第7話 王子様の花嫁探し

舞踏会の翌日、王室から国の全ての女性に通達が出ました。

「未婚のガラスの靴を履ける娘を王子の花嫁とする。」

当然、継母達はこの通達を聞きました。

アナスタシアとドリゼラは我先にとおめかしをしてこのチャンスをものにしようとしました。


一方のエラは通達に気づかず特に何も特別なことをしようとせず、普段通りに生活していました。


数時間後、王子の使節が屋敷を訪れました。

「この家に未婚の娘はいるか?」

「ドリゼラとアナスタシアがここに。」

すると大公が持っているガラスの靴を見て

「かなり小さいわよ。」 「どうするお母様?」

と口々にトメレインに囁やきました。

「なら、足を切り落とせばいいじゃない。」

そう言うと懐からナイフを取り出しました。

「でもそんなことしたら歩けなくなるけど。」

アナスタシアがそう言うと

「王子と結婚すれば歩く必要もないわ。」

となだめました。

「どちらから履きますか?」

大公の質問に

「まずは私が。」

とアナスタシアが履くことになりました。

アナスタシアはもらったナイフで指を切り落としその激痛に耐えながら靴を履きました。

大公が見るとガラスの靴は血塗れになっていて

「騙そうとしたのかこの無礼者。何処かへときえてしまえ。」

と激怒され、広間の隅で痛みに耐えられず泣いてしまいました。

「次は私が。」

とドリゼラが履こうとしました。今度は踵を切り落とし靴を履きました。

大公が見ると踵の部分が血塗れになっていて

「お前もあいつと同じだ!何処かへときえてしまえ。」

と言われ隅へ追いやられました。

ただ靴を履かせようとしただけなのに大量の血が流れ、女性が二人大声で泣いている凄惨な光景に大公に同行した兵士の中には気分が悪くなる者もいました。

そこに何も知らないエラが泣き声を聞いて広間にきました。

「どうかしたのですか。あれっ。なんでお城の人がここに?」

「この娘にも靴を履かせましょう。」

兵士の一人がそう言うと大公は頷き、エラに靴を履く為にこちらへくるように言いました。

そしてエラが靴を履くとピッタリでした。そして大公が確認して血の一滴も流れていないことを調べるとエラの前に跪き

「あなた様が昨晩の姫でしたか。」

と言うと継母達3人はそんなはずないといいますがエラの

「はい。」

という一言の前で完全に黙ってしまいました。

「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」

と大公が聞くと丁寧な所作で

「エラと申します。」

と返しました。

「エラ様。王子がお待ちです。お城に向かいましょう。」

と大公が言うと

「行く前に最後にお母様に挨拶させてください。」

とエラが言うと継母達に向けて

「行ってきます。お元気で。」

と声色は優しく、けれど今まで経験したことない程冷たい目で継母達を見下しながら言いました。

継母達は黙って見送ることしかできませんでした。

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