第2話:襲来(2)
目標地点までフルスロットルでおおよそ20時間で着く。ただそれだと着いた時には夜なので微調整して翌朝の6時に着くようにした。
「メイソン艦長、ここからは
「ああ、ありがとうグレガー」
グレガーは副艦長、一言で表すなら忠犬だ。歳は明らかに俺より上だが彼は階級で接してくれる。正直タメ口でいいと思ってるが彼がそれを拒んでる。そんな彼だからこの艦を安心して任せられる。とりあえずお言葉に甘えて自室に戻り妻、ではまだないが彼女のアマンダに電話をかける。
「やぁ、アマンダ。そっちはどうだい?」
『大変よ!全く自分の結婚式をドタキャンなんて聞いたことないわよ』
「本当にごめん、知っての通り海軍はブラックでさぁ…」
『まぁしょうがないよ、今や地球の一大事なんだから』
「そうだね」
『でもタダでは許しません。帰ってきたら高級イタリアンでデートね!』
「ははは、もちろんそのつもりだよ」
『本当はこんなんじゃ許し尽くせないけどね』
「本当に… 俺には勿体無いぐらいの女性だよ」
『何よ急に…恥ずかしい』
「はは、じゃあ明日も早いから。おやすみ。あと愛してる」
『…うん、私も愛してる』
本当に俺には手に余るほどにいい女性だ。海軍学校の時からずっとそばに居てくれて、ハワイの艦隊長に就任するって伝えた日には泣きながら喜んでくれて… 俺がちゃんと守んないとな。
翌朝スターウォーズのテーマと共に起床し、艦長服に着替えて艦橋に向かった。
「おはよう諸君」
「おはようございます、艦長!」
艦橋にいる全員が敬礼して出迎える。
「休んでいいぞグレガー」
「いえもうすぐ接敵するので。この目でちゃんと見ておきたいです」
「まぁそういうことなら」
敵のいる座標はあと数時間で着く算段だ。一応偵察機を出しておくのも一手だな。
「偵察隊を出しておきたい、一小隊でいい」
「了解であります」
(空母『ワケア』食堂にて)
『こちら艦橋よりマークスマン小隊に通達。これより15分以内にフライトデッキ待機場に』
朝食を食べてながら放送を聞く2人。コルトとヒイラギだ。
「マジか、もう接敵すんのか?」
荒々しくシリアルを頬張るツンツン頭のコルト。
「いやいや僕たちは偵察かなんかでしょ?一小隊だけ接敵させても意味ないでしょ?」
静かにお茶を飲む相棒のヒイラギ
「おう、お前ら。こんなとこで食っちゃべってねぇで行くぞ」
そして小隊長のマークマン。
「げぇー、まだシリアル一皿しか食ってないんすよ?別に接敵じゃないんなら遅れて行ってもいいじゃないすかー」
「バカモン!偵察が終わったらいくらでもシリアルが食えるだろうが、さっさと行って終わらせるぞ」
「小隊長の鬼ぃ」
彼らはまず着替え室に寄りフライングスーツに着替える。時間にして5分。そのあとすぐに待機場に向かう。
「マークマン小隊、到着しました」
「うん、時間に余裕があるね、上出来だ。今回は偵察だけだからそんなに身構えなくてもいいよ」
数分するとフライトデッキの電磁カタパルトに三機の攻撃機が到着した。外に出て各々自分の機体に乗り込む。バブル(総合型カタパルト制御システム)の合図と共に電磁カタパルトが稼働し攻撃機は空母を勢いよく飛び出す。
「あわよくば接敵しないで欲しいが…」
船乗りの勘はよく当たると言う。それは海で得た経験と体験が活きていると言ってもいい。だが今回ばかりは当たって欲しくない、嫌な予感は。
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