第47話

「うわ。凄い数」


例のダンジョンに入ると直ぐに手と足が生えた人間のサイズのエリンギが何十体も歩いていた。


流石に数が多い。このダンジョンでも魔物の異常出現が発生しているようだ。


そうなると出来る限りの魔物の討伐しなくちゃいけない。はぁ〜正直面倒くさい。

でも、やるって言っちゃったし。頑張りますか。


自身の周りの温度を下げる為に冷気を発生させる。周囲の植物が一瞬で凍りつくぐらいの温度まで下がったらOK。


歩くエリンギは触れると様々な効果を発症させる胞子をばら撒く。


こうしておけば。胞子を俺に触れる前に凍らせて無害がすることが出きる。


胞子の効果は個体ごとに違い、なかには触れると体中からキノコが生えてくるといったものまであるという。


絶対に胞子に触れないように気をつけないと。


中には人間にプラスの効果を与える胞子をばら撒く歩くエリンギもいるらしいけど。

見た目では判別できず、実際にくらうか鑑定スキルで確認する必要がある。


人間にプラスの効果を与える胞子をばら撒く歩くエリンギがドロップする通常サイズのエリンギは貝王町ダンジョンで手に入れた物より効果の高いポーションの材料になるらしいが。


しかし、俺には安全に判別する方法が無いから今回は諦めるしかない。


非常に残念だけど。鑑定スキルで確認しないとマジで危険だからな。

ドロップする通常サイズのキノコは触れただけで、そのエリンギをドロップした歩くエリンギの胞子とおんなじ効果を発揮する。


つまり大外れを引くと、触るだけで体中からエリンギが生えてくる。


なので今回回収するのは魔石のみだ。


地図を頼りに移動しながら歩くエリンギを倒していく。


全部は倒せて無いけど。相当数倒したし間引きとしては十分だろう。


魔物が異常出現したのは1層だけではない。

2層以降も間引きしとかないと


2層からは歩くエリンギは勿論、別のキノコの魔物とキノコに寄生されたクマの魔物も出現するようになる。


特にキノコに寄生されたクマはキノコに寄生された影響で脳のリミッターが外れ100%の力を出す事が出きる。パワーとスピードに優れた強敵という話だ。


強敵と言ってもイレギュラーより強いなんて事は無い。

相性が悪いわけでもないし、タイマンで戦う分には負けることは無いと思うけど。


魔物が異常出現している状況だからな。

1対1なんて状況にはならないだろう。


「だからって2層にいかない選択肢は無いけどな」


もう一度、気を引き締めて2層へと足を踏み入れた。



「早速、お出ましか」


2層に移動して直ぐに頭と背中に無数のキノコを生やしたクマが現れる。

白目だし、全身の筋肉が肥大化し血管が浮き出ている。毛皮の上からでもそれが分かるので相当だ。正直、熊ではない別の生物の見た目をしている。


「他の魔物が集まってくる前に倒そう」


運良く今ここにいるのはキノコに寄生されたクマ1頭、集まってくる前にとっとと倒してしまおう。


氷の大剣で寄生されたクマに斬りかかる。


「硬っ」


氷の大剣での攻撃は毛と異常に発達した筋肉によって防がれ浅い傷をつけることしかできなかった。


キノコに寄生されたクマは一切怯むこと無く。こちらに反撃してくる。


「硬い相手にはやっぱりこれだよな」


反撃を回避して裂破を叩き込む。


「は?嘘だろ?」


裂破をくらわせたキノコに寄生されたクマは全身から血を噴き出すが、一切怯まず反撃をしてくる。

いやいや。氷の大剣の時はまだ納得できるけど。

裂破のダメージに対して全く怯まないのはおかしい。

それこそ、痛覚が遮断されているとかじゃ無いと……


あ~そういうことか。寄生キノコのせいで痛覚すら消滅してるのか。


おそらくだがクマにどれだけダメージを与えようと倒すことは出来ないやつだなこれ。


「狙うべきは生えてるキノコ」


試しにキノコに当たるように氷柱を飛ばしてみると今まで回避という行動を一切取らなかったクマが大袈裟に回避行動をとった。


キノコを狙うのが攻略法ってのは間違って無さそうだ。

問題は結構な数のキノコがクマから生えている事だよな。

一つづつ破壊してたら凄い時間をとられてしま

う。


液体窒素レベルの温度をイメージした冷気を手に平に作り出す。

思ったより作るのに時間がかかったが、この冷気をクマに浴びせれば生えてるキノコを一掃出きるだろう。


キノコを凍らせるぐらいならもっと高い温度、具体的に言えば今俺が纏っているぐらいの温度の冷気でも良かった気がするけど。最初だからね。変に加減しないほうが良いだろう。


それで失敗したら目も当てられないし。


キノコに寄生されたクマの後ろに回り込み生成した冷気を浴びせる。


冷気により全てのキノコが凍りつくと糸が切れた操り人形のようにクマが地面に倒れ消滅した。


消滅した場所には魔石とキノコが落ちていたが。大外れのエリンギみたいに触ったら体中からキノコが生えてくる事になりそうなので、触らず放置。今回も魔石だけ回収した。


「はぁ。そうだよね。ここからが本番だよね」


面倒くさい魔物を倒し勝利に喜んでいると

ぞろぞろとキノコに寄生されたクマが近づいた来る。


分かっていた事では有るけど、メッチャテンション下がるわ~。


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読んでいただきありがとうございます。







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