ジェイムスの時系列

「あの人」はずっと探していた。


「あの人」は顔を洗い、鏡で自分を見つめると、顔の滴を振り落とす。


外は寒い。

「あの人」は彼女の恋人、「その人」と共にこの街にいつの日か来た。

それは九月二十四日のこと。


他に見るものはなくて、

「その人」が残したものは手紙一枚のみ。

彼はこの場でまた会って、「時間が許す限り続けたい」、と書いた。


「その人」が心なしの病にかかると、約束はすぐに守られ、「あの人」は彼の手を掴んだ。


それが最後の近い出会いだった。


「あの人」はいつの日か消えた「その人」を探しに、道しるべなしに歩き続ける...

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