第5話:腕試し

「敵はおそらく装甲にカモフラージュを付けております。これによって敵はの正確な位置は掴めません。それに加えて、敵側には鳥に模した何かが攻撃してきます。詳しくは分かりませんが、どうやら実際の鳥同様の飛行技術を持っているようです。確認できたのはそれだけです。これからの対応はどうなさいますか、モルド・グライズ元帥」


『…なぜ全容が掴めぬまま撤退した、メイソン大尉』


「先程も言いましたが、敵には未知の科学を駆使して襲いかかってくる可能性がありました。それゆえに空母と護衛艦3隻だけの不十分な部隊だけではまともなデータが取れないと判断しました」


『…後日ハワイに配属されている第五艦隊を率いて未確認飛行物体との戦闘データを取ってこい、次はないぞ』


「承知しました」


モルド・グライズ元帥、彼はU.E.Nの元帥。頭でっかちで融通の効かない性格、頑固で誰からも好かれないタイプの人間だ。

「ハウメア湾に停泊中の艦隊とここで合流する」


「!」


「あの頑固親父… いやグライズ元帥の命令だ」


「でも現状、アイツらへの対抗策はないはずでは!?」


「ああ、だから俺たちが行くんだ。その対抗策を見つけに」


この作戦は無茶だ。相手の手の内が分からないのに一基地駐在の艦隊に突撃させるなんてどうかしてる。これも連合艦隊に大きなダメージを残さないための策なのは大体察せる、アレが大破でもしたらU.E.Nの攻撃力は急降下する。

「だがやるなら徹底的にやるぞ」


「ですよね!連合艦隊なんかに手柄取られてたまりますか!」


『かっかっかっ!なんでぇ俺の艦隊は毎度こうもネジの飛んでるやつが多いんなんだろうな』


『別にあの宇宙船、ぶっ壊すのは賛成だけども、どうやってやるの?』


「あー、うん、そこは行き当たりばったりだ」

実際、俺には今のところ策はない。

「あ!戦艦クーと護衛艦ロノ到着しました!」


『はっはっは!あの堅物頭を唸らせる最高の機械だな!』


『なんでみんな賛成なんですか…?別にそこまで元帥さん嫌ってないでしょ?』


『は?嫌いだが?』


『うん、うざいわね』


『アイツの顔は見てくもねぇぜ』


『え?え?あ!雛は別にかなぁ〜…』


『…この無線聴いてたら僕ら謀反人だね…』


俺はこの判断でこいつらを殺す事になるかもしれない。いや、少なからず死傷者は出る、それも全部俺のせいだ。だけど俺の胸を動かす何かがある、海の勘が俺に告げてるんだ、勝てると!だが護衛艦4隻と戦艦1隻に空母1隻は多いように見えて少ない。MTFシリーズの『カナロア』『カネ』『ヒナ』はスピードとパワーの持ち主だ、これでまずミサイルを飛ばして先手を打つ。次に襲ってくるであろう鳥に対抗するために攻撃機を出すが、相手側の宇宙船に近づきすぎると回避不能な追跡弾でやられる。よって戦艦クーを囮にして鳥を引き剥がす。戦艦クーと宇宙船を出来るだけ離して中間あたりに第五艦隊を配置する。

「これで負ければ大量に死ぬな…」

だからと言って図々しく地球に入ってきた相手に歓迎の一品も出せないようじゃなぁ。

「邪念は捨て置きだ!第五艦隊、出航!」

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