第21話 ビッチギャルの妹は

ある日の帰り道

自転車を押して横断歩道を渡ろうとすると、

「おーい!山田!」

俺の名を呼ぶ女子がいる。

「?」

立ち漕ぎでやってきた、その女はクラスカースト最上位のイケイケギャル大原綾だ。


「ちょっと付き合って」

「どこへ」

「まぁいいからさ」


綾についていくと、駅前のカフェに入っていく。

「実はさ、山田と付き合いたいって言う子がいてね」

「俺、じゃなかった私と?」

「そういうこと」

「だれ?」

「あたしの妹」

「は?お前の妹?」

「そうなんだよ、ぜひ一度デートしてほしいって言うのさ」

「ってかさ、デートって男女でするもんじゃないの?」

「お前は元男だろ?それだけで十分じゃね?」

「今は女なんだが」

「それが良いんだってよ」

「ふーん」


ってことでイケイケギャル大原綾の妹とデートというか

とりあえず会ってみることにしたんだが。


この間、綾と話をしていたカフェで待ち合わせることにした。

「お待たせ」って綾が来た。

「なんでお前?」

「まぁまぁ・・・こっち来な?」

と綾の後ろで、ひょこっと顔を出す女子がいる。

「この子は人見知りでさ、あたしとは180度性格違うんだよね」

「へぇそうなんだ」

「愛、あいさつしな」

「こ、こっ、こんにちは大原愛です」

ギャルの綾とはまったく違う清楚系JKが現れた。

「この子なんだけど、こういう性格だから学校でも友達が出来ないんだって」

「学年は?」

「い、一年」

「学校はどこ?」と聞いてびっくりした、

このあたりでは最高難度の高校であるT学園高校だったんだよね。

「T学園なの?」

ちなみにT学園高校は女子高なのだった。

「だからか、女子高なのに友達出来ないから、俺に、じゃなくて私に教えてもらおう

 そう言うことなのかな」

「正解!さすがだな」

「って言うか、姉のお前がそう言うところは指導すればいいじゃんよ」

「あのさぁ、あたしのナリを見て、そう言うこと言える?」

金髪だしバッチリメイクだし、ミニスカートだし、どう見ても指導すると言うか

指導される方なんだよな。

「だから、お前に頼みたいんだよねぇ」

「まぁ解った、じゃあ今日は一日付き合えば良いの?」

「そう言うことよ、悪いけど使った金は後で請求してくれる?」

「いいけど、そんなの私が出すからいいよ」

「いやぁ、あたしが頼むんだからさ、そういうことぐらいさせてよ」

「綾が言うならな」


「じゃあ頼むぜ!」



超絶人見知りの子を預かったわけだが。


「私の名前は山田・・・」どうしよ美青って名乗るか?本名名乗るか?

「美青さんですよね」何で知ってる?

「お姉ちゃんから、そう呼びなって言われてます」そう言うことね


「愛ちゃん、緊張してる」

「はい、してます」

緊張をほぐすにはどうしたら良いか。

とりま、話しかけるところからかな・・・


「あ、あの・・・美青さんって」

「え?」

「もとは男性だったってお姉ちゃんが言ってましたが本当ですか?」

「うん、ホントだよ」

「なんで女になったのですか?」

「解らない、朝起きたら女性になってたんだ」

「なにか前触れのようなものは?」

「まったく、何にもないんだ」

「不思議ですね」

だんだん、話が出来るようになってきたようだ。


「愛ちゃんは趣味とかあるの?」

「あ、ええ、えーっと綾姉さんから聞いていますか?」

「いや?なにも」

「お洋服が好きです」「それとヘアスタイルを変えること」

そう言えば彼女は黒髪ストレートで前髪を揃えている、姉の綾とはまるっきり違う。

どちらかと言うと、ゴスロリに近い服を着ていてローファーを履いている。

「じゃあ、好きなお洋服のお店に行ってみよう」

「あ、あっ、良いんですか!」


ギャルの妹っていうから、とんでもないやつが来るかと思ってたら、

真逆の清楚系JKが来たのは、驚いたがこんなものなのかもしれないな。


第21話 完

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