第26話

「さてと。忘れ物がないかの確認もオッケー

それじゃあダンジョン探索といきますか」


リポップしない宝箱、見つかると良いな〜


海中にあるダンジョンの入口の真上付近まで小型船で移動、ここからは霊体化して海底まで向かう。


帰りは港まで飛んで自力で帰る為、俺がダンジョンに向かった後は船は先に港に帰ってしまう。なので忘れ物をすると港まで取りに戻らなきゃいけなくなる。

そんな面倒くさい事絶対したくないので、入念に忘れ物チェックをする。


確認も終わったので、霊体化を発動させ

ダンジョンの入口を目指して海中を進む。


あっという間に海底に到着。

ダンジョンの入口も目立つので直ぐに見つかった。

ダンジョンの外でやることなんて無いので直ぐにダンジョンの中に入る。


「お~ダイビングスポットになるぐらいだから外だってキレイな方の筈なのに、ダンジョン内のが透明度が高い。それに明るいな」


景色に感動するのもそこそこに。

探索者協会から借り受けている北でなく

ダンジョンの入口を指し示すコンパスを確認して感心する。確かに通常なら北を指す赤い部分が常に入口を指している。

海中の中を自由に動いたら入口まで帰ってこれないんじゃないかと心配してたけど。

便利な道具があって良かった。これで心置きなく貝王町ダンジョンを探索することが出来る。


「報告通り、上面は透明な壁が存在して水面に顔を出すことは出来ないと」


事前に聞いてはいたが。実際に確認して見たかったので水面に向かって手を伸ばしながらゆっくり飛んでいくと。水面30cm下程のところで手に何かが当たる。


これが例の透明な壁のようだ。


「攻撃して破壊できるか確認……いや、止めとこう。ダンジョンの壁だろうし。どうせ壊せないだろう」


ダンジョンの壁はゲーム風に言うと破壊不能オブジェクト。どんな方法を使っても破壊することは出来ない。

やるだけ無駄だ。

入り口付近で確認できる事はしたし先に進もう。


現状、何も無い砂地が続いているので何も考えずに進んでいると、遠くに動く物体が見えた。


「えっ!?シャケノキリミ?」


第1魔物だ!!とテンション高めに近づいて行ったら。まさかのシャケの切り身が泳いでいた。

切り身が体をうねらせ泳いでいる姿はぶっちゃけキモい。


「これも写真と動画を撮ったほうがいいんだよな?」


水中で写真と動画を撮れる機材を渡されている。


魔物だったり特殊な場所があったら撮って欲しいという話だったけど……


いや、魔物だろうし撮るべきだよな。

見た目が衝撃的すぎてちょっと迷ってしまった。


というか近づいても全く攻撃してこないな。


因みに霊体化状態でも、道具使えるの?と思うかも知れないけど。

俺が霊体化を使用したときに持っている物は全て自動で霊体化中でも持ったり操作できる状態になる。後からでも魔力を消費すれば、その状態にすることも可能だ。


実体を持つものに物理的に使用する道具は、この状態だとすり抜けてしまうので使えなくなってしまうが。

カメラで写真や動画を撮ったりやコンパスを確認したりは問題ない。



泳ぐシャケの切り身の動画と写真を一通り撮った後、かなり小さめの氷柱で攻撃してみる。

氷柱はシャケの切り身を簡単に貫通する。


シャケの切り身はビクンビクンと痙攣したと思ったらそのまま横に倒れプカ〜と浮かび動かなくなった。


「死んだか?シャケの切り身」


切り身に対して死んだか?とか、その言葉だけ聞いたら、大丈夫疲れてるの?と心配されそうな発言をしながらシャケの切り身に近づく。


「いや、おかしい。魔物だったら死んだら消滅するはずだ。ってことは死んだふり?」


魔物は死んだ後、直ぐに消滅するので死体が残ることはない。


生きてるシャケの切り身なんて奇天烈な存在、魔物以外有り得ない。ということはまだ、シャケの切り身は死んでいないということになる。


俺を油断させて襲うつもりか?


一見無害そうに見せて、シャケの切り身の無警戒にノコノコと攻撃範囲に入って来た獲物を一撃で仕留める。そういった生態の魔物なのかも。


さっきよりも大きい氷柱をシャケの切り身に向かって飛ばす。


当たったら胴体?の半分は消し飛ぶ。

流石に何もアクションを起こさないってことは無いだろう。


「と思ってたんだけどな〜」


予想はハズレ、シャケの切り身は一切動かず。

氷柱が当たり半分シャケの切り身が半分のサイズになってしまった。


「もしかして……魔物じゃない?」


どこのダンジョンでもってわけじゃないけど。

偶に魔物じゃない普通の動物が出現するダンジョンも存在する。


ちょっと信じられないけど。シャケの切り身も魔物ではなく一般動物カテゴリという可能性が出て来た。


確かめる為に半分になったシャケの切り身に近づき魔力を消費し霊体化中でも触れる状態に出来るか試してみる。

生きている生物にはこれは使えないので、成功したら。シャケの切り身は既に死んでいる状態という事になる。


そうなったら死体が残ったということになるから、シャケの切り身は魔物ではなく一般動物カテゴリ確定というわけだ。




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読んでいただきありがとうございます。


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