第25話 ある日のできごと

今日は日曜日

美里と愛ちゃんを連れて3人デート。

駅で待ち合わせ、やってきた電車に乗るけど満員!これ乗るの?


やっとの思いで乗ると、「何とか乗れたね」

「この時間って、こんなに混む?」

「いやぁ、あんまりこの時間乗らないし」

「だよね」


しばらくすると。

愛ちゃん、なにか我慢している様子、顔が赤くなっている・・・

冷や汗?を書いているようだ。


「どうしたの?」

「う、ん・・・」


彼女の背後には30代半ばと思しきサラリーマンが立っているのだが、

そいつは愛ちゃんに身体を密着させている。


目線で美里に合図をすると、

(わかった)と言う目線を送って来た。

その男の様子を目線で窺っていると、どうもなにか興奮しているらしい。

どうやら痴漢のようだ。

(つかまえるよ)と美里に合図する。

電車が駅につき、ドアが開く瞬間に捕まえようとしたその瞬間、

「警察だ!なにやってるんだ!お前!」

「え・・・あっ・・・なにも」

「何もじゃねえんだよ!こっちはバッチリ見てるんだぞ!

 さぁ大人しくついてきなさい!」

空いたドアからプラットホームに連れ出される男。


「怖かったね、もう大丈夫だよ」婦人警察官の女性から声を掛けられる愛


「あなたはお友達?いっしょに来てくれるかな?」



駅事務所に入ると男は椅子に座らされていた。

「俺は何もしてない!痴漢なんてしてない!」

「ウソをつくな!警察官は全て見ていたぞ、キミたちも見ていたか?」

「はい、この男が彼女の後ろにピッタリくっ付いていました」

「何かの間違えです、ボクは何もしてません!」

「そうかいそうかい、じゃあ詳しい話は警察署で聞くよ!さあ来なさい!」


たまたま警戒中の私服警官がそばにいたのが幸いだったのだが。

「もう混雑する電車には乗りたくないなぁ・・・」

折角3人で遊びに行こうと思ってたのが、初っ端からこんな事になってしまい・・・


「どうする?」

「ごはんだけでも行こうか?」

「そうだね」


元気のない愛ちゃんを励ましつつ。

「じゃあこのお店に入ろうか」

と入ったのは、アーケード街の中にある、こぎれいな洋食のお店。


おいしい食事で、すこしは元気が出てきた愛ちゃん

「はじめてですよ、あんな体験は・・・

 でももう大丈夫です、お二人に助けてもらって、ありがとうございました」

「そう、なら良かった。でも気を付けてね」

「はい」



アーケード街を抜けると大きな公園がある。

芝生がキレイに整えられていて、大きな樹の下にはベンチがあり遊歩道を

犬を連れて歩いている人や、芝生のうえで寝そべるひと、子供と遊ぶ若い親、

にぎやかではあるけど、それなりに静かでもある。


「あそこに座ろう」

小さな木陰のベンチが空いていた。


「あそこにテイクアウトのクルマあるね」

「ちょっと行ってみよ」


その車はコーヒーなどの移動販売車だった。

愛ちゃんはブレンド、美里と自分はブラック

「美青さんブラックなんですね、おっとなぁ~~~」

「ふふふ、愛ちゃんはまだ子供ね」

「えー!もう来年は高校生なんですよ!」

「ははは、冗談よ」


ベンチに座り、

「美青さん、美里さんは将来どんな仕事がしたいですか?」

将来の仕事かぁ・・・なんだろうなぁ

「私はデザイナーになりたい、自分で洋服を作ったりプロデュースしたりしたいな」

「美青さんは?」

と聞かれて・・・どうしたいのだろうと考えてしまった。


男に生まれて、プロスポーツ選手になりたいと漠然と考えていたこともあったし

けど今は・・・


「いまは特に考えていないよ」

「そうなんですか」


あと高校生活も2年ないし、どうしたら良いんでしょう。


第25話 完







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