第30話

「次は魚の切り身ですね」


魔法金属は最後のお楽しみか。


「切り身に関してですが全て食べれるみたいです。生食も可能です」


「えっシャケの切り身も?」


「はい。ダンジョンには寄生虫が存在しない為、生食しても当たることはないそうです」


魚自体が毒を持ってたりとかも有りそうだけど。今回鑑定したものはその心配も無いとのこと。


「成る程。それなら納得」


刺し身にしても確実に当たらないって結構便利だな。


ホテルに戻ったら早速食べてみよう。



「最後に魔法金属。ですが魔鋼と言う魔法金属のようです。魔法金属の中ではパッとしない性能のようですが、そうでない一般の金属より高性能や武器、防具に加工する事が出来ます」


「魔鋼ですか。つまり合金って事ですか?」


鋼というと鉄の合金な筈だけど。


「それがどうやら違うみたいです」


鋼と名前に入っているが鉄の合金である鋼とは全くの別物という訳だな。


「そこそこ優秀なんだろうけど。俺には使い道がないのがな」


武器と防具使わないからな俺。

という訳で探索者協会に売却した。

あぁ後、魚の切り身も食べ切れる量を除き売却した。

融けない氷で冷やしているから数日はそのままでも傷む事は無いだろうけど。

一週間、貝王町ダンジョンに調査に行くんだから、追加で食べたいならその時穫れば良いだけ。取っておく必要はないだろう。


これで今日やらなきゃいけないことは全部終わったな。


その後は貝王町ダンジョンを調査する期間ホテルまで戻ってきた。


このまま部屋に帰る……前に近くのコンビニに向かう。

刺身醤油は売って無くても醤油とかチューブわさびとかなら売ってる筈なので買いに行くためだ。



「買う予定無かったものまで買っちゃった」



コンビニに行くと予定になかった余計なものまで買ってしまう、あると思います。


ついつい買ってしまった。レジ横に陳列されているホットスナックを食べながらホテルに戻る。


「あー!!包丁がない」


ホテルの部屋に戻ってきて重要なものを忘れていたことに気づく。


と言っても、もうコンビニぐらいしか営業してない時間だし。コンビニには包丁売って無いだろうし。

コンビニにいるときに気づいても遅かったろうな。


「どうしようか……」


流石に切らないでそのまま食べるのはアレだし。


「うーん。バレなきゃ良いか」


氷で包丁を作る。これしかない。


刃の部分を薄く作れば魚を切ることぐらい出来る筈だ。ただの氷じゃないから薄く作っても強度の心配することもない。


そうと決まれば早速作ろう。

その前にパックご飯を電子レンジでチンしたり、インスタントの味噌汁を飲むために電子ケトルに水を入れてスイッチを入れておく。


こうしておけば。魚を切り終わったら直ぐに食べれる。


お腹すいたし、どんどんいこう。

氷で包丁を作り出す。

バレたら問題だけど。バレなきゃ大丈夫。


切り身を包む氷を融かして一口サイズに切っていく。


美味しい切り方とかもあるんだろうけど。

今日は気にしない。


それっぽく切って買っておいた紙の平皿の上に載せていく。


今回は漬けたりはせずにそのまま。


パックご飯とインスタント味噌汁、お刺し身盛り合わせ。


「いただきまーす。普通に美味しい」


これからは魚が食べたくなったら貝王町ダンジョンに穫りにいこう。

新鮮で味も良い。切り身を獲るだけなら危険はゼロってのも良い。


刺身を満足するまで食べれるって事自体最高だよね。


満足する晩ごはんを終えてシャワーを浴びて明日に備えて直ぐに寝る事にした。




次の日。

今日も朝から貝王町ダンジョンの調査に向かうため船に乗っている。

一人で行くなら飛んで行くんだけど。

今回は昨日言っていた通り昨日おれが調査した範囲を桜花軍の人が調査する為、今日も船でポイントに向かっている。


「お~それが、ダンジョンの素材も使って作られている超最新型のウエットスーツにリブリーザーですか」


今回、ダンジョンに入る軍の人たちが装着している装備について質問する。


「はい。詳しく説明する事は出来ませんが。ダンジョン外でも水深40mで最大2時間まで安全に活動できる性能を持っています」


凄まじい性能だな。まるで、ダンジョン内で手に入る。ダンジョン内のみで効果を発揮するアイテムみたいだ。


一番凄いのは、それがダンジョン外でも使えるという事だろう。


いつかは一般人にも、このレベルの便利な道具を使えるようになる日が来るのだろうか?

今までに比べて高性能すぎるぶん逆に問題が起きたりしそうで。そんな日が来るのが楽しみなような…来てほしくないような…


まぁ、今すぐそんな時代は来ないだろうし。今はそんな事考える必要は無いだろう。


「白鹿さん。これをお渡ししますので、ダンジョンに入る前に装着をお願いします」


「これは?」


「小型の無線機です。これがないとダンジョン内でコミュニュケーションがとれないので」


「無線機ですか?ダンジョン内では魔力のせいで無線機の類は一切使えないんじゃ?

それでも渡してくるってことは、それをクリアした機密たっぷりの超最新型って事ですね」


「はい。そういう事です」


本当、凄いな軍の最新技術。

あったほうが便利なのは確かだし有り難く使わせて貰おう。



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読んでいただきありがとうございます。





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