第3話 バレンタインデー

[バレンタインデー]


幼稚園3年目、バレンタインの日のこと。


この幼稚園では、バレンタインデーに女の子が好きな男の子のロッカーにチョコを入れるという風習があった。


僕は幼稚園1年目、2年目共にチョコを貰えず、泣いた。今年こそは貰えるか、ドキドキしていた。


朝7時起床。朝ご飯を食べる。

「今日はバレンタインだね。絶対チョコ貰えるよ」

と母が言ってくれ、期待が高まる。


7時45分、車で幼稚園に向かう。8時前に到着。

教室に向かう途中の階段でゆうくんに遭遇。


「ゆうくんおはよう、バレンタインもらった?」

「もらったよ」

「いいなあ」

「別に良いもんじゃないよー」


ゆうくんはチョコをもらったらしい。複数も。

これで3年連続もらったことになる。しかも去年は僕が好きだった女の子からも貰っていた。羨ましい。


ちなみにゆうくんは僕がチョコをもらったか聞き返してこない。

気を遣っているのか、、、。


ゆうくんと別れ、教室に向かう。


廊下でマイクくんがチョコを抱えていた。


「あ、またチョコもらったんだ」

「マサおはよー、なんか今年もロッカーに入ってた」


マイクはこれで2年連続だ。ちなみに2年とも同じ女の子からもらっている。


マイクと別れ、教室に入る。


期待3割、諦め7割の気持ちで自分のロッカーに向かう。


引き出しを開けるとそこには…!


案の定、何も入っていなかった…。泣いた。

、、、




「別にただのチョコじゃん」

「貰ってもどうすればいいかわからなくて逆に困る」

ゆうくんとマイクくんが励まそうとしてくれるが、逆効果だ。


「俺も貰えなかったぞ〜」

りゅうくんが励ましてくれた。


たくくんはチョコをいっぱいもらってたのでノーコメント。というかクラスが違うから今日は余り話していない。


結局、幼稚園3年間チョコはもらえなかった。


この非モテ体験は後の人生に大きな影響を与えていると思う。

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