第35話 真っ白な空間

「いてててて! ん? ここは?」


 トラックに轢かれた俺が目を覚ますと、そこは真っ白な空間だった。どこまで続いているのか、壁があるのかわからない空間で、俺は産まれたての小鹿のように震えていた。ここどこ(´;ω;`)


「貴方は死にました」


「ひょえっ!」


 後ろから女性の声。俺はキモい声を上げつつ振り返った。


 そこには銀髪の女性が立っていた。見たこともないような美しさで、俺は言葉を失った。


 あー、これ天使ですわ。この美しさは間違いないですわ。つーか死にましたと言っていたし(´・ω・`)


「って!? え!? 俺死んだの!?Σ(´;ω;`)」


「そうです。貴方は詐欺師のおじさんを追いかけるのに夢中になっていて飲酒運転で歩道に突っ込んできたトラックに轢かれてしまったのです」


「そ、そんな……俺がいなかったら明日から誰がタンポポをのせるんだ……(´;ω;`)」


「貴方の代わりは他にも沢山います。というかタンポポの仕事は辞めたでしょう」


 そういや、辞めていたわ(´;ω;`)←タンポポを忘れられない主人公


「しかし、次の世界では貴方の代わりはいません」


「え? 次の世界?(´・ω・`)」


「これから貴方には異世界に行ってもらいます」


「異世界? どういうことですか? というかどこなの、ここ((・ω・`=´・ω・))キョロキョロ」


「そこで貴方は自分の使命を果たしてください」


「えっ!? 無視!?(´;ω;`)」


 俺は困惑しながらも「これ天国じゃないですわ、多分トラックに轢かれて夢を見ているんですわ、実はまだ死んでいなくて病院のベッドで昏睡状態になっていて夢を見ているんですわ、異世界モノとかよく読んでいたし」と名推理する。


 でも目の前の女性がなんだか怖いので、とりあえず話を合わせておく(;ω;`)


「つまり次の世界でタンポポ無双しろってことですか?」


「いいえ、もうタンポポはのせなくていいです」


「そんな(´;ω;`)」


 タンポポ禁止令を出した銀髪の女性は、俺にこう言った。


「貴方は勇者になり、世界を支配している本物の魔王を倒してください」


「本物の魔王?(´・ω・`)」


「無論、『生まれてから特に努力せず、なんとなくヒーローを目指していたけど、高校卒業後になんとなく就職して、なんとなく適当に人生を過ごしてきた貴方』では魔王に勝てないでしょう」


「ひでぇ言われようだ(´;ω;`)」


 人生を全否定された俺は泣いていたが、銀髪の女性はそのまま話を続ける。


「なので、貴方には五大スキルを授けましょう」


「五大スキルってなんだべ???(´・ω・`)」


「まず、『神の第六感(ゴッド・シックスセンス)スキル』は未来予知に等しいレベルの感知能力として常に有利な状況で戦闘することができるでしょう」


「あ、スキルの説明が始まっちゃうのね(´・ω・`)」


「次に、『神速の電光石火(ゴッド・ライトニングファースト)スキル』は瞬間移動レベルの高速移動を身につけられる強化スキルです。第六感スキルと合わせることで、ほとんどの攻撃を避けることができるでしょう」


「実は俺、職場でも『神速のタンポポのせ野郎』って呼ばれているんですよー(´・ω・`)」←過去の栄光


「三つ目の『神の絶対防御(ゴッド・アブソリュート・ディフェンス)スキル』は大半の攻撃を無効化し、跳ね返すことができる強化系スキルです。万が一、前述した二つのスキルで攻撃を避けきれなくても基本的には無傷ですし、カウンターを狙うこともできます」


「遊⚪︎王の聖なるバリア-ミラー⚪︎ォースみたいなスキルだ(´・ω・`)」


「そして、四つ目の『両生類の自己再生(ウーパールーパー・セルフ・リプロダクション)スキル』は前述した三つのスキルで対処できず攻撃を受けた際に発動する自己治癒スキルです。ウーパールーパーのように心臓すらも再生させる脅威の自己治癒能力が貴方を守ってくれます」


「ウーパールーパーすげー!(´・ω・`)」


「最後は『無敗の一刀両断(Undefeated Cut in two swords)スキル』。貴方のメインウェポンとなる剣術系の攻撃技術スキルです。剣を一振りするだけで、貫通属性を持った衝撃波を生み出し、あらゆる物を真っ二つにするでしょう」


「日本語でおk(´・ω・`)」


 説明を終えた銀髪の女性が手をあげると

、空から光る玉を五つが降ってきた。めちゃくちゃ眩しい(´>ω<`)


 そのまま光る玉は俺の身体に入っていき、俺は自分の身体を何度も確認した。


「えっ!? 今のなに!? 怖いんだけど!?(´;ω;`)」


「これで五大スキルは貴方のものです。タナケン、世界を頼みましたよ」


「え? なんで俺のあだ名知っているの? というかこれ夢だよね? って眩しっ!」


 急に部屋全体が眩しくなり、俺は目を瞑った。


「貴方はその五大スキルを駆使して、勇者になるのです。そして、魔王を――倒してください」


「ひょえ〜!!!!!(´>ω<;`)」


 次に目を開けたときには――森の中で倒れていた。


「ここは……?」


 上半身を起こすと、変な生き物と目が合った。


「ピギィー! ピギィー!」


「なんだ、あのキモいウサギは!Σ(´・ω・;`)」


 こうして俺は異世界転移した。

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