第32話 謀反軍全軍転移
一方その頃、王都が一周では穀倉派貴族が北辺境派の兵士たちを押しとどめていた。
「なかなか出てきませんねぇ……弓が届かないよう、若干離れて誘ってはいるのですが……」
「キルデスらの出方次第でございますかねぇ……ともあれ、そろそろ二時間。
史上最大級の転移の術式も完成するでしょう」
重しにしていた貴族もいなくなってしまい、スタートダッシュに失敗している状態でラーギル男爵らはいら立ちを募らせえていた。
中々王都から出てこない王国騎士団を誘い込むことをあきらめ、ラーギル男爵は作戦を第二段階に進めた。
「シャーマン!転移使いに指令を出せ!王城前に全軍で転移する!」
「かしこまりました」
ゴブリンシャーマンが長距離通信の魔法を使うと、各軍についていた転移使いが一斉に転移の魔法を行使すると彼らはそのまま絶命した。
そして、王城の前の前に謀反陣営及びキルデス騎士団が転移してきた。
「国王陛下!いえ、マスマリワ・オーシス及び中央の穀倉派貴族どもよ!
我々、辺境派を虐げてきた罪をその身で知るがよい!
全軍!突撃いいいいいいいいいい!」
「「「「「「「「おおおおおおおおおお」」」」」」」
王都中央贄転移してきた謀反陣営は、その場にとどまり王城の門を破壊するもの、四方の跳ね橋を占拠し外からの援軍を締め出すものに別れていた。
「フン、あのレイショもこれは読めなかったでしょうな」
「当たり前ですよ。このために十人もの転移使いの命を浪費しましたからね」
「こんな大それた作戦は過去に類を見ませんからな」
王城の城門前でキルデスは精神統一をしていた。
進化した城塞砕きを叩きこむために、破砕・黒龍を大上段に構えている。
「総員退避、死にたくないなら下がれ!」
四天王のハクの号令で全員が散開すると集中力の高まったキルデス騎士爵が目を開いた。
「城壁砕き!!!」
放たれた斬撃で扉が破壊される。
幅四メートル、高さにして二十メートルの扉……そのほぼ全体が木片と化し無くなっていたのだ。
「流石キルデス卿ですな」
「さあ、王城に乗り込んで王家の首を取りましょうぞ」
のんきな会話をする一行を
「キルデス卿、何を?」
「城塞砕き!!!!!!!」
二度目の城塞砕きは、城門があった場所にもう一度炸裂する。
ただし、先ほどとは違い豪快な破壊音はしない。
「ふぅ……これでも防ぐか。レイショよ」
「いやいや、これが精いっぱいですって。
どれだけ修行したらこんなことができるんです?キルデス卿」
「抜かせ……この城門を吹き飛ばすほどの斬撃を防いでその余裕とは……。
いつぞやは手を抜いていたんじゃなかろうな」
埃が晴れるとそこにいたのは、王都騎士団とスコット男爵含む魔王討伐メンバー及びスコット男爵騎士団だ。
「ふぅ……手なんか抜いてないさ。
キルデスが鍛えたのと同じく、俺もこの期間で強くなっただけ……なんですねぇ」
顔だけではあるが、スコットに変身をして後ろにいる謀反陣営に揺さぶりをかけた。
「貴様スコットを……」
「いつから入れ替わっていた……」
「いやいや、本当に優秀な奴隷をいただいてしまってありがとうございましたねぇ。
我ながらレイショめに奴隷を送り付けるのはいい策でしたねぇ」
顔を元に戻して次の指示を飛ばしていく。
「スレイ!ドロシー!ケミー!韓信!キルデス四天王を押さえてくれ!
王都騎士団及びスコット男爵騎士団はラーギル男爵以下王城前の敵勢力を排除せよ!」
「「了解!」」
スレイ、魔導士のドロシー、錬金術師ケミー、神官の韓信彼らは魔王討伐時のメンバーだ。
今回の作戦に必要になるからと、無理やりにでも都合をつけて貰ったのだ。
ラーギル男爵たちは、王城前に転移してきて余裕のある王城攻略ができると思っていた面々は、待ち伏せ部隊との正面対決を受けざるを得なくなった。
「さて、キルデス。お前と思う存分戦える舞台を用意した。
その気があるなら来てくれ」
「ふむ、悪くないな。どうせなら四天王も連れていきたいが」
「わかった、スレイ!ドロシー!ケミー!韓信!中央の武舞台に行くぞ」
「四天王!いったん獲物を収めて俺に続け」
時を同じくして王都城門外。
先ほどまで戦っていた騎士たちがいきなりいなくなって、騎士たちは困惑していた。
「敵がいなくなった……」
「大規模転移か……」
「レイショさん!私たちはどうすれば!」
「総員、警戒を緩めるな!波が引いた後は大きな波が来ることがある!
回復して次の波に備えろ!」
突然いなくなった部隊ここで気を抜いたところを俺なら攻める。
怪我人の治療を魔法で行っていると、その懸念が当たるかのように森からモンスターがやってきた。
「第二陣来たぞ!総員!」
号令をかけている間に、東出入口門の前衛が吹っ飛んだ。
「総員!戦闘準備!怪我人はその場に放置して前衛は前に出ろ!衛生班!怪我人の収容を急げ!」
「ハーハッハ、やっぱ人間なんざ、こんなもんだよなぁ」
そこに現れたのは、ガリヤとゾンビ騎士が二体、それとモンスター軍団だった。
東門以外も似たようにゾンビ騎士複数とモンスター軍団が迫っており、これは避難所の遠見の魔法には映さないように魔法陣をつぶした。
「お前たち、その黒っぽいのとゾンビ騎士は俺が相手する!
それ以外を叩け!あいつには手を出すな!」
「し、しかし」
「躊躇うな!ゾンビ騎士はキルデス四天王並みに強いぞ」
「了解です!」
そして通信の指輪を起動してポッドに合図する。
──東。と一言だけ。
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