第14話 初めての依頼

「守護者に関する情報は・・・ダメだ、役に立たん」


ルークは上級冒険者の権限で閲覧できるギルドの情報を片っ端から漁っていた。

無論あの赤いSVF、守護者に関してである。

しかしどれも伝承レベルの物であり具体性に欠ける情報ばかりだ。

ルークが本の山と格闘していると受付嬢のニーナが声を掛けて来た。


「ルークさんに初めてのお仕事のご依頼です」


「断る。俺は今忙しい」


「そう言って前回も断ったじゃないですか。これはギルドマスター命令です。それ抜きにしても生活費が苦しいんじゃありません?」


「・・・了解した」


ニーナの言う通り、ルークの生活費は枯渇しかけていた。

背に腹は代えられない。

ルークはその任務を受ける事にした。


「任務内容は単純です。魔物の群れを討伐する事」


「で、その規模は」


「ざっとオークが100匹と言った所です」


ざわざわと周囲の冒険者が騒ぎだす。

どうやら彼らにとってオーク100匹は超難関クエストらしい。


「うろたえるな!たかがオーク100匹だ。我々上級冒険者達が束になって掛かれば楽勝だ!」



そう言ったのは同じ上級冒険者であり女騎士のルーシェだ。


「そ、そうだ。こちらには上級のSVFもあるしな」


「SVFの力など借りん!」


一言漏らした冒険者にルーシェは激怒した。

彼女はSVFが嫌いでルーク達SVF使いを毛嫌いしている。

今回の任務でルークと共闘する事は無いだろう。


「問題ない。俺は俺で敵を撃破するだけだ。」


ルークはそう言うと自室に戻った。


―任務集合地点


任務集合地点、そこには既に十数名程度の上級冒険者達が集まっていた。

いずれも自身の腕に自信のある猛者達である。

しかしオーク100匹と戦うにはいささか戦力不足であった。

そこにルークの乗ったゼクロスが現れた。


「先に敵地を偵察してきた。まもなく来るぞ」


ゼクロスが指さした方向にオークの軍勢が現れる。


「俺の邪魔をするな。お前達を巻き込まずに戦える自信が無い」


「それはこっちの台詞だ!」


ルークの言葉にルーシェが反応すると、何人か冒険者達を引き連れオークの大群に突撃していった。

ルークはやれやれと言った感じでゼクロスを操作すると、ルーシェ達よりも早くオークの軍勢を前にした。

何故ならばメガランチャーの射線上に入られては邪魔だからである。


「メガランチャー、最大出力!!」


ゼクロスはメガランチャーを両手で構えると最大威力のビーム砲撃をオークの軍勢に喰らわせた。

ゼクロスの計算では総数の6割は吹き飛ばしたろう。

問題は残りの4割である。

これ以上は周囲を巻き込まない様に白兵戦で仕留めなければならない。

ゼクロスはメガランチャーを背部にマウントすると、オークの残った大群に飛び込んだ。

ゼクロスはプラズマサーベルで次々とオークを斬り倒していく。

一方でオークの攻撃はゼクロスに対しても、搭乗者のルークに対しても全く効果がなかった。

ゼクロスが一機戦っていると、遅れてやって来た冒険者達が加勢にきた。

戦力は3人でオーク1匹をようやく相手にできるレベルである。

これは冒険者達が弱いと言うよりも、今回のオーク達が手練れが多いのだ。

勝負は乱戦になり、女騎士ルーシェは孤立してしまった。

そしてオークの魔の手が迫る。


「くっ、私一人でも戦い抜いて見せる!」


そう剣を向けたその時である。


グアアアアアアアア!!!


光の剣がオークを両断した。

その裂け目からはオークの血に塗れたゼクロスの姿が見えた。


「任務完了」


ゼクロスは空高く飛ぶと、ギルドの方へと飛んで行った。


「SVF使いというのも悪くないのかもしれんな」


自分を助けてくれたルークに少しだが感謝の心が芽生えたルーシェだった。



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