第26話 通学途上のあの子

あ~~~カワイイなぁ・・・

ボクにもあんなカワイイ彼女が出来ないかなぁ。



和田優斗 15歳 高校1年生

自分で言うのはなんですが、そこそこイケメンだと思ってます。


駅から高校まで歩いている途中で見かける同じ高校の生徒なんだけど、

絵師が描く絵から抜け出て来たかのようなカワイイ女子生徒の二人連れ。


「おはよう美青、今日も可愛いね!」

「ありがと」

「ん?何かあったの?」

「いや、別に」


会話が聞こえる。

美青と呼ばれた女子は

黒のロングヘア、前髪を揃えている。ぱっちりとした目、筋の通った形の良い鼻

ちょっと薄い唇、真っ白い美しい肌、長い手足、まるでモデルの様なのです。

もう一人はまさにプリンセスを絵にかいたような女子

セミロングの茶髪、黒目がちな目、スッとした高い鼻、ぽっちゃりとした唇、

健康的な小麦色の肌、足が長くスリムな体形の上に小さな顔がちょこんと乗っている

この子は確か2年生の高田美里先輩

去年だったか文化祭のミスコンで、ダントツの得票数で優勝した子だけど

ボクには・・・まぁ二人とも高嶺の花なんですけど。


先輩と一緒にいる女子生徒はなんていうんだろう。


後をつけてみようっと。



駐輪場に自転車を止めてる。



玄関で校内履きに履き替えている、

先輩と同じクラスなんだなぁ。


えっ?


「山田康太」


ん?康太?

下駄箱にはそう書いてあるなぁ・・・どういうこと?


女装しているってことか?




もしかしてトランスジェンダーってやつ?


2年生・・・

あっ部活の先輩に聞いてみよう。



昼休みの部室

「あの津村先輩」

「なに?」

津村先輩はボクが所属する文芸部の部長。

小柄で黒髪をいつもポニーテールにしていて、メガネが良く似合う文芸女子。


「いつも高田美里さんと一緒にいる女子生徒って誰ですか?」

「知ってどうするつもり?」

「できれば告白したいんですけど」

「私じゃないんだね(笑)」

「すみません・・・」

「冗談よ、あの子は山田康太くんだよ」

(やっぱりそうなんだ、TS?)

「その人ってTSってやつなんですか?」

「うーん、TSではなくて本当の女子なのよ」

「名前は?なんで」


津村先輩はその人のことを話してくれた

山田康太は本名で、ある日突然女子に変身してしまったんだそうだ。

そんな事ってあるんだ・・・フィクションの世界の話でしかないと思ってたのに。


「そうなんですか」

「だからいまも戸籍上は男性なの」

「美青って呼んでましたけど」

「それはいわゆる芸名みたいなもんだよ」

「そう言うことですか」


高田先輩が外見女性なのに男性名で呼ぶのは変?っ考えたらしく、”芸名”みたいな

名前を付けたんだと言う事だって。確かにそれは一理あるな


「でも美青って名前で呼ばれることに違和感ないんですかね」

「無いみたい。まぁ当初は変だなと思ってたみたいだけど」


山田美青


でも可愛い名前だなぁ・・・



しかし告白していいものなのか?悩むなぁ


第26話 完





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