第42話 チョコ棒

『グオオオオオオオオ!!!!!!』×3


 三つ首のドラゴンによる咆哮が振動となって襲いかかる。現実世界でアニソンライブに参戦したときも同じような振動を味わった気がする。ドラゴンの正体はライブ会場だった???(´;ω;`)←混乱中


「あ、あのモンスターは!」


「シャル! あのモンスターを知っているのか!?」


「アレはドラゴン三兄弟だよ! 魔王じゃないけど、強すぎて特別にSランク認定されているヤバいドラゴンだよ!」


「名前かっこ悪いけど、めちゃくちゃ強そう!(´;ω;`)」


「見た目がカッコいいから子供達にも人気なモンスターで、一昔前に『ドラゴン三兄弟』って曲が流行っていたんだ!」


「だ⚪︎ご三兄弟のパクリ?(´;ω;`)」


 シャルと会話していると嫌な予感がした。ドラゴン三兄弟は俺を睨みつけたまま、それぞれの首が上がっていく。なにか溜め込んでいるようなモーションだ。


「ハッ!! 危ない!!=͟͟͞͞(  `ᾥ’)っ」


 俺はシャルと気絶している奴隷の子を掴んで、すぐにその場を離れた。なにもかもが一瞬だった。俺の移動速度も、ドラゴン三兄弟の口から吐き出されたブレスも。


「ぎゃふん!!!)))ω・`)」


 俺は瞬間移動とも言える自身の早さを制御できず、建物の壁にめり込む形で衝突してしまった。痛くはないが、驚いてシャルと奴隷の子を離してしまった。


「二人とも大丈夫か!?」


「うん、タナケンの方こそ壁にめり込んでいれけど、大丈夫?」


「大丈夫!(´・ω・`)ボコッ!」


 奴隷の子は口から泡吹いて気絶しているが、パッと見た感じだと大丈夫そうだ。


 さっきまで俺達がいたスーパーはドラゴン三兄弟のブレスによって、瓦礫の山と化していた。一瞬でも気づくのが遅れていたら大変なことになっていた……セフセフ(´・ω・`)


『グオオオオオオオオ!!!!!!』×3


「まだ俺らのこと睨んでいない? 結構遠くまで離れたのに(´・ω・`)」


「ドラゴン三兄弟はブレスだけじゃなくて、目も鼻も耳も優れているんだよ」


「なんでもアリなんだね(´・ω・`)」


『グオオオオオオオオ!!!!!!』×3


「うわっ! こっちに飛んできやがった!Σ(´・ω・;`)」


 俺は再びシャルと奴隷の子を抱えて逃げる。しかし、後ろからドラゴン三兄弟は巨大な翼をはためかせて、建物を突風によって破壊しながら飛んでくる。これ以上、街を破壊しないで(´;ω;`)


「ぎゃふん!!!)))ω・`)」


 瞬間移動を制御できない俺も建物にぶつかりながら逃げ続け、街の被害は深刻なレベルになってしまった。


 どうにかドラゴン三兄弟から少し離れた屋根の上に避難することができた。


「くっ……このままではまずい! 建物にぶつかりまくって思ったように逃げられないし、逃げられたとしても凶暴なドラゴン三兄弟を放置するわけにはかない! ……ってシャル?(´・ω・`)」


 シャルは俺の下手くそな瞬間移動に酔ったのか、蹲っていた。運転下手な人の車に乗るとあるよね(´・ω・`)←ブーメラン


「あの結界を破った剣術スキルを使えば、あのふざけた名前のドラゴンを倒せるはず! なにか剣になるような物はないか!?((´・ω・=・ω・`))キョロキョロ」


『グオオオオオオオオ!!!!!!』×3


 ハッ!! また嫌な予感がする!!


 そういえば、五大スキルの中に第六感スキルがあったような気がする。ということは頭の中に流れているドラゴン三兄弟がブレスを放つ映像は未来のビジョンかもしれない。


 つーか、既にブレス吐き出す体勢になっている!!Σ(´⊙ω⊙;`)


 早く二人を抱えて逃げないと!! ……って奴隷の子がいない!!Σ(´⊙ω⊙;`)


「ムニャムニャ……(寝言)」


「あ、あんなところに!!Σ(´⊙ω⊙;`)」


 奴隷の子は気絶したままコロコロと転がっている。おそらく普段から寝相がめちゃくちゃ悪いんだと思う。このまま屋根から落ちてしまいそうだ。


 蹲っているシャルを回収しつつ、転がる奴隷の子を抱えて逃げる……瞬間移動を制御できない俺ではそんな繊細な動きはできない。おそらくシャルを回収することすらできず、向かいの建物の壁にめり込んでしまうだろう。


 あの結界を破ってしまった衝撃波さえ出せれば……!


