第53話 きのこスープ

「おなかすいたー!」


「クロ、行儀が悪いぞ。……悪いな、爺さん、食事まで用意してもらって(´・ω・`)」


 結局、爺さんの家に泊まった俺達は腹が減ったので、ひとまず朝食を食べることにした。


「ほれ、これが朝食じゃ」


「えー!」


 テーブルに置かれた朝食を見て、クロが悲鳴をあげる。


 丸いお皿にポツンと、にぼしサイズの小魚が一匹だけ乗っている。


「これをわし、ウサ太郎、タナポポン、食いしん坊ガール、昨日から気絶している子の5人でわけあうのじゃ」


 タナポポンじゃないよ、タナケンだよ(´・ω・`)


「えー!」


「えーじゃない!!!!! お主が非常食を食べちゃったからこんなことになったのじゃ!!!!!」


「それはそう(´・ω・`)」


「……ムシャムシャ」


 クロはガッカリした顔をしながら、小魚をポイっと口に入れた。


「いや、一人で食うなよ!(´・ω・`)」


「わしの朝食がーーーー!!!!」


 また爺さん、泣いちゃったよ(´・ω・`)


「ピギィー! ピギィー!」


「ん?(´・ω・`)」


 ウサ太郎の方を見ると、布団からアイリが起きてきた。


「アイリ、大丈夫か!?(´・ω・`)」


「ここは?」


「知り合いの爺さんの家だ。そんなことよりも体は大丈夫なのか!?」


「なんともないみたい……ってセバスチャン達は!?」


 俺はアイリが気絶した後の話をした。クロが大活躍(?)したこと、クロを回収する際に噛まれて俺も負傷したこと、クロが爺さんの非常食を食べてしまったこと、クロが今日の朝食を食べてしまったこと。


「……それで私達はこれからどうするの?」


「ひとまず、タナケンハウスに戻って賞味期限が今日までのパンを回収してこないと(´・ω・`)」


「パンなんてどうでもいいじゃろ!? お主らは命を狙われているんじゃぞ!?」


「でも、どっちみちタンスに封印しているヘソクリを回収しないと餓死しちゃうし(´・ω・`)」


「餓死しそうなのはわしの方じゃ! それと食いしん坊ガールがまた寝ているぞぃ! どんだけ寝るんじゃ!」


 爺さんにブチギレられてしまう。というかあんな小魚でもドカ食い気絶スキルが発動するのか(´・ω・`)


「そもそもタナケンハウスは無事なのかしら? もしかしたら奴らに襲撃されていたり……」


「えー……じゃあ、俺のヘソクリは……爺さん、タナケンハウスの住所教えるから見てきて(´;ω;`)」


「なんでわしなんじゃ! お主らで見てくればいいじゃろ!」


「キャサリンとかセバスチャンいるかもしれないし(´;ω;`)」


「……仕方ないのぉ。ウサ太郎の散歩ついでに見てきてやるわい!」


 こうして爺さんはウサ太郎と一緒に散歩に出かけるのであった。



 ********************************



〜8時間後〜


「ただいまじゃ」


「ピギィー! ピギィー!」


「おかえり、どうだった?(´・ω・`)」


「タナケンハウスは無事じゃったぞぃ」


「なんだ、心配して損した(´・ω・`)」


「あー、それと……お主らの部屋の前にサバイバルナイフを持った美女とサイボーグなジジィが立っていたぞぃ」


「思いっきり待ち伏せされているじゃねーか!(´;ω;`)」


 これは困った。ヘソクリを取りに行かなければ俺達はここで餓死確定だし、爺さんも「いや、ここで死なれたら困るぞぃ」って言っている。どうにかしないと。


「やっぱり勇者に助けを求めた方がいいんじゃないかしら」


 アイリが提案する。ちなみにクロは寝たままだ。


「うむ。わしらではどうにもならん。素直に助けを求めるべきじゃ」


「それしかないか……本当はシャルの手を借りずに解決したかったんだけどな(´・ω・`)」


「お主が死んでしまったら世界は滅亡してしまうんじゃぞ。そんなこと言っとる場合か!」


 この間、密会したとき(※32話)はしばらく滞在すると言っていたし、最悪なことが起きる前に頼むしかないか。


「そんじゃ、爺さん。シャルに来てもらうように言ってくれ。多分、騎士団エリート部門の官舎に泊まっていると思うから」


「なんでわしなんじゃ!?」


「だって俺達は見つかったらヤバいし(´・ω・`)」


「うぅむ……仕方ない! 明日、ウサ太郎の散歩ついでに行ってきてやるわい!」



 ********************************



 〜翌日〜


「ただいまじゃ!」


「ピギィー! ピギィー!」


「おかえり……あれ? シャルは?(´・ω・`)」


「騎士団の官舎に行ったんじゃがのぉ。『なんだ、この怪しいジジィは!』と怪しまれてしまったのぉ。しかもウサ太郎を討伐しようとしてきてペットであることを説明したのじゃが聞く耳を持たず、そのまま逃げてきたのじゃ」


「それは災難だったね……ってシャルと連絡とれないじゃん!!!!!(´・ω・;`)」


「うむ。困ったのぉ……ひとまず、夕飯にするかのぉ」


 爺さんは散歩中に拾った怪しいキノコを煮て、俺達にキノコスープをご馳走してくれた。


 そして翌朝、クロを除いて全員腹を壊した。


 腹痛は一週間以上続き、俺達は爺さんの家で寝込み続けるのであった……(´;ω;`)


 ……(´;ω;`)


 いや、早くしないと魔王が攻めてくるよ!?(´;ω;`)

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