第16話
━━━???━━━━
白鹿、鬼童が探索者協会での報告を終わらせて
空港に向かっているころ。
「結局、鬼童梓の弟子は到達者になってしまったか……」
「申し訳御座いません。やはり鬼童梓の隙をついて妨害というのは難しく……」
「まぁ、相手に鬼童梓がいるんだ。元々失敗前提の作戦。失敗を責めるつもりはないが……これでまた桜花との戦力差がひらいてしまったな」
「本当に申し訳御座いません」
「さっきも言ったが今回お前を責めるつもりはない。それより、実際に鬼童梓の弟子を見た感想を聞かせて欲しい」
「かしこまりました。そうですね……化け物の弟子はやはり化け物と言ったところでしょうか。このまま成長すれば鬼童梓と肩を並べる存在になりうるかと」
「そこまでか…本当にそうなってしまったら桜花との戦力差がどうにもならないところまで開いてしまう。育ち切る前に消すか…」
「その任務、私にやらせていただけないでしょうか」
「そうか。お前なら安心して任せられる。任せたぞ」
「はい。必ずや任務を達成して見せましょう」
━━━白鹿駿サイド━━━
最低限の探索者協会への報告等を済ませて、
帰りのプライベートジェットを手配等で少しバタバタしたが。飛行機に乗ってようやく一息つく事が出来た。
「うへぇ。じゃあ俺フレグナード公国に命を狙われるって事ですか?」
「一部の過激な勢力にね。今すぐ行動にでると関与を疑われるから。早くて2ヶ月後とかかしら」
俺が直接狙われるならまだいいけど。周りを狙われるようなことになったら嫌だな。
「何か先手をうったり出来ないものなんですか?」
「私も穏健派を巻き込んで妨害しようと考えてたけど……そんな事する必要なさそうよ」
そう言ってネットニュースの記事を見せてくる。
「フレグナードでダンジョンからイレギュラーが出てきて現在も被害が拡大中!?いや、マジで、やばいやつじゃ無いですか!!」
俺たちが乗る飛行機がフレグナードの空港から離陸して1時間ほど後に今回行ったダンジョンとは別のダンジョンからイレギュラーが外に
出てきて大暴れしているようだ。
「助けに行く気は……」
「要請があったら考えなくも無いけど。白鹿君が行ったら確実にドサクサに紛れて暗殺を狙ってくるわよ?」
「いや。こんな時にですか?」
「こんな時にだからこそよ。他国にまで殺しに行く余裕は無いけど。自国にいるなら話は別
ここぞとばかりに殺りに来るわよ。簡単に魔物に殺されたって偽装できるし」
「そもそも何で、そんなに殺意が高いんです?」
「フレグナード公国は世界中にダンジョンが出現した時のスタートダッシュに成功してダンジョン関連では世界で一番進んでいると言われてたんだけど。それももう20年ぐらい前の話。
で、上は過去の栄光を取り戻そうと必死なの。
そんな中、更に他国との差が開きかねない存在が現れたから消したくて仕方がないってわけ」
「くだらないって言うのは失礼だと思いますけど。そんな理由で命を狙われる身としては、
たまったもんじゃないですね」
一番に返り咲こうと必死になるのは良いと思うけど。必死になる部分を間違えてるんじゃないかな。
「それと一つ警告。人を助けようとするのは良いけど。手を広げすぎると、ほんとに助けたい人を助けられなくなるわよ。いくら強くなろうと私達は人であって神じゃない。一度に助けられる人数には限りがある」
……冷静に考えてみれば、この異常事態がフレグナード公国のみで起きるとは限らない。
今は起きて無くても時間差で桜花でも同様の事態が起きたっておかしくない。
その時に母さんや妹が巻き込まれているのに
フレグナード公国にいるので助けにいけませんなんてなったら洒落にならない。
言い方は悪いが顔も知らないフレグナードの人より母さんや妹を守る方が大事に決まっている。
そもそも、到達者になって強くはなったが。
レベルはまだ低く、現状の俺は強力なスキルを持っていることを加味しても、覚醒者でレベルを上限まで上げている人達より少し強いぐらいの強さ。つまり強者ですら無い。
他人を助けようとすれば自分が命を落としかねない。
「肝に銘じておきます」
「白鹿君が理解してくれたところで話を変えましょう。先ずは私が集めた情報が一部間違っていた件を謝るわ。ごめんなさい」
「いやいや。謝る必要ないですよ。最初から絶対では無いと言われていたし。鬼童さんは保険もしっかり用意してくれてたじゃ無いですか。
その、間違っていた部分が特殊な到達者に進化する条件にもなってたので、寧ろお礼を言いたいぐらい?みたいな」
「もしかしたらと思ってはいたけど。ほんとに特殊な到達者に進化したのね……」
「俺でも流石にフレグナード公国の人に聞かれたら面倒なことになると思って言ってなかったんですが、はい。真人っていう進化ルートが開放されて今は尸解仙です」
まぁ、鬼童さんには教えてもいいだろう。
寧ろ、隠さず話して色々教えて貰おう。
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