷い絵面だ。
「はぁはぁ……早く攻撃しなさいよ」
「うぅ……(´;ω;`)」
「のぉ、タナンン。わし、気づいちゃったんじゃが」
「爺さん、どうしたの。気づいたって?(´;ω;`)」
「おでんツンツン魔王補佐って、わしらから攻撃しかけなかったら無害なんじゃないかの?」
その場にいた全員が一瞬、静まり返る。
「な、な、な、な、何言っているの!? そそそそんなことないし!! バリアミサイル……とか? バリアレーザー? とにかく! 攻撃手段はいろいろあるし!」
めっちゃ汗をかきながら慌てだすおでんツンツン魔王補佐。怪しい( ≖ ᾥ ≖ )
「バリアミサイル? そんなスキル聞いたことないわ!」
「そうじゃ! お主、攻撃系スキル持っていないんじゃろ!?」
「うぐ……!」
「図星っぽい(´・ω・`)」
ということは――俺たちがやることは一つ!
「おでんツンツン魔王補佐を無視して、ダークマターを倒そう(´・ω・`)」
「そうね」
「そうじゃな」
「ピギィー!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい! 私と戦いなさい! ねぇ! お願いだから!」
俺達はおでんツンツン魔王補佐を素通りし、ダークマターの前に立つ。
「これ以上、お前の好きにはさせないぜ(`・ω・´)キリッ!」
「クロ待っていてね。私が仇を討つわ」
「わし、なんでここにおるんじゃろ?(今更)」
「ピギィー! ピギィー!」
各々が覚悟を決めて、ダークマターへ挑もうとする。
「フッ! よかろう! わし自ら愚かな人間共に鉄槌を下そう!」
こうしてダークマターとの最終決戦が始まるのであった。
「ちょっと! 無視しないで! まだ私は戦えるわ!」
※後ろで喚くおでんツンツン魔王補佐を無視しつつ
スキル資産家になって、異世界スローライフ!〜今度こそ不労所得でセミリタイアを目指す〜 星火燎原 @seikaend
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