第32話
「まぁ、結局どちらが勝っても決着がついて油断している間に攻撃して倒す。それしか無いか」
その時が来るまでバレないように潜伏する。
その間にしっかり観察する事で弱点的なのを見つけられると尚良し。
「ウツボの動きが鈍ってきたけど。幽霊船の破損の再生速度も落ちて来たな。そろそろいつでも行けるように一層集中しないと」
戦闘はずっと幽霊船の方が優勢。
砲撃をくらい続けたウツボの動きが鈍って来ている。
しかし幽霊船の方も意外と消耗しているようで、ウツボに破壊された部分が修復される速度が目に見えて分かるレベルで落ちている。
そろそろ、決着が付きそうだ。そう思いながらみていると幽霊船が勝負を決めるつもりか。自らウツボとの距離を縮め始めた。
よく見ると幽霊船に乗る幽霊海賊達がクロスボウのようなものを構えている。
クロスボウのようなものを構えた幽霊海賊達が次々と弓矢を発射していく。
よく見ると弓矢には糸がついていてその糸はクロスボウのようなものに装着されているリールに繋がっている。
まさかアレって、と気づいた瞬間。弓矢がウツボに刺さった幽霊海賊からどんどん幽霊船から飛び降りていく。
飛び降りた瞬間。クロスボウのようなものに装着されているリールが自動で糸の巻取りを始める。
リールが糸を巻き取ることで幽霊海賊がウツボに張り付き。持っているカトラスでグサグサ刺してダメージを与えていく。
砲撃の方が威力高そうだけど。数の暴力ってことかな。
ウツボは砲撃をくらっているときより痛そうにのた打ち回り古代遺跡に体をぶつけ幽霊海賊を振り落とそうとしている。
けど。幽霊を、そういった物理的な方法で振り落とす事は当然できず。現在進行系でウツボに張り付く幽霊海賊が増えていっている。
これは完全に勝負あったな。そう思った瞬間。
ウツボが咆哮を上げながら全身から放電する。
それによってウツボに張り付いてチクチク攻撃していた幽霊海賊は一層される。
そんな事が出来るなら最初から使えば良かったのにと思わなくもないけど。
なんか使えない理由があったのかな?
放電するにはダメージを受けると発電する能力によって発電する必要があるから。一定以上のダメージを受けてからじゃないと使えないとか?
ウツボは全身から放電させたまま幽霊船に突っ込みさらに激しく放電する。
「惜しいな後数秒でも維持できれば勝者は逆だったかもな。それじゃ、最後の良いところは俺がもらっていきますか」
激しい放電は幽霊船にかなりのダメージを与え。このままだと、まさかのウツボの逆転あり得るか?と思ったが。放電が止まりウツボが消滅した。
ウツボの最後の特攻のお陰で幽霊船も相当弱っている。
ウツボと幽霊船の戦闘をゆっくり観察することが出来たおかげで幽霊船のコア的な部分が存在する事に気づけた。
ウツボとの戦闘でダメージを受けている事を考えるとコア部分を攻撃しないと一切ダメージを受けないって訳じゃないけど。
コア部分を攻撃したほうがダメージが出るはずだ。
完全透明化を解除して氷柱を作り。幽霊船のコア目掛けて発射する。
幽霊船は自身の修復に集中するためか一切動かなかったので狙いを定めるのは簡単だった。
発射した瞬間。気付かれたけど問題ない。
幽霊船が回避行動をとるより早く氷柱がコアを貫いた。
それにより幽霊船は形を保てなくなり崩壊。そのまま消滅した。
「思ったより簡単に貫けてほんとに良かった」
不意打ちだとしても一撃でコアを貫けると思わなかった。
最悪、霊体化解除して頞部陀地獄を使う必要が
あるかもとか考えてたから本当アッサリ行って良かった。
「恐らくだけど。ウツボの最後っ屁放電のお陰だろうな」
最後っ屁放電は幽霊船全体を巻き込んで攻撃していた。隠れていたコアにもダメージが入ったんだろうな。
「それはそうと。この宝箱…中身に期待できそうだ」
幽霊船が消滅した後、目の前に出現した宝箱に
視線を向ける。宝石とか貴金属で装飾がされているし、中身に期待ができる。
一応罠を警戒して氷で長めの棒を作って蓋を開ける。
「グローブ?」
罠が発動しないことを確認してから宝箱に近づき中を確認すると、そこには布製の手袋が一組入っているのみだった。
見た目が普通なだけで効果は凄いかも知れないし、持ち帰って鑑定してもらう為に手にとって袋にしまう。
空になった宝箱が消え宝箱のあった場所に魔法陣が出現する。
恐らく帰還する為のものだろう。これで軍の人たちのタイムリミットより前に合流する事ができそうだ。
「良かった良かった」
直ぐに戻ろうと魔法陣の上に乗ろうと移動するが乗る直前に、そう言えば幽霊船の魔石を回収していなかった事を思いだす。
上を見るとぷかぷかとゆっくり浮上している魔石を見つけた。
「イレギュラーより強い魔物の魔石を放置するところだった……あ~そっか霊体化中だから
そのままじゃ持てないんだった。あれ?なんでさっきの手袋普通に持てたんだ?」
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