第28話

氷で大きな熊手を作り砂の中に隠れる魔物を掻き出す。


「そうかも?とは思ってたけど。マジでアサリじゃん」


砂の中からラグビーボールサイズのアサリが顔を出した。


水管から針を飛ばしてたわけか。

姿もしっかり撮れたことだし、これでオッケー

アサリを倒して魔石を回収する。


「うーん。貝王町ダンジョンの序盤は海底に近づかない限りかなり安全って事で良いのかな」


潜んでいる場所も分かりやすいし。遠距離攻撃手段があれば安全に水属性の魔石を集められる?


いや、それでもスキューバ装備をしてまでここに来るにはメリットが弱いかな。


それにしても、ほんとにアサリすぐ見つかるな。


新たに見つけた穴の周辺に氷柱を飛ばす。


氷柱が海底に突き刺さった瞬間。海底で大爆発が起きる。


霊体化中なので爆発によるダメージは一切無いが、一体何故爆発したんだ?



爆発により舞い上がっている砂をよく見ると、木片や金属片、ガラス片が混ざっているのが見える。


「もしかして、宝箱が埋まってた?」


さっきの穴の周囲には魔物のアサリでは無く

一定以上の衝撃を受けると爆発する罠が仕掛けられてる宝箱が埋まっていて、氷柱が当たった衝撃で爆発した?


態々海底に近づくメリットが無いと思ったけど。


穴の周囲に魔物だけでなく宝箱が埋まっている可能性があるなら、海底に近づく理由になるよな。


さっきの宝箱みたいに爆発するなら、遠距離攻撃して、魔石が浮かんできたら埋まってたのは魔物って判別方法が使えないから、近づいて直接確認するしか無いだろうし。


海底に近づく理由が薄いと思ってたけど。宝箱が埋まっているとなればリスクを追って海底に近づく理由になる。



いや、宝箱が同じように砂の中に埋まっていると決まった訳では無いけど……


そこら辺も確認するのが調査だよな。



「おっ。穴から針が飛んで来ない…」


海底に穴を見つける度に近づくと針が飛んで来るので避けて反撃、浮いてくる魔石を回収。

これを50回程繰り返し、やっぱりそう簡単に宝箱は手に入らないよなと思いながら新しく見つけた穴に近づくと、いつものように針が飛んで来ない。


これはもしかして……

手で砂を掻こうとしてすり抜ける。

つい手で掻こうとしたけど。霊体化中だから無理だった。


こういったとき面倒臭いな。練習すれば手だけ霊体化させないとか逆に手の部分だけ霊体化させるとか出来るようにならないかな?

出来る気はするけど。それには魔力制御をもっと鍛えないと無理だろう。

今は無理なのは分かりきっているので大人しく氷でスコップを作り慎重に砂を掻いていく。

勢い良くやった結果、氷のスコップが宝箱にぶつかりトラップ発動で宝箱爆発とか嫌だからね。


まぁ、これも俺の予想なので無意味に慎重になっている可能性も有るけど……その時はその時だ。


慎重に砂を掻いても潮の流れで砂が漂い直ぐに

戻ってきてしまう。


「あーもう面倒くさい!!」


爆発しても良いやと思い少し海底から離れ、

大きなザルを氷で作る。


そのザルを操って宝箱が、埋まっていそうな場所の砂ごと掬い取る。


宝箱が有れば砂は目から落ちて宝箱だけザルの中に残る筈だ。


「よっしゃ!!成功した。最初からこうすれば良かった」


作戦通りザルの中にRPGとかに出てくる如何にもな宝箱が残っていた。


「やっぱりだけど。リポップする中身があんまり期待できないタイプの宝箱だな」


宝箱自体見るの初めてだけど。

リポップしないタイプは宝箱からして豪華って話だし。

特に装飾もない大部分が木製で縁や金具部分のみ金属で出来ている宝箱はリポップするタイプで間違いないだろう。


確認してみると鍵も掛かってないというか鍵穴がなかったので恐らく鍵自体存在していない。

上部分を持ち上げるだけで簡単に開くはず。

氷の棒を使って宝箱を開ける。


「これはポーションだよな?」


ガラス瓶の中に入った緑の蛍光色をした液体。

効果に関しては鑑定してもらわないとわからないけどポーションだと思う。

まぁ、リポップする宝箱の中身としては当たりの部類かな。

霊体化中でも持てるようにして回収する。


その後も追加の宝箱を探して、氷のザルで確保。

やっぱり、リポップするタイプではあるが宝箱がそこそこ設置されているみたいだ

この宝箱は開けずに。宝箱が衝撃を受けると爆発すると仮定して、どれぐらいの衝撃を受けると爆発するのか実験に使う。



ちょっと勿体ないけど。宝箱は中身を回収すると消えてしまうので中身事爆発だ。


動画を撮影しながら、氷のザルの中にある宝箱に氷塊をぶつける。

最初はできるだけ威力を弱くして、少しづつ威力を上げる事で、宝箱のオーケーラインを見極める。


「う~ん。思ったより雑に扱っても大丈夫かな」


宝箱は平均的な20代の男性が全力で殴ったぐらいの威力で氷塊をぶつけたときに爆発した。


結構、耐えてくれる気もするけど。覚醒者以上なら身体能力に補正がかかるから油断すると

ふとした事で爆発させそうな気がする。


「ん?ザルのそこに金属のインゴットが落ちてる?」


もしかして、中身が金属のインゴットだから爆発しても無事だった感じ?


見た目は鉄だけど。本当に若干だけど魔力を帯びているので普通の鉄じゃ無いだろう。

本当に若干だからミスリル程凄い金属では無いだろうけど。リポップする宝箱から手に入ったと考えると超大当たりだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



読んでいただきありがとうございます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る