第31話 校舎の屋上で

「美青?」

「ん?なに」

「放課後屋上に来てくれない?」

「え?屋上に?」

「うん」


その日の放課後

階段を上がり屋上に出るドアを開けると、

「美青!!!!」と言いながら美里が駆け寄って来た。


そしてハグ

「だーーーーいすき!美青!」

「ど、どうしたの?」

「ねぇ私たち、ずっと友達だよね?」

「そうだけど?」

「卒業しても一緒だよね?」

「うん」


「あのベンチ空いてるね」

校舎の屋上にはベンチがあって、陽気がよくなると屋上でお昼を食べたり

読書したり、友達同士でくつろいでいる光景をよく見るのだ。


美里は美青によりかかって座っている。

肩を抱く美青。



「いつまでもこうして居たいなぁ」


「ゆうとくんはどう?」

「どうって?」

「いい子だよ、好きな事には一生懸命って感じかな」

「私も美青に一生懸命だよ」

「解ってるよ」と美里の髪をなでている。


「ねぇ、もしかして妬いてる?」

「そ、そっ、そんなんじゃないよ!」

「ふふふ、冗談だよ」

「やだ!美青ったら」


美青の手はいつのまにか美里の身体をまさぐっている。


美里の息遣いが荒くなっている



「いい?」

「うん美青なら」



夢のような時間を過ごしていた二人

火照った身体を涼しい夜風にさらしクールダウンさせている。


「美青、やっぱりあなたのことが好き過ぎる」

「ありがと美里」

「帰ろう」



学校からの帰り道、自転車を押し歩く二人。


美里の家の前で、「じゃあね」

「また明日」




翌日

「ねぇ美里」

「え?なに」

「昼休み、屋上行かない?」

「うん!」



「良い眺めだね」

ベンチに座り、お昼を食べている。


住宅街の中にある高校だが、緑が多く、

特にこの季節は新緑が目にまぶしいほど、美しく眼下に広がっている。



「美青・・・」

「うん、いいよ。でも時間ないからね」

「解ってる」

「まわりにほかの生徒もいるから」

「解ってるよ美青」


回りに分からないようにキスをしている

それも長い時間。



キンコンカ~~~~~ンコン


「あっ、やばっ!午後の時間始まっちゃう」

「急いで!戻ろう」



午後の授業もHRも終わっての帰りみち


「美青?」

「なに?」

「あのお店、寄ってかない?」

「ああ、いいよ」

それは最近できたカフェだが、中で読書も出来る、本屋でもある。



「あれっ?ゆうと?」

「あっ、みお!美里先輩も」

「やっ!ゆうと!今日も本探し?」

「うん、そう、みおは?」

「美里に連れられてきたんだよ」

「久しぶりね!優斗くん」

「お久しぶりです美里さん」


「好きな時間に好きな本が読めて、おいしいコーヒーを頂くなんて

 こんな至福の時間はないですよね」

「なかなか詩人みたいなこと言うね優斗くんw」

「そうですかね?みおはどう」

「うーん、あまり本を読むことは無いけど、ゆうとが選んでくれたら

 読んでみようかな?って思うな。美里は?」

「私、こう見えても結構、本を読むのよ」

「へぇ・・・どんなの?」

「ファッションに関係する本とかかな」

「美里はそういう関係に進みたいんだよね?」

「そう。少しでも勉強しておこうかな?みたいなw」


あまり読書とは無関係に思えた美里の意外な一面を見た気がした。



第31話 完








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