第28話 あこがれの人に告白する

高田さんから「話してみるよ」と言われて数日


「和田くん、放課後空いてる?」津村部長から言われた。

(ん?ついにきたか?)

「はい空いています」

「じゃあ部室で待機ね」



何を言おう、どう言ったらいいのか?どうしよどうしよ・・・・・


自分で言い始めたこととはいえ、こういう成り行きになるとは思ってなかったので。



授業中も、昼休みも、午後の体育も全く、身に入らなかった。

体育の時間は「おい!和田!何やってんだ!」と怒られるし・・・



「来たね、じゃあ行こう」高田さんに連れられて行ったところは校舎屋上でした。


すでにあの山田”美青”さんと部長の津村さんがいて、二人は何やら話し込んでいる。

ボクが来たことに気づいた二人は、こちらへ近づいてくる・・・どうしよどうしよ?


「キミ、和田優斗くん?山田美青です」

「あ、わっ和田優斗です」

「告白してくれるって?」そちらから言う?


こうなれば一か八か、告白なんて一度限りだし・・・

「あの山田美青さん、ボクと付き合ってください」

「はい」


えっ?今何て言った?

「はいって言いました?」

「ええ、言いましたよ」

「ホントに良いんですか?」

「はい」


これは夢?

超絶カワイイ女子高校生がボクと付き合ってくれる?

ホントなんだろうか?


「どうしたの?」

「ホントなんでしょうか?」

「なんで?」

「学校一可愛い山田さんが付き合ってくれるなんて有り得るのかと」

「だって付き合うって言ってんじゃん」

高田先輩は、なぜか苛立っているんですけど。


「和田くんは文芸部だよね」

「はい」

「俳句とか川柳とか?」

「ボクは自分で小説を書きます」

「へぇすごいんだね」

「いえ・・・」



あれ?

美青さんから腕を組んできた。積極的なんだなぁ・・・


「キミ、緊張してるよね」

「あっ、はい緊張してます」

「そんなに緊張すんなって」

「いやぁ・・・」


「これからいっしょに帰ろうか?」

「えっ?良いんですか?」

「うん」

「でもボクは駅から歩きですが」

「途中で落ち合えばいいじゃん」

「あ、そうですね」

「じゃあ、今日はこれで。バイバイ」

「さようなら」



まだ夢を見てるんじゃないか?って思いながら帰宅すると、

「お前何かあったか?」兄貴が聞いて来たので、

「彼女が出来た」

「はぁ?お前にか?冗談言うなよ、俺だってまだなんだぞ」

「順番は関係ないと思うよ」

「まぁそうなんだが」

兄貴はボクと4つ違いの大学生だけど、勉強は出来てもあまり容姿が・・・

なのでモテる方では無いらしい。そんなに容姿がよろしくないとは思えないけど。


自分の部屋に入って

まだ夢の中にいるのでは?と思ってみたりするんだけど。


美青さんがボクと付き合ってくれる


それだけでもう満足なんです。ボクとしては。


第28話 完

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