第50話 高級ハンバーグ(大嘘)

 キャサリンに飯を奢ってもらうことになった俺達は待ち合わせ場所であるレストランの前に来ていた。


「ここがキャサリンの言っていたレストランだよな(´・ω・;`)」


 目の前には超オシャンティーな外観のレストラン。建物の周りをオシャンティーな噴水が囲んでおり、オシャンティーな入り口へ続くオシャンティーな通路にはこれまたオシャンティーなライトアップがオシャンティーされている。


「ここ知っている! ミシュ⚪︎ン三つ星の超高級レストランじゃない!」


 アイリが珍しくテンションアゲアゲで言う。この世界にもミシュラ⚪︎があるのか(´・ω・`)


「ハンバーグ! ハンバーグ!」


「あ、クロ! 待つんだ! 俺達のみすぼらしい格好じゃ追い出されるぞ!(´・ω・;`)」


 超高級レストランへの偏見を持っていた俺は、無謀にも店へ入ろうとするクロを止めるべく追いかけた。


「お待ちしておりました。タナケン様ですね?」


「ほへ?(´・ω・`)」


 ウェイターらしき黒服の若い男はニッコリと歓迎するように微笑む。


「キャサリン様よりタナケン様をご案内するように言われています。さあ、こちらへどうぞ」


「こんなボロボロの服でも入っていいんだ……(´・ω・`)」


「ハンバーグ! ハンバーグ!」


 店内は薄暗くて、高級そうなテーブルと高級そうなイスが多数配置されており、十中八九高級なピアノも置かれていた。しかし、店内には他に客がいない。


「あの他に客は……(´・ω・`)」


「本日はタナケン様御一行の貸切となります」


「!?Σ(´・ω・;`)」


 普通に食事するだけでも三年分の食費が消し飛びそうな店なのに、それを貸切って一体いくら必要なんだ。


「ハンバーグ! ハンバーグ!」


「ジッとしていろ(´・ω・;`)」


「ハンバーグ! ハンバーグ!」


 クロは案内された席に勢いよく座り、フォークとナイフを持ってテーブルを叩く。行儀の悪い連れですまない(´・ω・`)


