UNO!3

 大石はカードを六枚引き、ターンを終えた。

 場内が再び盛り上がった。上代が残り一枚、もしそれが『赤』なら上代が優勝する。四人の空気もピりついた。

 だが、上代はカードを出さずに一枚引いてターンを終えた。客席からは安堵と痛恨の声があがる。

 如月は赤スキップを出して村井を飛ばした。呼応するように大石は手札から青スキップを出して上代を飛ばした。

 上代があがらずに安堵したのもつかで、今度は如月が青1を出して「UNO!」を宣言した。

 村井は青2を出し、大石は青リバースを出した。大石の手札は赤ドロー2に、青ドロー2、黄2・7、ドロー4だ。青のドロー2を出すと、上代がドロー2を持っていなかったときに、そのままターンが如月にわたる。ドロー4でも同様だ。如月が何色を持っているかわからないうえに、上代がドロー2かドロー4を引いた確率は残りの山札と今まで場に出た数から低い、と大石は思った。ゆえに青リバースを出したのだ。 

 村井は青6を出した。如月はカードを一枚引きターンを終えた。如月が持っていたのは『青』ではなかった、ということになる。

 次いで上代が青0を出し、「UNO!」を宣言した。

 大石は青ドロー2を出した。ドロー4を切らなかったのは、村井の手札からして、ほぼ間違いなくドロー2を持っているだろう、と思ったからだ。

 だが、村井はドロー2を持っておらず、カードを二枚引きターンを終えた。

 如月は黄ドロー2を出し「UNO!」を宣言した。当然、上代は二枚ドローした。

 大石は赤ドロー2を出し、村井も緑ドロー2を出した。おそらくさっき引いた二枚にドロー2があったのだ、と大石は思った。 

 如月は四枚ドローし、上代は緑3を出して「UNO!」を宣言した。

 大石は黄2を出した。そのまま村井が黄3、如月が緑3を出し、上代が一枚引いて、大石にターンが戻って来た。

 大石の手札は残り、黄7、ドロー4だ。

 大石はここまでの盤面を頭の中で整理した。現在、上代が二枚、如月が四枚、村井が六枚だ。今までに如月と村井が一枚ずつドロー4を出している。自分が今持っているドロー4を抜いて、残るドロー4は三枚。それを他のプレイヤーが一人一枚ずつ持っているとは考え難い。途中で色は変えられてしまうかもしれないが、切るならここしかない。

 大石はドロー4を出し、「UNO!」を宣言した。選んだ色はもちろん黄だ。

「大石選手、二回目のUNOでドロー4を切りました!」

 客席からは黄色コールが沸き上がった。

 スポットライトの光が熱く、背中と額から大粒の汗が噴き出た。

 心臓の鼓動が高鳴り、黄リバースを持つ手が震える。


 村井はドロー4を出した。おそらくさっきのドローで引いたのだ。続けて如月もドロー4を出した。だが、ここまでだ。もし、上代がドロー4を持っていたとしたら、さっき緑3でUNOを宣言するよりも先に出して、『緑』を宣言していたはずだ。それをしなかったのだから、上代はドロー4を持っていない。

 如月はドロー4で『黄』を選んでいる。黄7を出せる。

 ……あと、一枚!!

 

 このとき大石は完全に勝ったと思っていた。だが大石の想像以上に上代は強敵だった。

 上代はドロー4を出し、「UNO!」を宣言した。

 上代残り一枚、如月三枚、村井五枚。大石は十六枚をドローして残り十七枚。優勝は絶望的だった。







 

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