第4話:接敵

「艦長、どうなさいますか?」


今まさに艦橋では重苦しい空気が漂っている。こちらから敵は確認できてないが、敵はこちらの偵察機を一機に多大なダメージを与えてる。

「一旦全艦停止、いつでも離脱できるようにしておけ」


「了解!艦長どちらへ?」


「少しマークスマン小隊長に面会しに行く、軽い怪我らしいから話ぐらいはできるだろう」


聞きたいことは三つ。どれぐらいの距離で空が開いたのか、その時に感じた違和感は何か、それと。これが俺の疑問だ。

「大丈夫か、マークスマン」


「艦長…!面目ありません、自分が油断してたあまりに…」


「いいさ、俺は質問をしにきた」


「と言いますと?」


俺が抱えてる疑問を話した。

「どう説明したものか… 少し厄介な話です」


「どういうことだ?」


「端的に言いますと、


「ん? 故障か何かってことか?」


「だったら良かったんですが… 一定距離に入った瞬間にGPSと無線が全てダメになりました。ですが機体は正常に動いてたためEMPの類ではないはずです」


「それで報告が遅れたと」


「その通りです」


「わかった、ありがとう」


今の証言を頭の中でまとめつつ、メディカルルームを出てすぐに艦橋に向かった。

「ジョーンズ、全艦に通達」


「はい!」


「俺たちは一旦この距離を保ちながら様子見だ。敵はおそらくなんらかのカモフラージュを付けていると推測する」


『おいおい良いのか?ここは俺の船が先行して敵さんの全体を見てくることもできるぜ?』


「これは多分フィールド型カモフラージュじゃない」


フィールド型カモフラージュ。これは5年前のテロとの戦争でアイツらが使ってた技術。定めた半径に応じてカモフラージュ球が生成される。この場合、カモフラージュは球に映し出されてるため中に入れば実際の光景が観れるが今回のはそうではない。がキーワードだ。多分奴らは…


「奴らは未確認飛行物体全体にカモフラージュを付けてる、だから中に入っても意味がない」


『チッ、これも宇宙テクノロジーかよ』


それに厄介なのは…追跡弾だ。これも初めは2年前に使われた物だが…フレアが使えないとなると無闇に戦闘機や攻撃機を出せなくなるな。

『え〜。雛たちは接近しちゃダメなの?』


『あんた見かけによらず戦闘狂ね…』


「とりあえずここは…」


ビービービー!艦内に鳴り響く急接近アラート

「艦長!10km先から所属不明の飛行物体が急接近!」


「数は!」


「一機だけです」


一機だけ?偵察か?それでも一機だけは自殺行為すぎる。


「目視できます!」


「なんだありゃ… 何がなんでも… デカすぎんだろ」


見えたのは鳥のような形をした大きな何かだった。

「あれで間違い無いのか?」


「そのはずです…!」


『オイオイ、冗談が過ぎんだろ… 3メートルはあるか?』


『デカい…鳥?』


「! 対空砲、用意!!」


敵は明らかに敵対体制をとっている、見えたわけじゃない。ただの感、野生の感や山感とは別の、そう船乗りの感。やっぱりよく当たるな俺の感は。ミサイル!

「ミサイルだ!撃墜しろ!」


空母に搭載している対空砲が轟音を鳴らせながら空から舞い降りるミサイルを撃ち落とす。

「全弾撃墜!」


鳥はしばらくしてから引き返してった。

「…全艦撤退だ」


『!どういうこっちゃ艦隊長!やられっぱなしでいいってかぁ!』


「収穫としては充分だ。それに偵察が主要任務だ、それが終わった今撤退して上層部に通達する。それが最優先事項だろう」


『…ったくしゃーねーな。帰んぞ!』


艦隊は180度旋回して港への帰路についた。幸いな事にあの鳥は追ってこなかった。

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