第13話 仲直り

美里との仲も元通りになり、みちるとも今まで通り付き合っている俺

3人で出かけることが多くなったのだが、ただ・・・


「わたしが隣なのよ」

「いや、みちるなの!」


隣にどちらが並ぶかで揉めてみたり、

ご飯食べようとして、どの席に座るかどうかで揉めたり、

正直、どっちでも良いんだが、本人たちは真剣である。


「これ似合うよね」

「いや、こっちの方が似合うよ!ねっ!」

「どっちも可愛いと思うよ」

「どっちか選んで!」

「そんなぁ・・・」


美里とみちるも、競っているようで、案外仲が良くなっている。

そもそもみちるが会ってみたいって言っていたんだし、美里に。


家に帰って

「お姉ちゃん」

「だからお姉ちゃんじゃねぇって言ってんだろ!」

「説得力ないねぇ」

理沙が正論をブチかましてきた。

そのくせ、「あーあたしもお姉ちゃんと遊びに行きたいなぁ」とか言っている。

どうやら、俺が美里・みちるに独占されているのが、「マジ有り得ないんだけど!」


「理沙さぁ、こんどお姉ちゃんたちと遊びに行こう」

「えっ!マジ?一緒に遊べるってこと?」

「そうだが」


理沙は俺にとって可愛い妹であると同時に、女の子になってしまった俺にいろいろと

アドバイスしてくれるありがたい存在なのだ。

「お姉ちゃんさぁ、寒くなって来たしスカートの下なに履いてく?」

「なにって、どういうこと?」

「タイツか何か?」

「そうだなタイツかな」

「ださっ!」

イマドキJKはタイツなど履かないんだそうだ。じゃなにを?

「何も履かない」

「寒くねぇの?」

「我慢すんのよ、JKたるもの見た目第一よ!」

「そういうものかね」



そんなある日、美里から電話

「ねぇこうたん」

「なに?」

「あのさ、男の子の時は山田康太だったでしょ?」

「そう」

「女の子になったんだし、いつまでもこうたんでは?って思わない?」

「そう言われてもねぇ・・・」

「戸籍上は山田康太じゃん、それはそれとして普段は、どうする?」

「芸名みたいな?」

「そう言うこと」

それは思いつかなかったなぁ・・・

「じゃあ美里、考えてくれよ」

「えっ!いいの?私が考えて」

「いいよ」

「じゃあ、みちるにも話とくわ」

「わかった」


数日後、

こういう名前は?って美里が考えて来たのは「美青」

「こうたんさ、青好きだよね」

「うん、まぁそうかな」

「青色の服をよく着てるよね」

「ああ、だから?」「そう」

「ねぇこう言うのは?」

ってみちるが言ってきたのは「絵里奈」

「あたしが好きなアニメキャラなの」

はぁそういうつけ方もあるのか・・・

「どっち!」

「もちろん私よね」

「いや、あたしの方かな」


「じゃあ、美青にするわ」

「やった!」勝ち誇る美里

「すまん!みちる」

「いやいや別に、気にしてないし」

と言いつつ気にしている素振りのみちるが愛おしい。










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