第17話
「そこまで正直に言う必要はないのよ?」
「いや、どうせ今言ったことぐらいすぐに広まるでしょ?」
鬼童さんだってネットで調べれば直ぐに鬼人って出てくるし。
俺だってそのうちネットで調べたら尸解仙って出てくるようになるだろう。
「因みにこんな感じで氷を作り出せたりもします。しかもこれ地獄の氷らしいですよ」
手のひらの上に氷を作り出して見せる。
地獄の氷と言っても今は火で熱しても一切融けないぐらいの効果しかないけどね。
特殊っちゃ特殊だけど。えっ地獄の氷とか言っといて融けないだけ?名前負け過ぎない?って思っちゃうよね?
けど。この効果のおかげで本来相性悪い筈の火を使う魔物とも普通に戦えると考えると結構
優秀な効果ではあるんだよね。
それに…
「火で熱しても融けないので、ジュースを冷やす氷に最適ですよ」
そう、どれだけ放置しても溶けないので
普通の氷みたいに氷が溶けて水になることで
ジュース等の飲み物が薄くなるという悲しい事が起きなくなるのだ!!
マジで有能な効果だと思う。
「人のスキルの使い方に文句は言わないけど
良いのそんな使い方して……」
「飲み物を冷やすのにも役立つってだけで、それにしか使わない訳じゃないのでセーフです」
夏場のクーラー替わりとかにも良さそうだし!……うん。ふざけるのはこのぐらいにしておこう。
「真面目な話に戻るんですが、イレギュラーを倒した時に聞こえた声ってなんなんですかアレ?」
隠し条件達成やら進化ルート真人、今の種族は尸解仙と色々伝えてくれた声。
鬼童さんも自分が鬼人になった時に似たような声を聞いている筈だ。
「さぁ?現状、到達者に進化したときしか発生しない現象だし。正体については全く分かってないわ。取り敢えずワールドアナウンスって仮称がついてるぐらいよ。あの声について私が知っていることも」
それもそうか。謎だらけだもんな。
それにしてもワールドアナウンスか…たしかになぜだかわからないけど、しっくりくる気がする。
「それじゃ、わざわざ進化ルートって言い方するから、到達者の上がありそうだなってのもよくわかってなかったり?」
普通に隠し条件を達成しました。尸解仙に進化しました。だけでも良いのに、進化ルート真人が解放されました。だからな。
更に先の進化が存在してゴールは真人だよってことだよな多分。
「そうね。普通の進化ルートもアークヒューマン。私も鬼神どちらも今の種族の名前じゃ無いし最低でももう1段階進化出来るとは言われているけど……実際に到達者の先に進化した人類は存在しないから。これも結局なぞね」
「まぁ、そうですよね」
到達者から更に進化した人がもしいたなら凄い騒ぎになっているだろう。
「あっでも、宝箱から黄金の桃が食べると寿命が延びるって言うのと別に仙人が食べると特殊な効果が発動するって聞いたことがあった気がする……」
桃源郷にある蟠桃を食べると仙人なれる的な伝承あるけど。それに倣ってって事か?
既に仙人である人が食べると、だからちょっと違いはあるけど。
「因みに黄金の桃って…」
「手に入ったと記録が残っているのは一回だけ。効果を確認したあと直ぐに手に入れた本人が食べたって話だったはずよ」
寿命が延びるなんて効果の果物。超レアに決まっているよな。
それに、他人が手に入れたものを買い取るとかも絶対無理だろうし。
自分で手に入れないといけない。
それにしても、鬼童さんよくそんな事まで調べているよな。鬼童さんも寿命を延ばしたいと思って調べた事があったとか?
まぁ、わざわざ理由を聞く必要も無いか。
「食べるだけで寿命が延びる桃となると確実にリポップしない宝箱からじゃ無いと手に入らないだろうし……」
ダンジョンで手に入る宝箱には2種類あって
一つが時間経過でおんなじ場所にリポップするが中身が控えめタイプ。
もう一つが中身は結構期待出来るがリポップしないタイプだ。
リポップしない宝箱は早い者勝ち。現在探索されている場所には、もう残っていないだろう。
つまり、その黄金の桃を手に入れたいなら。
まだ攻略されていない場所に行かなきゃいけない。
ぶっちゃけダンジョンが出現して100年も経っているのに攻略されていないような場所って
厄介な環境だったり強力な魔物が出現したりと
難易度が高い場所だ。
リスク高いよな〜
う~ん今は黄金の桃を探すより
レベル上げとか自分の技術の向上に集中したほうが良さそう。
早い者勝ちだからって焦ったら命を落とすことになりかねない。
「黄金の桃を食べることが更に進化する条件の一つにはなっていそうだし何時かは手に入れたいですね……ふぁ~。流石にもう眠くなってきました」
窓から外をみると既に明るい。
終業式が終わってダンジョンに行ったらイレギュラーと戦闘する事になって、なんとか勝ったと思ったら、今度は外国にイレギュラーを討伐しに行く。
改めて振り返ると恐ろしい事してるな。
行きの飛行機で仮眠はとったけど。
流石に眠気がピークで限界だ。
瞼が自然と落ちていきそのまま気絶するように眠りについた。
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