第9話:Ready

『総員、戦闘配置』


艦内アナウンスが鳴り響く。迫水班は空母護衛を離れノットを上げ前進していく。それに続いてマヤスカヤ班が前進していく。

「あと数分で目標地点です」


「到着後は停止キルエンジンだ」


C.O.と書かれた椅子に座り、正面までから全体を見渡す。

『こちらマイケル・スラットリー、奴らの目の物を見してやろう』


地平線には巨大な敵母艦がうっすらと見えてきた。

「エンジン停止だ」


空母4隻が指定位置に着き、攻撃機の発艦準備を開始した。次々と攻撃機が空へ上がっていくのが見える。こんな大規模戦闘、2年ぶりか。

「こちら艦橋、CIC(Combat Information Center)、敵影に細心の注意を払え」


『こちらCIC、了解しました』


ここで奴を倒す。世界を守る艦隊がここに集まってるんだ、これで倒せなきゃなにが—爆発!?迫水班の駆逐艦が… 燃えてる!?

『こ…らミヤ…ース…!沈没…沈…!』


「ミヤギ・ベース何が起きた!」


その時また駆逐艦が爆発した。今度は環境に当たった。

「おいおいなんだあれ… どうなってるんだ…?CIC!どうなってる!」


『わかりません!レーダーには… マッハで飛ぶミサイルが一瞬映っていました』


「マッハだと…?そんなもの、どうやって防ぐんだよ…」


そうこうしているうちにまた一隻、また一隻と船がやられていく。

『全艦撤退!作戦は中止だ!!』


「ヘリを出せ!エアオスプレイだ!今すぐ救助に向かえ!」


身体が震えた。さっきまでの艦隊が今やもう6隻やられた、なんの抵抗もできず、一方的に。

『こちらCIC、敵の攻撃方法が分かりました、すぐにこちらへ来てください』


「了解した」


艦橋を出て階段を下っていく。細い通路を通り入ったのは青く染まった窓のない部屋、CICだ。

「サーシャ、説明を」


「はい、この写真を見てください」


「敵母艦か?」


「その写真の… この部分。煙が出ているでしょう?これがミサイルの煙だと推測されます」


「なぜ中で煙を出してるんだ?」


「多分速度をつけるためです。予測ですが、このミサイルは初速が遅い、故にミサイル発射口に一定時とどめておかなければならない」


「それが分かったからと言って打開策は… いや一つあるな、一旦引こう」


だがそれは味方を犠牲にするという事、この作戦は—

「ソナーに敵影確認!まっすぐこっちへ向かって来てます!」


「サメ型か!爆雷と魚雷の用意、潜水ミサイルの要請!」


「魚雷、1から3発射!爆雷投下用意!」


スクリーンのソナーを形相変えて見る。中央の緑四角から3つの青い点が赤い四角に向けて進んでいく。徐々に近づく敵と魚雷。

「魚雷被弾まで4… 3… 2……今です!」


スクリーンから青い点が消えたが赤い四角は健在だった。

「撃沈ならず!続けて魚雷第二弾を発車します!」


「…!敵から魚雷らしきものが来る!」


それは俺らの魚雷より一段と早く迫ってくる。

「衝撃に備えろ!」


『こちらCIC、総員衝撃に備えろ!』


3… 2… 1…、見事に船底に当たった。だが魚雷の威力はそこまでではなかった。

「味方艦から潜水ミサイル、来ます!」


潜水ミサイル、潜水艦特化のミサイルだ。これで倒せなかったら打つてなしだ。

「着弾しました!…目標沈黙、やりました!」


「そうか… よくやった!ダメージコントロール、ワケアは大丈夫そうか?」


ダメージコントロール、この船の損害を知る術だ。

「航行に支障はありません!」


「よし、このまま戦闘区域を離脱するぞ」


「艦長!戦艦クーから入電です」

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