第45話 五大スキルの使い方

「よし! 結界を直しに行くぞ!(´・ω・`)」


「ふふっ、ここで成果をあげれば勇者への道が近づきそうだね」


「うえーん! おうち帰りたーい!」


「すやすや……(寝息)」


 ヤケクソ、野望、号泣、睡眠……各々が決意を固めて、本格的に結界を直しに行く。ぶっちゃけ不安しかないぜ!(´・ω・`)


「シャル、確かスキルって他の人に貸したりできるんだよな? どうやってやるんだ?」


「スキル玉が体内からポンって出るイメージしたり、驚いたり、物理的な衝撃があると出るよ」


「OK! 出ろーーーー!!!!(´・ω・#`)」


 ポン! ポン! ポン! ポン! ポン!


「うわっ! まぶしっ!(´>ω<`)」


 俺の体から飛び出た五つのスキル玉(めちゃくちゃ眩しい)、この五大スキルを駆使してなんとかするしかない。


「凄く眩しいけど、このレベル999のスキル達はなんなの?」


「五大スキルだ」


「五大スキルって?」


「知らん(´・ω・`)」


 シャルに「教えてよー!」と訊かれまくるが、ひとまず彼女にスキル玉を押し付ける。


『神の第六感(ゴッド・シックスセンス)スキル』と『神速の電光石火(ゴッド・ライトニングファースト)スキル』の二つを押し付けた。


 第六感による危機察知と瞬間移動を合わせれば、攻撃を避けてくれるだろう。これで足手まといにならないはずだ。


「次は奴隷の子、これを押し付けておこう(´・ω・`)」


 奴隷の子には『神の絶対防御(ゴッド・アブソリュート・ディフェンス)スキル』を押し付けた。


 ほとんどの攻撃を自動的に防ぎ、跳ね返してくれるっぽいから寝ていても死ぬことはないだろう。この子、他のスキルを渡しても使いこなせないだろうし。


 俺の手元に残したのは、剣術スキル『無敗の一刀両断(Undefeated Cut in two swords)スキル』と自己治癒スキル『両生類の自己再生(ウーパールーパー・セルフ・リプロダクション)スキル』だ。


 前者はやっぱり主人公だし、美味しいところは持っていけるように手元に残した。後者はシャルと奴隷の子に防御寄りのスキルを押し付けて自分の身を守る術が減ったから、流石に一つは残しておきたかった(´・ω・`)←チキンな主人公


「私は……?」


「え?(´・ω・`)」


 おでんツンツン勇者は俺のことを睨みつけるように見ながら「なんかくれ」と言いたげに手を出してくる。


「おでんツンツン勇者さんは結界スキルがあるから大丈夫じゃないですか(´・ω・`)」


「うわーん! 仲間外れされたー! 私がおでんツンツンしたからって仲間外れされたー!」


「泣かないで(´・ω・;`)」


 俺はめんどくせーと思いつつも、シャル、奴隷の子、おでんツンツン勇者を連れて湖へ向かった。道中、2000回ぐらいおでんツンツン勇者が帰ろうとしたが、どうにか引き留めた。めんどくせー!(´・ω・`)


 なんやかんやでモンスターに鉢合わせることなく、湖近くの森に辿り着いた。俺の背中ですやすや寝ている奴隷の子はまだ起きそうにない。


「剣になりそうな物、落ちていないかな……ってん?(´・ω・`)」


『グルルルル……』


「も、モンスター出たー!:(;゙゚'ω゚'):」


 目の前に現れたのは全身が白と黒の縞模様が特徴のライオンだった。大きさは小学生の頃に動物園で見たライオンの二倍ぐらいある。


「アレはシマウマライオンだよ! シマウマっぽい見た目をして油断したところを襲う恐ろしいライオンだから気をつけて!」


 流石、シャル! 勇者を目指しているだけあってモンスターに詳しいぜ! でも縞模様なだけで全然シマウマっぽくないぜ!


「かかってこいや! 最強の四人が相手になってやるぜ!(´・ω・#`)」


『グオオオオオオ!!!!!』


「ひぃ! おでんツンツン勇者さん、結界をお願いします!」


「えぇ!? 私!?」


『グオオオオオオオ!!!!!』


 こちらに飛びかかってくるシマウマライオン。間一髪のところで、おでんツンツン勇者は結界を展開した。


 しかし、結界が展開しているのはおでんツンツン勇者の周りだけで、俺はなんも守られていなかった。普通にシマウマライオンに追いかけられる俺。


「おでんツンツン勇者さん! 早く俺にも結界を!」


「止まってくれないと結界を張れないよ」


「そ、そんな……止まったら死ぬ!(´;ω;`)」


 奴隷の子を背負っていることもあって……いや、そもそも瞬間移動スキルなしでライオンから逃げられるわけないだろ!(´;ω;`)←理不尽な現実に怒る主人公


『グオオオオオオオ!!!!!』


「う、うわああああ!!!!!(´;ω;`)」


 ガキン!!!


