第27話 目の前にあこがれの人が

「和田くん、ちょっと」

文芸部長の津村先輩に呼ばれたボク。


「はい」

「この前、山田さんのこと話してたよね」

「はい、そうですが」

「私、あの子と同じクラスなのよ」

「あ!そうなんですね」

「話してみようか?」

「えっ・・・なにを?」

「キミが告白したいって言ってるってさ」


「えっ!、いや、ちょっと待ってください」

「なぁ~~んでか?」


そう言われても・・・

山田”美青”さんは可愛い、

とんでもないレベルの可愛さだけど、ボクにはもったいない気がしてきたんですね、

もし願いがかなって交際できたとしても。


「和田くん、じゃあちょっと見るだけ見てみない?」

「えー、あーーーーっと、うん分かりました」


翌日の昼休み

「じゃあ、ついてきて」

津村先輩について、教室へ行ってみると

あの二人はまわりの女子生徒とトーク中、なのに醸し出すオーラが違って見えた。


「あっ!津村先輩・・・ちょっと待って!」

先輩のクラスだから入っていくのは当然なんですが・・・


二人と話している。

チラチラとボクの方を見てる。


あれ?高田先輩が手招きしている。

うーん、どうしよう・・・・行っていいものやら?


津村先輩が「なにしてんの?こっちおいでよ」って言うんですけど・・・

「え?なにしてんのって?」

「だ・か・ら!お出でって」


2年生のクラスに1年生が・・・

クラス中の視線が自然と集まってくるのは恥ずかしい。


「彼が優斗くん、和田優斗くん、学芸部の新入部員よ」

「高田です!」

「山田です」

憧れの二人の先輩が目の前に。

もうボクの頭の中は真っ白になってしまいました・・・


「何か言ったら?」津村先輩に言われても何をしゃべっていいものか?

「わ、わっ、和田優斗です!」と名乗ってお辞儀をして、

 そそくさとその教室を出たのでした。


うーん恥ずかしいの先に出てしまって、何を話していいのか全く分からず・・・

遠くで見ているだけでよかったのに、欲を出して話してみたい!なんて

先輩に言ったもんだから・・・結局こうなってしまいました。


でも


「和田くん、だよね?」

ある日の放課後、部室へ行くと、高田先輩が来ていたんです。

部長の津村先輩と話し込んでいるんだけど・・・

「彼が山田さんのことを気にしているみたいなんだよね」

「そう?これで何人目だろうね、何度も告白されてるからさぁ」

そんなに?あれだけ可愛ければ、告白される回数も多いだろうなとは思うけど。


「あの子が好きなんだって?」

「はい・・・」

「もともと男だったって聞いたよね?」

「聞きました」

「それでも良いの?」

「はい、いまは女の子なわけですし」

「まぁそうなんだけどね、解ったわ、あの子に話してみるわ」


もし話す機会が出来たら、どう言えばいいのだろうか。

よく考えておかないと・・・


第27話 完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る