第2話

翌週から早速ヨガ教室に全身ラバースーツに短パン、Tシャツ姿で参加したが、他の生徒さんの反応は俺が予想していたよりも遥かに冷ややかだった。

正直、心が折れそうだったが、アトピーを治して綺麗な肌を取り戻し、彼女を作るという目標の元俺は周りの目に負けずに頑張った。


そんなある日、ヨガ教室が終わった俺のところに1人の女性がやって来た。

女性の名前は久美さん。


久美さんはレッスン中、よく俺の方をチラチラ見ていた。

レッスンの度に視線が合っていた。

正確に言えば、俺はマイクロホールマスクという細かい穴のあいたマスクを被っているので、久美さんからは俺の顔は見えていないのだが。


久美さんは俺の着ているラバースーツやマスクにえらく興味を抱いていた。

「すみません、Kさん、教えて欲しい事が何点かあるんですが」

とちょっと恥ずかしそう。

「なんですか?私に答えられることなら」

と返事をすると、久美さんは質問を始めた。


「このラバースーツってどうやって着てるんですか?」

背中にもどこにもファスナーがないので、そう思うのはもっともだと思う。


俺は首元のラバーを実際に広げて見せて、着方を久美さんに教えた。

久美さんはなるほどといった様子で頷いていた。


「次に、そのマスクって見えているんですか?」という質問。

俺からの答えは当然よく見えているし、呼吸も見た目ほど苦しい事もなく楽という事を伝えた。


そして、次の質問。

「ラバースーツってお値段高いのですか?」

値段はピンキリで、オーダーすると高くなるけど、体にピッタリフィットして包まれる安心感が得られる事を伝えた。


久美さんの質問はまだまだ続く。

着ていると暑くないのか、だとか、ラバースーツは簡単に着る事ができるのか等いろいろ。

俺はどの質問にも答えて、その度久美さんは納得しているようだった。


久美さんが質問している時、ヨガ教室の生徒さん数人は帰らずに俺の話を興味ありげに距離を置いて聞いていた。


冷ややかだと感じたのは、俺の被害妄想かも知れない。


その後しばらくは何もなく、俺も全身ラバースーツでヨガ教室を続けていた。

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