「ちょっと……本当に大丈夫なのかしら」


 アイリは高級そうなシャンデリアを見ながら不安げな表情を見せる。


「だ、大丈夫だろう……キャサリンは奢ってくれるって言っていたし」


「そのキャサリンが心配なのよ。タナケンキャッスル時代もよく知らないままメイドリーダーになっていたし、本当に信用できるの?」


「ああ、それは問題ない。彼女は厳しい審査をクリアしてメイドリーダーになったからな(´・ω・`)」



 ********************************


 〜プチ回想編〜


「これよりメイドリーダー(月給1000万ゴールド)を決める審査を行う。各自、意気込みをアピールしてくれ!(´・ω・`)」


「はい! 私はメイドリーダーになってタナメン様のお役に立ちたいと思っています!」


「……(´・ω・`)」


「タフケン様! 彼女より私の方がメイドリーダーに向いていますわ!」


「……(´・ω・`)」


「タモモン様! 騙されてはいけません! こんな金目当ての二人よりも私の方がメイドリーダーに相応しいですわ!」


「……全員、名前を間違えている!(´;ω;`)」


 俺がぴえん状態になっていた、そのときだった。


「タナケン様! 私なら誰よりも完璧なメイドリーダーになれます!」


「!? 名前を間違えていない!? き、君は!?(´;ω;`)」


「私はキャサリンと申します」


「よし、キャサリン! 君がメイドリーダーだ!(´・ω・`)」


「「「ええ〜!!!!!」」」


 ********************************


 席に着いてから数分、さっきと同じウェイターが料理を運んできた。


「お待たせしました。ミ⚪︎ュラン三つ星の超高級デラックスハンバーグです」


「おお、これが……(´・ω・`)」


 運ばれてきたのは大きなハンバーグ。デミグラスソースがかかっており、お子様ランチで見かける国旗らしき旗が10本ぐらい刺さっている。


「俺、こんな高そうな店で食べたことなかったから知らなかったけど、高級ハンバーグって国旗が10本も刺さっているんだな(´・ω・`)」


「……これが本当に⚪︎シュラン三つ星なのかしら」


 アイリはなにか言いたげな顔をしていたが、クロが「ハンバーグ! ハンバーグ!」と叫びながら食べ始めたので、俺も食べることにした。


 ナイフでハンバーグを切っていく(´・ω・`)ギコギコ


「ん? ハンバーグの中になにか入っているぞ……なんだこれ? カプセル?(´・ω・`)」


「はい。そちらは猛毒カプセル……じゃなかった。サプリメントです。私達の店はお客様に健康でいてもらうために栄養だらけのサプリメントを入れているのです。そこも評価されて当店は、一部のファンからミシ⚪︎ラン四つ星とも呼ばれているのです」


「へー、高級店って客のこともしっかり考えているんだな(´・ω・`)」


 俺がハンバーグを口にしようとした瞬間だった。


「そんなわけないでしょ!」


 アイリに手を叩かれてハンバーグがブッ刺さったフォークを落としてしまう。


「あああ!! ハンバーグが!!(´;ω;`)」


「高級レストランなのにこんなカプセル入っているわけないじゃない!」


 アイリはウェイターを睨みつけ、「このカプセルはなんなの!?」と声をあげた。


「ふ、ふふふ……バレてしまっては仕方ない」


 ウェイターは気色悪い笑みを見せると、途端に顔がしわしわになっていった。


「お、お前は……!?Σ(´・ω・;`)」


「あなたは……!」


「久しぶりだな、タナケン、アイリ、ついでに初日でクビになった娘よ」


「「セバスチャン!!!」」


 俺とアイリの声が重なる。


 そう、目の前にいたウェイターの正体は、セバスチャンだった。ゴルバグの執事であり、税務署にタレコミしやがった超悪人である。


「さっきまで若い男に化けていたのはどんなマジックだ! コスプレ系スキルか!?(´・ω・`)」


「フン、これを見ろ!」


 セバスチャンは袖をまくり、右腕を見せる。それは人の腕ではなく、ロボットのような銀色の腕であった。よく見ると、顔も半分ぐらいメカメカしいし、右目に関しては変なスコープついている!(´・ω・`)


「貴様のせいでゴルバグ様は逮捕され、私は無職となった。そこで私は税務署にタレコミして貴様にも同じ苦しみを味わってもらおうとしたけど、なんか知らんままに金持ちになって悔しいから年金をはたいて体の60%をサイボーグにしたのだ!」


「なるほど。意味がわからん(´・ω・`)」


「つまり、私は貴様を潰すために魂を売ったということだ!」


 セバスチャンの右腕がガトリングに変形して、銃口をこちらに向けてくる。


「ちょ、まっ!?(´;ω;`)」


 俺は突然のことに目を瞑るがガトリングが火を吹くことはなかった。


「タナケン! 早くクロを連れて逃げて!」


 アイリがハンバーグ用のナイフを投げて、セバスチャンを怯ませたのだ。


「くっ……! アイリ、私の恩を仇で返すつもりか!?」


「ゴルバグと一緒に騙しておいて何言っているの! それにハンバーグの中に入っていたカプセルはなに!?」


「猛毒に決まっているだろう! お前とタナケンは食べなかったようだが、食いしん坊の方は口にしてしまったようだな!」


「なっ!? タナケン! クロは!?」


「え? 寝ているけど(´;ω;`)」


 クロは俺達が会話している間にハンバーグを食べたようで、さらに俺とアイリのハンバーグも消えていたから、おそらく一人で三個食べてしまったようだ。


「すやすや……(寝息)」


「普通に寝ている(´・ω・`)」


「そんなバカな!? キャサリンの使った毒よりも強力な猛毒カプセル(一個10万ゴールド)だぞ!? それも一粒で大型モンスターを瞬殺できる猛毒なのになぜ生きている!?」


