第7話
当然、この巨大風船に入り胎児のポーズをして、風船で[おとなまき]の様な事をしたくないという生徒さんはおらず、俺は何度も風船の口を大きく開き、次々に生徒さん達を風船の中へと送り込んだ。
10月初旬、例年より早く肌寒くなっていたが、屋上で秋晴れの天候にも恵まれて、黒い風船の中はちょうどいい環境が整っていた。
理想のくつろぎ空間になっているようで、誰一人出たいという生徒さんはいなかった。
生徒の皆さんは楽しそうに揺れたり転がったりして先生オリジナルの[おとなまき]を楽しんでいるが、見ている方は異様な光景に見える。
しかし、見方を変えれば綺麗な女性たちがラバースーツを着て風船の中で丸まって、お尻の形もクッキリと浮き出ている。
フェチには堪らない光景である。
俺はそれを撫でたり、揉んだり、叩いたりして彼女たちの反応を見てみたい、そんな衝動に駆られ、生唾を飲んだ。
先生と最後の1人久美さんがいなければ、きっとそれを実行していただろう。
なぜなら、彼女たちからは俺が見えないので誰に触られ、誰に叩かれたかも分からないのだから。
残ったのは俺と久美さんと先生。
残ったの風船は一つ、先生は送風機で空気を注入する役目があり、俺は風船の入口を大きく開き中へ入りやすくする役目がある。
必然、久美さんが入る事になるのだが、先生がここで意外な提案を口にした。
「2人でも風船に入れるか、試して貰えない?」
驚いて言葉もでない俺に対して久美さんは「いいですよ」と軽い口調で引き受ける。
俺も久美さんがいいなら、2人で風船に閉じ込められるのは願ったり叶ったりだと快諾した。
久美さんには体にドレッシングエイドを黒いラバーの体に塗ってから先に風船に入ってもらった。
俺も同じようにドレッシングエイドを塗ってから、久美さんの後を追って風船の中へと入る。
空気がかなり抜けてしまったので、先生に空気を注入してもらう。
注入された空気である程度、風船が膨らむと先生は呼吸用のホースのついたロートが風船の口から手渡された。
しかし、今まで俺が間近で見てきたものとは少し様子が違う。
ロート部分が2つあり、それぞれが呼吸できるように顔に取り付ける。
ただ、このロートのホースは途中で合流し、1本で風船の外へと出ていっていた。
つまり、2人で必要な空気を共用するという事になる。
ホースは途中で俺と久美さん、それぞれに分岐しているのだが、それほど離れていないというより距離が近い、顔がくっつきそうだった。
お互いの顔はラバーマスクで見えないが、近くに久美さんがいるというだけで俺はものすごく緊張する。
風船の中はかなり狭い。
とても胎児のポーズを出来るスペースなどはない。
だが、今いるのは風船の中、ゴムが伸びていくらでもスペースは作れるし、胎児のポーズも出来るかも知れないと思った。
“あ!“
俺は自分が胎児のポーズが出来ない事を思い出した。
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