第42話

「クリオネってデカいと気持ち悪いな」


3層を偵察していると巨大なクリオネとエンカウント。


流氷の天使とも言われるクリオネ。最初は可愛いと思ったが。バッカルコーンを使い攻撃する姿が中々に気持ち悪い。


普通サイズだったらバッカルコーンが出てる姿も割りと嫌いじゃ無かったけど。


デカいと無理だ。気持ち悪い。


それにしてもバッカルコーン、自由自在に操り過ぎじゃなかろうか?


避けても避けても俺の事を追いかけてくる。

追いかけてくる操作性も凄いけど。伸縮性も凄い。どんだけ伸びるんだよ。


クリオネって毒を持ってる種類もいるとか聞いたこともあるし。


バッカルコーンの表面の粘液。毒液だったりするのかな?


「それにしても、魔物の強さが一気に上がったな」


連射速度、重視の氷柱はいくら撃っても全てバッカルコーンで迎撃されてしまう。


2層までの魔物だったらこれで十分だったんだけどな。


「だからって俺が苦戦することは無いけど」


連射速度では無く、威力重視の氷柱をクリオネに向かって撃ち込む。


クリオネは、さっきまでと同じようにバッカルコーンで破壊しようと氷柱を攻撃するが、バッカルコーンが逆に千切れる。今回はただ飛ばすんじゃなくて回転も加えて見たからな。

思いつきでやってみたけど。割りとうまく行ったな。


焦ったクリオネが回避しようと動き始めるが、

クリオネ本体の泳ぐ速度は大して早くない。

避けきれずに氷柱がクリオネの胴体に穴をあける。


「一撃で倒せないか」


胴体に風穴が空いても倒れないか。思ったより耐久も2層の魔物に比べて強化されてるみたいだ。

まぁ、2発目の氷柱で終わりなんだけどね。


威力重視と言っても1秒に一発は撃てる。

2発目はクリオネの頭部に穴をあける。

クリオネは魔石とバッカルコーンを残して消滅した。


「…バッカルコーンって何に使うんだよ」


バッカルコーンって言っちゃえば触手だからね?


そんなものナニに使えと?


というか。毒液疑惑の粘液の件もあるし。回収せずに放置するのが正解だろう……あれ、ヌメヌメした粘液はドロップ品になった事で消えてるみたい。


……魔物の素材を放置するのは勿体ないよね?


バッカルコーンを手に取る。

魔力を流した状態だと俺の思い通りに動かせるみたい。伸ばしたり縮めたりも自由自在だ。


これ、あれだグラップリングフックみたいな使い方出来るんじゃない?


いや~最初からそう思ってたんだよね(棒)


そんな誰にしているのかわからない言い訳をしながらみんなが待っている2層に一度戻った。


「なるほど。水温がかなり低い事が予想でき。魔物の強さも2層までと比べてかなり上昇していると」


「そうですね。魔物の種類も更に増えているでしょうし。ここからが本番って感じですかね?それでどうします。3層覗いてみますか?」


俺が寒さに耐性があるせいで、正確な温度を伝えられないから実際に体験して貰う必要がある。


「疲労している状態で、更に体温が奪われるのは流石に危険なので、この水温計を持って白鹿さん一人で確認して来ていただけませんか?」


確かにそれが一番安全だし手っ取り早いな。


そう言えば、極端に水温が低くなくたって水中にいるだけで体温は徐々に奪われていく。それは水中呼吸が可能になろうと変わらない。途中で食事をとることも出来ないし……

軍の人達大丈夫なのか?実はやばいの隠してたりしてない?

恵太と晋平は大丈夫そうだな。特殊な訓練を受けていない2人が、やばかったら絶対それを隠すことできないだろうし。

フーラちゃんとジョー君の主ってことで何か補正が働いているのかも?


さっさと3層の水温を測って今日はもう撤退しようと提案しよう。


デジタルの水温計を借りてもう一度3層に向かう。


「マイナス2度…」


そっか海水だから0度以下って事もあり得るのか……


「俺の寒さに対する耐性優秀すぎ…」


ちょっと冷たいなぐらいの感覚だったのに、実際にはマイナス2度だからな。

まぁ、八寒地獄を再現出来るだけの冷気を使ったりするんだかから、そのぐらいの耐性を持っているのも当然といえば当然かもしれない。


データはとれた。早く戻ろう。


魔物にちょっかいをかけられる前に3層から2層に戻る。


「温度測って来ましたよ。3層の水温はマイナス2度でした」


「氷塊が大量に存在すると聞いていたので、予想はしていましたが、やはり今の装備で先に進むのは危険ですね」


その後、2層の調査を続けるか今日は帰還するかの話になり今日は帰還することになった。



ダンジョンを出て、船に乗り港に帰ってくる。報告会を始める前にシャワーを浴びて新しい服に着替える。


今回はダンジョン内で霊体化を解除してしまったからな。全身海水まみれだ。


シャワーを浴びてスッキリしたところでいつも通り報告会をしてダンジョンで色々手に入れた物を鑑定してもらった。


「それにしても明日はダンジョンの調査やすみか〜何しよう」


3層を探索するために必要な装備の手配の為、明日は休みとなった。因みに、俺以外の人が、ダンジョンに入る為に来ているウエットスーツ。体温調節機能がついているので、3層程極端な水温でなければ、長時間水中にいても体温が奪われる事は無いらしい。

いやほんとに軍の技術力どうなっているんだろうね?



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読んでいただきありがとうございます。




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