第12話 和解?

美里にフラれ、みちると付き合っている俺

「美里・・・ちょっといい」

「・・・」

「ねぇ話を聞いて」

「・・・」

「聞いてくれない?」

「聞く必要はないわ、あなたはもう私の・・・私を・・・うっ、うう」

泣き出す美里、周りの女子が慰めている、それと同時に俺を責めてくる。

「なんで?美里を泣かすような事すんのよ!」

「美里を泣かすなんてサイテー!」


いやぁそんなんじゃないんだけど・・・ただ話を聞いてほしいだけなんだ。


授業中も俺はそれどころじゃなかった。

「おい康太」

「ん?なに圭?」

「隣のクラスはお前が美里をフッたって噂だぞ」

うーん結論的にはそうなんだけど、俺はフラれた方なんだが。

でも・・・


休み時間、

隣の教室を覗いてみたけど、窓際の席で美里は心ここにあらずと言った感じで

校庭を気のない目で見ている。その姿はどこか寂しげだ。



「こうたん!」

みちるの声がする。

「あの、高田美里さんと話がしたいんだけど」

「みちるが?」

「そう」

「なんで?」

「なんでって、あたしがこうたんを奪ったって噂が立ってるからよ」

「そんな噂が?」

「そうなんだ」と言うみちるの表情はあっけらかんとしている。


「話すのは良いけどさ、自分からは何もできないよ」

「そうなの?じゃあ私から話してみるわ」


数日後

「こうたん」みちるがやって来た。

明日土曜日の午後に三人で会う事にしたと言ってきた。

「えっ?美里がよく承知したね」

「なにも?彼女すごく喜んでたよ」

「?」


その日がやって来た。

学校帰りに待ち合わせた喫茶店に行くと、すでに美里とみちるが来ていた。

二人で親し気に会話している。何だか楽しそう・・・俺が入る余地は無い様に見えた


「おそくなってすみません」

「こうたん遅いよ!」

「・・・」美里は目を合わせてくれなかった。

よそから見れば3人のJKが楽しげに話しているようには見えるだろう、だが。


「ねぇ、こうたん」口火を切ったのは美里

「あなたが女性に突然変身したあと、いつも気にかけていたこと解ってる?」

「解ってる」

「ちょっと待って、突然変身って何?」

「ああ、みちるちゃんは知らなかったのね。こうたんはもともと男なのよ」

「えっ?なんで?どういうこと?」

「そう、美里が今言ったことは本当の事さ。自分はもともと山田康太って男子だよ」

「・・・」絶句するみちる

「だから、こうたんって呼ばれているんだ」

「・・・」口を開けたまま、相変わらず絶句している


どう考えても解らないだろうなぁ。

男子が朝起きたら、いきなり何の前触れもなく女子に変身していたら。

逆の立場だとどうするんだろう、などと考えていた時。

「でも良いんです、こうたんが男だろうと女だろうと、この前二人で遊んだときに

 解ったんです。優しい性格なんだなぁって。これでモテないとか有り得ないと」

「・・・」

「解ったんだ、そう、この人は優しいの。だからモテなかったのよ。優しすぎてね」


美里は、俺のことは何でもお見通しなんだ。

「そりゃあ幼馴染ですからね」


「悪かった、美里・・・」

「解ってもらえればいいのよ、今まで通り。ねっ」

みちるの前でキスされた。和解のキス。


「ああーーーいいんだ!あたしにもキスして!」

「ダメ!これは私とこうたんだけなの。ごめんねみちるちゃん」

「やだやだ!!あたしも!」



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