第2話 女同士?

オロオロする家族を前に俺は朝食を済ませ、美里が待つ駅前に向かおうとしていたが


困った…何着ていけば良いのか?

「お兄ちゃん、あたしのお洋服着て行けば?」

「ええーー、そんな・・・」

「だって、お兄ちゃんの背格好、あたしと同じくらいよ?」

理沙の身長は女子では比較的大きい165cm、俺は192cmもある・・・筈だが・・


そう言えば、さっきから目線が低くなっているのに気が付いた

「なんか理沙、おまえと身長同じになってね?」

「なってるよ、女子化といっしょに身長も小さくなったのかなぁ?」


俺の手持ちの服じゃサイズ合わないって事じゃん・・・どうしよ・・・

「これなんかどう?」

「あーこれかもな・・・」

「こっちはどうかな?」

母親まで巻き込んでの洋服選びが始まってしまった。


あらっ!もうこんな時間・・・

駅まで自転車で行っても15分はかかる。

なのにもう、待ち合わせの20分前なのにまだ決まらん!


「じゃあ、もうこれで決めなよ」

って理沙が持ってきたのはなんと「メイド服」

なんでこんなの持ってんだ?そしたら興味があったんだと。


理沙に手伝ってもらって着替えたんだが

「これこれ!お兄ちゃんにこう言うの合うんだなぁ」しきりと感心する妹


仕方ない!これで行くか・・・

「じゃあ行ってくる」


メイドが自転車立ち漕ぎで全力疾走するとか、ある意味罰ゲームだわ。


なんとか待ち合わせより5分遅刻で収まった。



美里は・・・どこ?

あっ!いた


「ごめん!遅くなって」と声をかけるが、俺の顔をじっと見つめる美里

「えっ!あなた誰?」

「誰って?俺だよ康太!」

「またまたぁ~~~すみません人違いだと思いますが」


解らなくても当然、

190以上もある大男の俺じゃなくて、長身女性だから、解らなくて当然。

「えええ!康太くん?」

「そうなんだ」「ホントに康太くん??」

そんなやり取りをしていたんだが。


「でもさ、男と女じゃなくて女同士ってことでしょ?そっちの方が気が楽だもん!」

「そういうものかね?」

「そうよ!じゃあ行きましょ!」


電車に乗っても周りの乗客たちは

ただの女友達が遊びに行くとしか見ていないだろうなぁ。


「ねぇ何て呼んだら良いの?」

「うーんどう呼びたい?美里が呼びたい呼び名で良いよ」

「康太くんって呼べないよねぇ、こうたんでは?」

「うん、まあいいよ」


そうだよな、康太って男の名前だし、女の子になってしまったのに

名前は今まで通りでは・・・


「こうたん?そのメイド服どうしたの?」

「あっ?これ妹が持ってたんだ」

「あ、理沙ちゃん?メイド服どうする気だったのかね?」

「解らないなぁ」


電車がある駅に着く

大勢の乗客が下りていく

この駅は隣接した場所に巨大なショッピングモールがあって、

ショッピングモールのために作られた駅でもある。


「あの、こうたんさぁ」

「なに?」

「お洋服どうするの?」

「どうするって?」

「これから学校行く時とか?どうするの?」

「どうしたら良い?」

「じゃあ私の貸してあげようか」

「女子用の?」

「それ以外ないじゃない!私と体形とか同じようだし」

この俺がスカート履くのかよ!

「帰りにうちに寄ってって」

そうする以外にないよな、体形も変わっちゃ多みたいだし男子用制服は

着れないよなぁ。それに大きいし・・・


普段の日の洋服だって困るよな。

「じゃあ今日は、こうたんのお洋服買いに行こうよ」

「美里が選んでくれるのなら嬉しいよ」




「あれも良いし、こっちも似合うし、こうたんは何着せても似合うなぁ」

「そっ、そうなの?」

「そうよ、私より可愛いなんて許せないw」

「まぁ怒るなよ!」

「冗談よ!私の女友達がこんな可愛い子だなんて、逆に嬉しいわ!」


フードコートで二人でお昼

向かい合わせに座ったんだが、俺をじっと見つめる美里

「あんまり見つめるの止めてくれる?」

「だって、あまりにも可愛すぎるんだもん!見ちゃダメ?」

「え、う、うんまぁ良いけど・・・」

「ねぇこうたん?ずっとこのまま女の子のままで居なよ」

「いやぁ・・・それはちょっと、男に戻りたいんだけどなぁ」


そう言えばどうして女の子になったのかもわからないし、男に戻れるか解らない

「なんでこういう事になったんだろうな」

「いや、私はこのままで居て欲しいな」

「なんで?」

「だって・・・・可愛いんだもの!」



「今日はありがとう!楽しかったよ!」

「そ、そっ、そうかい?それなら良かった」


美里の言えば俺んちから、さほど離れているわけじゃないので

「じゃあこれ一式貸してあげるから」

紺色のブレザーとチェック柄のスカート、ネクタイ、Yシャツなど一式を

美里から借りる俺、ある意味役得だがw


家に帰ってからも

「お兄ちゃん!似合い過ぎだよ!理沙嫉妬しちゃうな・・・」

「康太、明日から学校どうするの?」

「どうするって、このまま行くしか無いだろ?」

「制服はどうすんの?」

「美里に借りた」

「ああ高田さんに?あとでお母さんにお礼しとくわ」


明日からは学校だし・・・どうしよう・・・





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