第17話 ジョン王子の内心

 俺はジョン・リーテン19歳。リーテン王国の王子だ。


 俺には9歳の頃から婚約者がいた。シェリーというとても可愛い子で、俺の2歳年上だった。


 俺はシェリーがこの城に来てからすぐにシェリーに恋をした。


 シェリーは恥ずかしがり屋で、よく照れて俺の前から逃げ出した。

 

 シェリーは俺のために魔道の訓練に打ち込んでいた。きっと将来俺を守ってくれるためだと思う。



 しかしシェリーにはクラウスという名のストーカーがいた。奴はしょっちゅう手紙を寄越してきて、俺のシェリーにいらない報告をしてきた。


 だから俺はシェリーを守る為に、奴の手紙が届いたらビリビリに破り捨てていた。



 俺たちは相思相愛だったと思う。


 だけどシェリーは恥ずかしがり屋で、キスどころか手を繋ぐこともさせてくれなかった。


 いい加減俺はシェリーの口から俺への愛を聞きたくなり、3ヶ月くらい前にシェリーにある質問を投げかけた。




「ねぇシェリー。俺に浮気をされたらどうする?」

 もちろん俺はシェリーに一途だからそんな気サラサラない。


 しかしシェリーはこう答える。

「ジョン王子ご自身の評判を下げることになってしまうので、控えたほうがよろしいかと」

 彼女は「失礼します」と言って一礼して、その場から去っていってしまった。


 違うんだシェリー。そうじゃない。きっと今君は自室で“浮気なんかされたくない”って、泣いているんだと思う。


 俺はそれを、俺の前でしてほしいだけなんだよ。


 俺の前で「浮気なんかしないで私だけを見て!」って泣いてくれたら、俺はもうそれで満足なんだよ。



 それからシェリーは一切そのことについて聞いてこない。彼女なりに考えないようにしようって頑張ってくれてるのかな。



 でも俺は、君からの愛の言葉が聞きたい。



 だから俺はそれから数日後、少し意地悪かなとも思ったけど、こう質問した。


「もう1人と婚約するって言ったらどうする?」

 あぁ、ごめんねシェリー。そんなの嫌だよね。


 でも彼女は強がってこう答える。

「それならばよろしいのでは」



 なんてこった。君はなんて意地っ張りなんだ。

 もうこれは実際に婚約をしてしまって、イチャイチャしているところを見せつけて嫉妬を誘うしかない。


 そしたらシェリーだってきっと、俺に泣きついてキスをせがんでくるだろう。


 そう考えた俺は、父上にも内緒で隣のアンカード王国へと出かけた。



 国境の関所で止められてしまってアンカード国内へは入れてもらえなかったけど、俺が「エイダ王女と婚約したい」って言ったら、すぐに綺麗なお姉さんが飛んできた。


 その彼女がエイダ王女らしく、彼女は俺に会うなりこう言った。

「ジョン王子の素晴らしいお噂を耳にし、密かにずっとお慕いしておりました。このエイダ、あなたに全てを捧げます」


 彼女はそう言って俺の頬にキスをしてきた。


 これだよ! 俺がシェリーにして欲しかったのはこれなんだよ。


 でもエイダ王女も綺麗な人だし、積極的だし、これならシェリーも嫉妬すること間違いなし。

 そう思った俺はエイダ王女と手を繋いでリーテン王国へと戻った。

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