「ん? アレは?(´・ω・`)」


 チョコ棒(未開封)が落ちている。多分、奴隷の子が隠し持っていたものだろう。


 確か五大スキルには剣術系スキルがあり、結界を破ってしまった衝撃波はタナケンオリジナルつりざおを振ったら出た……要するに剣みたいな形なら衝撃波を出せるのかもしれない。


 ……(´・ω・`)


 チョコ棒でも出せるのかな(´・ω・`)


 チョコ棒の長さは10センチ前後だが、形状的には剣に近いかもしれない。つーか、タナケンオリジナルつりざおでも出せたのだから剣として認識する基準がガバガバだと思う。


『グオオオオオオオオ!!!!!!』×3


「やべっ! こうなったらチョコ棒に賭けるしかねー!=͟͟͞͞(  `ᾥ’)っ」


 俺はチョコ棒を拾い、そのまま遠くにいるドラゴン三兄弟に向けて「衝撃波出てくれ!(願望)」と叫び、振り下ろした。


 その瞬間、凄まじい轟音と共に衝撃波が発生した。


「や、やった!(´・ω・`)」


 衝撃波はドラゴン三兄弟が飛ばしてきたブレスを一瞬で消滅させながら進み続けた。それから瞬きする間もなく、ドラゴン三兄弟を木っ端微塵にした。


「よし! ……あれ?(´・ω・`)」


 ドラゴン三兄弟を木っ端微塵にした衝撃波はそのまま建物も木っ端微塵にしながら進み続けて、遠くの森や山を破壊してから消えた。


「……ドラゴン三兄弟より被害酷くない?(´・ω・`)」


 俺は「ま、正当防衛だし、仕方ないか!」と自分に言い聞かせて、ひとまず罪悪感を払拭した。


「ふぅ……(´・ω・`)」


 どうにか死なずに済んだ俺は緊張の糸が切れて、握っていたチョコ棒を落としながら、その場に座り込む。めちゃくちゃ怖かったわい!(´;ω;`)


「まー、これで危機は去っただろう。……ん?(´・ω・`)」


 また嫌な予感がした。第六感が告げている。しかもあらゆる方向から感じるのだ。


 次の瞬間、大きな地響きと共に数十m先の地面が割れた。その中からとんでもなく巨大なモンスターが出てくる。


『グオオオオオオオオ!!!!!!』×8


「なんだあいつ!?Σ(´⊙ω⊙`)」


「アレはドラゴン八兄弟だ!」


「シャル! もう大丈夫なのか!?(´・ω・`)」


「うん、ゲロ吐いたら楽になった」


「そこまでストレートに報告しなくていいよ(´・ω・`)」


 そんなことよりも目の前にいるドラゴン八兄弟がヤバそうだ。ドラゴン三兄弟よりでかいし、八本の首がうねうね動いていて怖い(´;ω;`)


「ドラゴン八兄弟は、ドラゴン三兄弟の亜種でドラゴン系モンスターの中でもダントツでヤバいモンスターだよ!」


「ヤバいのは見たらわかるわ!!(´;ω;`)」


 さらに上空からも嫌な予感がする。


『ピヨピヨ! ピヨピヨ!』


 ひよこみたいな鳴き声が聞こえ、俺は上を見上げた。


 空には黒炎を見に纏った巨大な鳥が飛んでいた。10m以上はある巨体にカラスのような鋭い目つき。鳴き声しか可愛いところがない(´;ω;`)


「あ、アレは終焉をもたらすデスバード! 魔王城の最上階付近に生息している特別Sランクモンスターだよ!」


「シャルは物知りだなぁ(´;ω;`)」←そんなこと聞きたくなかった顔


『グオオオオオオオオ!!!!!!』×8


『ピヨピヨ! ピヨピヨ!』


 ドラゴン八兄弟はブレスを連打して街を破壊し、終焉をもたらすデスバードは翼から黒炎を飛ばして建物を燃やし尽くす。やりたい放題ですやん(´・ω・`)


 しかし、俺には五大スキルがある。あのドラゴン三兄弟も瞬殺できたのだ。きっと問題はない。


「こうなったら皆殺しじゃー!!( `ᾥ´ )」←主人公にあるまじき発言


『グオ?』×8


『ピヨ?』


 俺の宣戦布告に気付いたのか、ドラゴン八兄弟も終焉をもたらすデスバードもこちらを睨みつけてきた。


「お前らがどれだけ強くても俺には最強のスキルがあるんだ!( `ᾥ´ )」


 俺はさっき落としたチョコ棒を拾おうとした。


 けれど、そこにあるはずのチョコ棒はなかった。


「ムシャムシャ(咀嚼音)」


 そこにはいつの間にか目を覚ました奴隷の子がいた。未開封だったチョコ棒は開封済みになっており、半分以上食べられていた。


「チョコ棒はおいしいね〜」


 ……( `ᾥ´ )


 なに食べてんのォ!?Σ(´;ω;`)

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