園田くん(14)
この時期がやってきたと、何度も来る度に思うけれど、一向に改善されない自分の日頃の行いに恨みが募る。
同学年で空いている時間に図書室へ集まり勉強をするかどうかとか、いや自分は一人で勉強する派だとか、そもそも勉強しているから普段とやる事が変わらない異端児とか…そんな話題が巻き起こる中、オレは教室で一人ひっそりと項垂れていた。
周りから見れば、寝不足で寝ている様な机に突っ伏している状態なので、誰も声を掛けてこないのを良い事に、俺は今の状況を整理する。
(まずい…今回のテストに出る所、苦手範囲が多い。)
オレの成績は良く言えば可も無く不可も無く、悪く言えば一歩落ちればすぐ下位になってしまう位置だった。
先生から言われた提出物は忘れずしっかり出すけれど、それが成績に直結しているのかどうかと問われれば…微妙な所で。
文系か理系かと言われれば理系で、数学、生物、物理なら公式やキーワードを覚えればどうにか対策出来るけれど、現代文、古文、英語、歴史は…目を背けたい、それがオレの現状。
(野球の方に最近重きを置いていたから…正直、不安だ。)
どうしたものか、と思う。
今の生活は変わらないけれど、その内部活も休み期間となりテスト期間へと移行してゆく、そうなると逃げ場は無く、テストと直接対決へと向かわないといけない。
(毎回分かっているのに、何度も同じ過ちをするんだから…本当、学ばないなぁ。)
自分の不甲斐無さに虚しくなるけれど、嘆いていても何も始まらない…分からないなりに勉強を始めなければ、失敗してしまうだろう。
ここで赤点を取ってしまえば、甲子園出場どころか県大会にさえ参加出来ない。
野球部で勉強会をしようと話も出ているし、今回は参加しようかな…そう思って顔を上げた途端に廊下側からデカい声が響く。
「そのだー!ノート見せ」
「お前はその他力本願な行動は止めろ!」
隣からわざわざやって来た三島はすぐ頬を膨らませるけれど、コイツは一夜漬けで頭に叩き込みどうにか逃げ切る奴なので、容赦なく切り捨てる。
(変な所器用なんだよな、本当…!)
苦虫を噛み締める様な顔になってしまうけれど、チャイムが鳴って三島も逃げ、授業が始まる。
起立、礼、着席…と一連の動きをしたオレは、自分の為に勉強に集中し始めた。
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