第45話

「おつかれ〜俺の補助無しで倒すとかやるじゃん2人とも」


「倒すのに30分かかったけどな」


「しかも、その間近づいて来たミノタウロスJrは全部駿くんが倒してくれましたしね」


まぁ、そうだけど。

それでも、格上相手に勝利したんだからもうちょっと喜んでもいいと思う。


「それにしても、ミノタウロスJrの数が多い気がする」


30分もおんなじ場所で戦闘を続けていたからってのも有るのかも知れないが。


2人が戦闘している間40体のミノタウロスJrを倒している。

流石に多いよね?


ま〜たダンジョンで異常事態か。


デスパレードの予兆なのか?


クダンの予言で2年以内に発生するとは聞いてるけど。


2年以内。だからな、丁度2年後発生するかもしれないし、明日突然発生するかも知れない。


昔、デスパレードが発生する前にダンジョンで様々な異常が観測されたという。

そう考えると2年も猶予はないと思っておいたほうが良いかも知れない。


「戦闘に集中していたので、正確な数まで把握できていませんでしたが。そんなに多かったんですか……」


「今すぐ戻って探索者協会に報告するか?」


「いや。先に進んでもうちょっと情報を集めよう」


ここはまだ10層に入ってすぐの場所。

戻って報告したとして、先の様子も確認して来てくれないか?って依頼される気もするし。

そうなった場合。また戻ってくるのは面倒だ。

なので、すぐには戻らず。このまま先を確認する事にした。


「それに、今日は俺達以外にも数組探索者が10層以降で狩りをしているって話だし。無事なのか確認できるならしておかないと……手遅れか?コレ」


何かの集団がドタドタ走っている音が聞こえてくる。

音がドンドン大きくなっているので近づいて来ているということだろう。



「『幾ら数が多いとは言えただのミノタウロスJr階層を跨げば追ってこれない!!もう少しで逃げられるぞ!!』ね……これミノタウロスJrの大群に探索者が追っかけられて、逃げる為にこっちに向かって来てるな。二人はここで待っているか。上の階層に退避しといて」


そう言って声が聞こえて来た方に向かう。



「なっ人っ!?おい!!こっちにきちゃ駄目だ!!」


絶体絶命のピンチに他人を気にするか。

逃げているのは俺に警告をしてくれた人を含め6人。全員怪我をしているが、その中でも自分で歩くことが出来ないレベルの怪我をしているのが2人。

残りの4も体力的に限界が近そうな感じだし。


もう少しで階層を移動する階段だが、俺が来なかったらあと一歩のところで間に合わなかっただろうな。


「俺の事はお気になさらず。アレは俺がどうにかするので皆さんはこのまま逃げてください」


「そんなことっ!出来るわ━━━」


「慶次郎、落ち着け。あんた白鹿駿だよな?」


「呑気に話をしている場合じゃないと思いますが……はい。そうです」


探索者とミノタウロスJrの間に氷の壁を作り出し、会話に応じる。


「急造なので直ぐに壊されます。後、無いよりはマシだと思うので、これを使ってください」


念のため持ってきていたポーションを投げ渡す。


「恩に着る!!」


さて、ヒビが入った瞬間直してたけど。もうその必要も無いな。


修復を止めた瞬間氷の壁が砕ける。


氷の壁の修理と並行して会話中に作っていた氷の大剣を横に一閃。


ミノタウロスJrを纏めて数体真っ二つにする。


「広くない通路じゃ数の脅威が半減だなっ」


魔物は倒すと消滅してくれるのも有り難い。

死体が溜まって戦闘の邪魔になることもないし。血で足を滑らせるなんてハプニングも起きない。


一撃で倒せるので、ただの作業だな。

全部で70体ぐらいいそうだが。戦闘場所が通路なお陰で1対70では無く。1対3を連続でする感じで済んでるからな。


このまま氷の大剣を振り回しているだけで戦闘が終わりそうだ。



「ミノタウロスJrが踏んづけた肉は勿体ないけど。置いていこう」


特に見せ場もなく殲滅が終了したのでドロップ品の回収をしている。

ミノタウロスJrは地面に落ちるドロップ品をわざわざ避けるといった事をしないので、ドロップした肉の一部が悲惨な事になってしまった。


魔石に関しては踏まれても割れたりしなかったので全て無事だ。


「途中で増えてたのには気づいてたけど。結局120体も倒してたのか」


数を数えながら魔石を拾った結果120個もあった。魔石は魔物を倒すと確定でドロップする。


なので、今回ミノタウロスJrを120体倒したということになる。


魔石がビー玉サイズとは言えそれだけの数があったら結構な荷物だ。

まぁ、フーラちゃんとジョー君に食べてもらえば問題ないか。


後は無事だった肉だな。合計で20キロぐらいぐらい……これも結構な荷物だな。


まぁ、レベルが上がって身体能力が上昇している今なら重さ的には問題ないけど。


「さて、集め終わったし階段のところまで戻るか」


二人はそこで待ってるだろうし。



「あれ、さっきの人たちも此処にいたんですね」


階段のところまで戻ると恵太と晋平だけでなく。ミノタウロスJrの大群から逃げていた探索者の人達もここで休憩していたようだ。



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読んでいただきありがとうございます。




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