第23話 ガールズトークの中に元男が

クラスカースト最上位の綾の妹、愛、そして幼馴染の美里と私

(もう俺とは言わなくなっていた)


ショッピングモールの中にあるカラオケで。

「じゃあ1曲め!もちろんあたしな!」とやっぱりこう言うところは綾だな。


私も美里も曲をつぎつぎに入れては、歌い、入れては歌いの繰り返し

「愛ちゃんは?」

「わ、わたし・・・・?」


綾はすでに声がかれているw

美里もわたしも、そろそろノドがヤバい。


「愛ちゃん、何か歌いなよ」

「えーわたし・・・ですか・・・」

「綾からも何か言えよ」


おおお?

愛ちゃんが何か入力したぞ!


その間にも綾が熱唱、美里もわたしも・・・


【恋をしたから】

えー、あいみょんとか歌うんだ。


あらっ?なかなかいい声してるね。

それに案外、上手いじゃん。音程外さないしね。


「ありがとうございました」

「愛!あんた歌上手いね、見直しちゃったよ」

「そ、そっそう?お姉ちゃんに褒められるのは嬉しいよ」



「もしもしフロント?1時間延長ね!」


綾はちゃっかり、延長の連絡しているし、

美里はすっかり、愛ちゃんと仲良くトーク中だし。

俺は・・・もとい私は・・・


元男としてはこういう、ガールズトーク中どうすればいいのだろうか。

聞くふりをしているのが良いんだろうか?はたまた積極的に会話に”割り込む”のが

良いんだろうか・・・


そもそも男の時だって、それほど会話上手であったわけではないし。

男同士の会話でも苦労していたのに、女子の会話とか・・・無理筋って言うもので。


美里と愛ちゃんの会話に、姉の綾も加わり3人でトーク中。

「ねぇ美青は何か話しないの?」

いやいや、めちゃめちゃ話したいよ出来ればな。それが出来ないから苦労してる。


「美青が男だった時の将来は何を目指してたの?」

「うーん、特にこれってものは無かった」

「女になったら?」

「まったく考えていなかったな。いつかは男に戻れると思ってたし」

「でもいつまでたっても男には戻れない・・・」

そうなんだよなぁ・・・このまま女子として生活していくのであれば、

当然性別変更せねばならんだろうし、将来的な生活も考えていたのとは

別の生活スタイルを考えねばならないし・・・


「美青はスタイルいいから、私と同じモデルを考えては?」

「そうかなぁ・・・」

「そうだよ、絶対似合うと思うな、二人はどう?」

「美里が言う通り、モデルは良いかもな」

「私もお姉ちゃんが言う通り、モデルかもです。私もモデルになりたいですね」


「綾も愛もどうするつもりなのさ」

うーんと二人で顔を見つめ合う・・・

二人とも将来のことはあまり考えていないのかもしれんなぁ。



第22話 完





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