 凄い音がした。俺の背中に噛みついたシマウマライオンの牙が折れた音だ。


 そう、シマウマライオンが噛みつこうとしたのは、俺の背中ですやすや寝ている奴隷の子だった。つまり、さっき押し付けた『神の絶対防御(ゴッド・アブソリュート・ディフェンス)スキル』が発動して、カウンターが炸裂したのだ。多分。


『クゥン……』


 自慢の牙が折れたシマウマライオンはトボトボと歩きながら逃げる。


「二人とも大丈夫!?」


 シャルが駆け寄ってくる。その後ろから涙目のおでんツンツン勇者が追いかけていたが走るのが遅くてどんどん距離を離されていた。


「俺は大丈夫だが、奴隷の子は!?」


「すやすや寝ているよ」


「あれだけ大きな音が出ても起きないのか(´・ω・`)」


 その後もモンスターと遭遇する度に俺は逃げたが、最終的に追いつかれて背中を攻撃され、奴隷の子に当たったことで『神の絶対防御(ゴッド・アブソリュート・ディフェンス)スキル』が発動して追い返す流れが続いた。


「奴隷の子は盾だった……?(´・ω・`)」←逃げているだけの主人公


 そして、ついに湖に辿り着いた。視界の先には大きく破けた結界が見える。


「わ、私の結界が〜〜〜!」


 おでんツンツン勇者は崩壊した結界を見て、ショックのあまり倒れ込んだ。ああなったのは全て俺のせいなんだけどね(´・ω・`)


「お、良い感じの枝が落ちている。これをタナケンオリジナルつりざお(セカンドバージョン)として使おう(´・ω・`)」


「……あんた、なに言っているの?」


 おでんツンツン勇者はタナケンオリジナルつりざお(セカンドバージョン)を見て、理解不能と言いたげな顔をする。


「これで戦うんだよ。これを振ると衝撃波が出て、どんなモンスターもイチコロなんよ!(`・ω・´)」


「はぁ……(この人、頭大丈夫かな?)」


 武器も手に入ったし、パパッと結界を直そう! ……と思った直後、結界の外側からなにやらヤバそうなモンスターが出てきた。


『我が名は全知全能の魔王モノシリ・デス。人間どもを滅ぼし、モンスターだけの世界を作る王だ』


 そう名乗った魔王は東京ドーム5個分ぐらいの大きさをした鬼のような見た目をしていた。周りには緑色の火の玉がいくつも浮いており、今まで見てきたモンスターとは雰囲気が違う。あと大きさの例えで東京ドーム何個分ってよく出てくるけど、あんま大きさイメージできないよね(´・ω・`)


「ま、ままままま魔王!?Σ(´;ω;`)」


「タナケン、落ち着いて! あの魔王をこのまま通したら大変なことになっちゃう! 冷静に対処して倒そう!」


 シャルが珍しくまともなことを言う。落ち着いていられるか!(((´;ω;`)))←本番に弱いタイプの主人公


『我を倒すだと? 愚かな! くらえ!』


 モノシリ・デスは周りに飛んでいた火の玉を二つ飛ばしてきた。火の玉はトラックのタイヤぐらいの大きさで、スピードも早い。さっきから大きさの例えがわかりづらい? 我慢してくれ!(´;ω;`)←動揺してそれどころじゃない主人公


 どうにか一つ目の火の玉をかわすことに成功したが、二つの火の玉が俺の左腕に直撃し、一瞬にして蒸発させた。


「ギャアアア!!!!! 左腕がああああ!!!!! なくなったあああああ!!!!!(´;ω;`)」


 しかし、すぐに左肩からニョキニョキと骨が生えてきて、それを包むように筋肉と皮膚が再生し、たった数秒で左腕は元通りになった。おそらくというか十中八九、『両生類の自己再生(ウーパールーパー・セルフ・リプロダクション)スキル』の治癒能力によるものだろう。


 …………(´;ω;`)


 いや、再生の仕方が怖いわ!!!!!(´;ω;`)


 こうしてモノシリ・デスとの死闘が始まった! はたして俺達は魔王に勝つことができるのだろうか!?


 まぁ、今やっているの回想編だから、結局勝つんだけれども(´・ω・`)←セルフネタバラシオチ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る