第76話 彼女はカッコいい

Team DOMINATEの練習に合流することになった、紗英と沙耶。

「やっぱりハードだね、今までとは全然違う」と肩で息をしている紗英、

すでに息が上がっている沙耶「マジでキッツいわぁ・・・」


だが美青たちは全く平然としている。(やっぱレベチだなぁ)


と、その時、

「こらっ!そこの二人!誰が休んで良いと言った!まだ休憩じゃないぞ!」

森井コーチから叱られた・・・(続けられるかなぁ)


森井さんはマネージメントを理沙に任せて、完全にコーチとなっている。


千聖はそんな二人を、というよりも沙耶の姿を目で追っている。

(やっぱカッコいい・・・沙耶・・・)

沙耶を見る千聖の目は、恋する乙女のそれだったし実際、恋愛の対象になっていた。


5軍女子の千聖からみれば、はるか雲の上の存在である沙耶

なのに気軽に接してくれるのが、彼女にとってはホントに嬉しいのだ。



「よーし!じゃあ一息入れよう!」


「沙耶、どう?大丈夫?」

「うん大丈夫だよ。心配してくれてるの?ありがとう」

「私も沙耶みたいになりたいなぁ・・・」

「そうなの?うん、じゃあその前に体力つけないとね。私も頑張るよ」と言いながら

コートへ戻って行った。


一日の練習が終り、帰りの電車で沙耶も紗英も爆睡している。

その姿さえ千聖から見れば”愛おしい”のだ。(寝顔もマジできれいすぎる・・・)


「じゃあまた、明日学校で!お姉さま」

お姉さま?うーん千聖がそういうならお姉さまで良いか。と思う沙耶。




メンバーが帰った後で、社長と森井さんが話をしている。

「そろそろトレーナーが欲しいですね」

「あーそれな。まぁ森井くんが言い出すだろうなぁと思って人選はしといた」

「そうですか、さすが社長、解ってますねぇ」

「あいつが良いよ、うっちー。体育大出のウチの会社には珍しい人種だしw」

「人種ってwww」

「大学出てからアメリカだかどこかでそう言う勉強したって言ってたんだよねぇ

 やつは、なかなかできる男だし他人の世話役の好きだしなぁ、打ってつけかもよ」



森井コーチが手を叩き「はい!集合!」

「こちらが今日からトレーナーとして面倒をみてくれる内山さんよ」

「内山です。プレイ中にケガなどしないようなケアとか、メンタル面のケアもします

 なにか体調とか、身体の調子が変だとか言うことあったら、すぐ言ってね。

 早期の治療とかが重要ですから」



目前に迫ったAutumn Stage。

練習はいっそう激しさを増していく。

その中に有って沙耶の美しさに見惚れる千聖。

(なんであんなに美しいの?流れ落ちる汗、荒れる息遣い、乱れるロングヘア。

 どれも、美しいんですが・・・)

そんな沙耶といっしょのコートに立ちたい!と思うようになった

彼女はコートの周囲をランニングしながら沙耶をみていた。


「あれ?愛ちゃんじゃない?」

「久しぶりです美青さん」


マネージャーとして【フローリッシュ東京】の社員となっていた理沙。

その理沙と一緒に来たのがイケイケギャル大原綾の妹、愛ちゃんなのだが、なぜ?

「社長に無理を言って私といっしょにマネージャーとして来てもらうようにしたの」

「まだバイトなんですけど」

そこへ社長がやってきて「いいよ!バイトとしてずっと来ていいからね!」

「ありがとうございます!がんばります!」「よかったね愛ちゃん」


愛ちゃんは理沙と一緒にマネージャーとしてチームを支えることになった。





そしてAutumn Stageが幕を開けた。

「じゃあメンバーは沙耶、美青、優実で行くよ!」

美青の速攻で先制。ゴール下の沙耶が相手のシュートを豪快にブロック。

そして優実が2pを連発し、ゲームはDOMINATEがまさに支配した。


沙耶に代わって華が入ると、DOMINATEのスピードスターがその持ち味を発揮。

鋭いドライブでゴール下に切り込み、シュートを決める!


残り時間1分を残してノックアウト勝ち、開幕戦白星スタートとした。



「おつかれさまです!はい!まず水分を補給しましょう!!」

理沙と愛ちゃんがペットボトルを入れたクーラーボックスを持って来た。

「気が利くね、森井さんの指導がいいんだなぁ」


ユニフォームのまま、ベンチに座りタオルを肩にかけ、ペットボトルの水を飲む、

沙耶の姿をじっと見ている千聖。黒いロングヘアをお団子にまとめているのも美しい

(カッコいい、水を飲む姿さえ美しい・・・私のお姉さま)



「じゃあ、今日はおつかれ!またな」



「千聖、今日の私はどうだった?」

(どうだった?美しいお姉さまに決まってるじゃん!)

「うんきれいだったよ」

「ふふふ、そうじゃなくてバスケだよ」

「あっ、そっそうだったね、あのダンクシュートカッコよかった!」

(もうなにをしてもカッコいいんだから・・・)


また沙耶の美しさにノックアウトされた千聖だった。


第76話 完








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