第29話

「こんなものが手に入るとなると、こんな環境のダンジョンでも、それなりの数の探索者が集まりそうだな」


かなり確率は低いだろうが、魔法金属が宝箱が出現した。しかも、宝箱の数が多めのダンジョンらしい。

なんて噂が広まったら確実に覚醒者は集まってくるだろう。


と言っても。これと同じ金属を手に入れたところで利益的にはマイナスになりそうな気もするけどね。正直、魔法金属といえど、そこまで強力な金属じゃないと思うし。


取り敢えず。今日の探索はここまでにしよう。

報告の時間もあるし。切り身たちを回収してはいるけど。ちゃんと食べれるものなのかとか

ポーション、鉄っぽい魔法金属等、鑑定してもらいたいものも複数あるからね。


というわけで、初日の調査はここまで。

コンパスを頼りに入口まで戻り。一番近い港まで無事に戻ってきた。


「白鹿さんお帰りなさい。怪我もないようで安心しました」


「思ったより危険は少なかったので割りと気楽な調査でした」


「そ、そうですか……」


なんか探索者協会の人に引かれてる気がするけど。事実だしな。


身の危険という点ではイレギュラーと戦ったときのほうが数倍上だった。


環境が特殊とは言え、霊体化のおかげで俺には無関係だったし。完全に気を抜いていた訳では無いけど。割りとリラックスモードで探索していた。



「早速、報告といきたいんですが。色々鑑定してもらいたいものが有るんですよね」


貝王町ダンジョンで入手したものを鑑定出来るように。鑑定スキルが使える人が来てくれてはいるが、その人は覚醒者なのでダンジョンの中でないと鑑定をしてもらう事が出来ない。

かと言って貝王町ダンジョンの中に行くわけにもいかない。


なので、貝王町ダンジョンとは別のここから近いダンジョンに向かう。


近いと言っても高速等の有料道路を使って2時間かかるから、それなりに離れている。


なので、港に設置されたプレハブ探索者協会支部で報告してから、そのダンジョンに移動っていうのは正直辛いので報告は移動しながらしたいけど……


「申し訳無いのですが。流石に移動しながら報告は……」


ですよね。流石に新しく見つかったダンジョンの報告を移動の片手間でってのは許されないですよね……


諦めて、プレハブで報告をすることに同意する。

まぁ、調査を依頼されてるからちゃんと給料がでてる訳だし。このぐらいで文句を言っちゃ駄目だよね。


「という訳で、現状調査をした範囲では切り身を集めるだけなら結構安全。海底の砂に埋まる宝箱を狙うなら、その分リスクを追うことになるという感じでした」


「成る程……参考までにですが。貝の発射する針を防いだ氷の盾の耐久をお聞きしても?

勿論、秘密と言うなら無理に聞くつもりは有りません」


写真と動画、俺が持ち帰った現物を交えながら報告を終えると。

桜花軍の人から質問が飛んできた。


「硬さですか…う~ん。同じ厚さの鉄よりは硬いんじゃ無いですかね?あのときの氷の盾はそのぐらいの硬さだったと思います」


あのときは正直。そこまで硬さを意識せずに作ったから、どのぐらいと言われても少し困る。


ただまぁ、硬さについて意識しないで氷を作ると、だいたい鉄よりは硬い感じになるので多分そのぐらいのはず。


「成る程。参考になりました。ありがとうございます」


軍としても、超低確率でも魔法金属が手に入るなら自分達で宝箱を回収出来るか取り敢えず考えるよな。


「それで、明日はどうしましょうか?先の階層を目指しますか?それとも最初の階層で宝箱探しをして、どれだけの数、回収出来るか。

中身はどんなものが多いのか調べますか?」


どちらも重要度高いと思うので。クライアントに、どっちを優先するか確認する。


「探索者協会としては白鹿さんには先を調べてもらいたいのですが……」


「桜花軍としても白鹿さんには先を調べてもらう方針です。最初の方ならスキューバ装備でも、調査することが可能なので」


まぁ、確かに。制限時間がない俺はどんどん先を調べた方が良いよな。


「わかりました。それでは明日は進めるだけ先に進むということで」


これで今日の報告会は終了。ということで今から俺が持ち帰ったものを鑑定する為に車で移動だ。


移動中は目茶苦茶暇なので。魔力制御の練習をすることにする。


到達者になれば、ダンジョンの外でも魔力制御を鍛える事が出来るからな。

最近は移動中とか空いた時間は何時も魔力制御を鍛えている。


色々、物騒だからね。できることをして、どんどん強くなっておかないと。


2時間は長いなと思っていたけど。

魔力制御の訓練に集中していたら、あっという間に目的地に到着した。

ダンジョンの中に入った後は鑑定スキルを持っている人には鑑定に集中して、他の人達で周囲の魔物を殲滅する。



「全部の鑑定が終わりました。先ずはこのポーションから説明しますね」


「はい。お願いします」


「軽度の怪我を即時に治してくれるポーションです」


うんまぁ、予想通りだな。効果がちょっとショボいけど。持ち歩いておくと役立つ事もあるかも?



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読んでいただきありがとうございます。








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