「さあ?(´・ω・`)」


 セバスチャンは涎を垂らしながら寝ているクロを信じられないといった表情で見ている。


「ん? 今、キャサリンの使った毒って言った?(´・ω・`)」


「くっ! バレてしまったか……あ、いてっ!」


「いてっ! じゃねーよ! ジジイのせいでバレてしまったじゃない! 死ね!」


 そこに現れたのはキャサリンだった。セバスチャンの頭を後ろから叩き、俺達の方に近づいてくる。


「キャサリン! いたのか!(´・ω・`)」


 あの敬語だらけのキャサリンがめっちゃ口が悪くなっている。これがギャップ萌えなのか(´・ω・`)←絶対違う


「まさか毒が入った寿司を置いていたのはキャサリンだったのか!(´・ω・`)」


「そうよ! マヌケなアンタ達のことだから死んだと思ったんだけどね。まさか毒に気づいて捨てるなんてね」


「いや、全部食べたが?(´・ω・`)」


「は?」


「ほとんどクロが食べたが?(´・ω・`)」


「……そんなわけないだろ!! 人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ! てめぇ!」


「ひい!!!!(´;ω;`)」


 ブチ切れるキャサリンに俺は泣くことしかできなかった。メソメソ(´;ω;`)


「あなた達! どうして私達に毒薬を食べさせようとするの!?」


「アイリ、それを知る必要はない。何故なら……お前達はここで死ぬからだっ!」


 再びセバスチャンがガトリングを向けてくる。同時にキャサリンもサバイバルナイフみたいなものを構える。二人とも、やる気満々ですやん(´・ω・`)←状況の整理が追いつかない主人公


「タナケンは私が殺るわ。ジジイは小娘二人を始末して」


「私に指図するな。タナケンは私が始末する。そのためにお前達の仲間になったのだ」


「は? ふざけんな。あのタナケンとかいうゴミクズ野郎はメイドリーダーなんてふざけたことを私に押し付けてきたんだぞ?」


「私だって奴のせいで執事の職を失ったのだ。自らの手で葬らなければ気が済まない」


「俺、めっちゃ嫌われていますやん(´;ω;`)」


 セバスチャンとキャサリンが揉めている間、俺とアイリは目でコンタクトを送り、逃げるタイミングを伺う。相手のチームワークは最悪だ。これなら逃げられそうだ。


「アイリ、今だ!(´・ω・`)」


 俺はすやすや寝ているクロを抱えて店の出入り口へ走る。


「このまま逃げるぞ! ってアレ? アイリは?(´・ω・`)」


 俺が振り返ると、アイリはナイフを持ってセバスチャン&キャサリンと戦っていた。


「なに逃げているの!? 戦うんじゃないの!?」


「え!? 逃げるんじゃないの!?(´・ω・;`)」


 俺達のチームワークもぐだぐだだった。


「ちくしょー! なら戦うしかねー! くらえ! 久しぶりの炎ボーボー!( `ᾥ´ )」


 俺の放った火の玉×2はセバスチャンとキャサリンに向かって飛んでいった。


「フッ! そんな低級スキルが私の対魔力反射ボディに通じるわけなかろう!」


 セバスチャンはそのまま火の玉を鋼のボディで受け止めて、直撃したところを手で払っていた。無傷っぽい。


「ハァ!? こんなので私を焼けるわけねーだろ!」


 キャサリンはサバイバルナイフらしきもので、火の玉を真っ二つにしていた。


 …………( `ᾥ´ )


 アイリ、やっぱ逃げない?( `ᾥ´ )←万策尽きる主人公オチ

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