第52話 スポンサー

「うわあああああ!!!(((´;ω;`)))ジタバタ」


「こら! みっともない声を出して暴れるな!」


 俺はいつも通り、大人が出してはいけないような情けない声を発して抵抗する。決して自分の命が惜しいわけではない。今ここで俺が死んだらシャルは五大スキルを失い、街は滅ぶ。爆睡しているクロと気を失っているアイリもどうなるかわからない。そう、俺は世界のためにも死ぬわけにはいかないのだ。


 ……いろいろと理由をあげたけど、やっぱり普通に死にたくない! 誰か助けて!(´;ω;`)


「キャサリンどけ! タナケンを始末するのは私だ!」


「ジジイは引っ込んでいろ!」


 キャサリンとセバスチャンが口喧嘩を始めたが、それでも押さえつけられている力が強くて逃げられない。キャサリンめ、なにか怪力系スキルを使っているな(´;ω;`)


 俺がシクシク泣いていると、セバスチャンが叫んだ!


「っ!! キャサリン! 後ろだ!」


「はぁ? って痛ッ!!!!!!!」


 俺を押さえつけていたキャサリンの手が離れていく。


 飛び跳ねるように起き上がって振り返ると、キャサリンが大騒ぎしていた。なんと、彼女の足にクロが噛みついていたのだ。


「ハンバーグ……ハンバーグ……」


「このガキ! 寝たフリをしていたのか!」


「キャサリン、違う! その一日でバイトをクビになった少女は寝ぼけているだけだ! 夢の中でハンバーグを食べているつもりのようだ!」


「ハァ!? 意味わかんねー!」


 クロは目を瞑ったままキャサリンの足に噛みついている。


 そう、セバスチャンの言う通り、クロは寝ぼけている。


 タナケンハウスでも稀に寝ぼけて俺の頭を噛みつき、割と深刻なダメージを俺に与えることがあった。そのレアケースが今ここで発動してくれたのだ!( `ᾥ´ )


「ハンバーグ……ハンバーグ……」


「さっき食っただろ! つーか毒はどうした! クソ! 離れねー!」


「キャサリン、ジッとしていろ! わたしが引き剥がしてやる!」


「痛い! おい、ジジイ! ガキを引っ張るな! 痛いだろ!」


「顎の力が強すぎるのだから仕方ないだろう。ここまで噛みついているのだ。前世はワニかなにかだったのかもしれん」


「痛たたたたたたたたたたたたい!!!!!」


 キャサリンとセバスチャンがクロに苦戦しているうちにアイリを回収しておこう(´・ω・;`)))ソソッ


「くそ! この食いしん坊ガール、タナケンキャッスルにいたときも腹減ったとか言って手を焼いていたが、まさか私を本気で怒らせるなんて!」


「私もゴルバグ様の執事時代に誘拐したことがあるが、この食いしん坊ガールは捕まっても『お腹すいた』しか言わなかったからな」


 よし、二人がなんか話している間にアイリを回収したぞ。気を失っているだけのようだし、このままクロを回収して逃げるぞぃ(´・ω・`)


「貴様、なにをしている」


「って、うわあああ!!Σ(´・ω・;`)」


 振り向くとダークマターが立っていた。めっちゃ見られていますやん!


「帰すわけにはいかん! ここで死ね!」


 ダークマターの背中からビリッと服が破ける音がし、人を握り潰せるほどの大きな手が生えてきた。やっぱりただの爺さんじゃねぇ!(´・ω・;`)


「捕まるわけにはいかない! くらえ! 炎ボーボー!( `ᾥ´ )」


「バカめ! どこを狙っている!」


 ダークマターは俺の放った炎を避けてドヤ顔をしている。


「俺が狙ったのはお前じゃない! 店の厨房だ!( `ᾥ´ )」


「なに!? 厨房だと!?」


「そうだ! ガスコンロとかに火をつけたりしてガス爆発とかなんか凄いことが起きることに賭けるしかない! オラオラ! 炎ボーボー連打だ!( `ᾥ´ )」


「やめろ、バカモノ! このレストランにいくら金をかけたと思っているんだ! それにガス爆発なんて起きたら、もしこの作品がアニメ化したらガス会社からスポンサーになってくれなくなるぞ!」


「うるせー! この作品がアニメ化するわけねーだろ!( `ᾥ´ )」←ヤケクソ主人公


 ボッ!!! ドカーーーン!!!


 俺の願いが通じたのか、厨房でビックバン(ただの爆発)が起こり、一瞬で店内は煙に包まれる。


「逃がさん! タナケン、どこだ!」


「なんだ、くそ! 前が見えない!」


 ダークマターとキャサリンの慌てている声が聞こえる。くそ、俺も前が見えない!( `ᾥ´ )←犯人なのに


「フッ、センサーアイならこんな煙など通じ……ゴホッ! ゴホッ! しまった、気管支はサイボーグ化していなかった!」


 セバスチャンも身動きできないようだ。あとはクロを回収して逃げるだけだ!


「クロ!!! プレミアムチョコ棒をやるぞ!!!( `ᾥ´ )」


 俺がそう叫ぶと、煙からバッとクロが飛んできて、俺の左腕に噛みついた。


 クロはまだ寝ているようで、プレミアムチョコ棒という言葉に本能的に反応したのだ。頭を切り落とされたヘビが死んだ後も襲ってくるのと同じようなものだ。知らんけど(´・ω・`)←適当なこと言っている


「よし、あとは……逃げるだけだーーー!!!( `ᾥ´ )」


 こうして俺はクロに左腕を噛まれつつも、アイリを背負いながらレストランから逃亡した。



 ********************************


「というわけで追われているから助けて(´;ω;`)」


「なんでわしの家に来るんじゃ!」


「ピギィー! ピギィー!」


 俺は過去編に出てきたウサ太郎を飼っている爺さんの家に避難した。


「だってタナケンハウスの住所を知られているんだもん(´;ω;`)」


「そんなの知らんわい! わしは平和に生きたいのじゃ! わしとウサ太郎を巻き込むでない!」


「そんな……俺と爺さんの仲じゃないか(´;ω;`)」


「別に仲良くないじゃろ! わし、今まで回想編にしか出てこなかったし!」


 俺が爺さんに追い出されそうになっていると、ウサ太郎が騒ぎ出した。


「ピギィー! ピギィー!」


「うん? どうしたんじゃ、ウサ太郎」


 ウサ太郎は別の部屋を指差しながら飛び跳ねている。


「あの部屋になにがあるの?(´・ω・`)」


「あそこは食糧庫として使っている部屋じゃ。回想編でお前さんやシャルを家に入れた際、奴隷の子に非常食を食べられてしまったから、また一から買い込んでいたのじゃ」


 爺さんは「ほれ」と言いながら部屋のドアを開けた。


 ――しかし、そこに食料はなかった。


「な、な、なにぃーーー!!?? どこじゃ!? わしの食料はどこじゃ!?」


 爺さんは涙目になりながら部屋の中に入っていく。俺もあとから部屋に入る。


 やはり食料はなく、代わりにクロがぐーぐー寝ていた。


「あっ……(´・ω・;`)」


「ま、ま、ま、ま、また食われたーーー!!!!」


 爺さんは膝をつき、「わしの積立ni⚪︎aを切り崩して買い集めた食料がァーーー!!!」と泣き叫んだ。


 ……(´・ω・`)


 爺さん、ごめんよ……人(・ω・`)←謝罪オチ

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