第15話
無効化出来てない?いや、そうじゃない。
普通なら、こんな思考すら出来ずに死ぬ筈だ。そうじゃないってことは霊体化による完全無効化は出来なかったけど対抗は出来てるって感じだろう。
……ってことは、この気持ち悪い感覚に絶えられなくなって霊体化を解除してしまった瞬間死亡ってわけか。
逆に言えば霊体化を解除さえしなければ、
目茶苦茶気持ち悪いだけで死ぬことはなさそうだな。
霊体化状態の俺の姿が老いる様子はないし。
もし、違ったら…その時は俺の判断が間違ってたって事で諦めよう。
まぁでも、そうだった場合もう既に死んでると思うし多分大丈夫だろう。
正直、浮遊しているから地面に倒れてないだけで、そうじゃなかったら気持ち悪すぎて立つことすら出来ない。何だったら一瞬でも気を緩めたら気絶してしまいそうだ。
当然、そんな状態で魔弾を作る事なんて出来ない。
やっぱり楽にイレギュラー討伐なんて出来るわけなかったんだ……けど、やってやる。要はこの気持ち悪い状態に慣れて魔弾を作れるようになれば良いわけだ。
「やってやろうじゃねぇか!」
大声で自身に喝を入れる。
と言っても、どうすれば今の状況になれる事が出来るだろうか?
ぶっちゃけ何かするというよりか。じっとしてなれるしかないよな?
「いや、この状況じゃ魔力制御が上手く出来ないのが問題なわけで…」
目を閉じ体内に取り込んでいる魔力に集中する。
制御に失敗して体内で魔力が、バンッ!!
なんてことになったら洒落にならない。
そうならないように、慎重に少しづつ体内の魔力を制御していく。
負荷をかけた状態での魔力制御の訓練そう考えるとこの状況も割りと悪くない気がしてきたぞ?
うんうん。何かいける気がしてきた。
━━━━━鬼童サイド━━━━━
白鹿君が言っていた方角に走ると白鹿君は既にイレギュラーとの戦闘を開始していた。
イレギュラーの半径5m以内で苦悶の表情を浮かべ動かない白鹿くんをみた瞬間は霊体化じゃ駄目だったのか?と思ったけど。
イレギュラーの半径5m以内に単独で侵入して生きているということは完全に駄目だったわけでは無さそうだと判断。
イレギュラーは現在、白鹿君に時間加速攻撃をしている。つまり今なら私が半径5m以内に入っても時間加速攻撃をくらう事はない。
このまま白鹿君が意識を失ってしまったら霊体化は解除されてしまう。
そうなったら白鹿君に待つのは死のみだ。
白鹿君の表情的にいつ気絶してもおかしく無い。
そうなる前に私が倒してしまうべきだろう。
白鹿君が今回、到達者になることは出来なくなるが死ななければ何度でもチャンスはやってくる。
刀を握り、イレギュラーに近づこうとした瞬間
白鹿君が非常にゆっくりではあるが魔力制御をしている事に気づく。
「白鹿君は諦めてないわけか。それなら邪魔する訳にはいかないわね」
表情も徐々に元に戻ってきているし。
助けに入らなくても白鹿君なら、このままイレギュラーを倒すだろう。
「だから貴方も邪魔しちゃ駄目よ?もし、少しでもその素振りを見せたら……容赦なく斬り捨てるから」
武器を構える邪魔者(案内役)に殺気を飛ばし白鹿君の邪魔しないように牽制する。
それにしても、私の入手した情報を信じてくれた白鹿君には悪い事をしてしまった。
何かお詫びを考えておかないと
━━━━━白鹿駿━━━━━━
「良し。もう時間加速をくらっていようと通常時と変わりなく魔力制御をする事が出来るようになったぞ。気持ち悪さも全く感じない」
集中しすぎてどれだけの時間がかかったか分からないが。
その間、逃げなかったイレギュラーには感謝しないとな。
魔弾を作り出しイレギュラーを攻撃する。
鬼童さんが言ってたとおり。魔弾一撃でイレギュラーは大ダメージを受けて消滅した。
(イレギュラーの単独討伐に成功しました。
到達者への進化が始まります。
隠し条件 〈精神体での千年以上の修練〉〈精神体から元の肉体に戻る〉2件の条件達成を確認。進化ルート真人が解放されました。現在の種族は尸解仙です)
イレギュラーが消えた瞬間。突然声が聞こえた。感情のない機械音声のような感じだったけど……
その声は俺以外には聞こえていなかったようだ。
結構衝撃的な事を言っていたし。聞こえていたなら、恐らく経験したことがある鬼童さんはともかく。案内役は何かアクションを起こすだろが、特に変わった様子はない。
「イレギュラー討伐おめでとう白鹿君。謝らないといけないし。白鹿君も色々私に聞きたいことがあるだろうけど。先ずはダンジョンを出ましょう。白鹿君も疲れてるでしょ?」
謝らないといけない事?
もしかして霊体化で時間加速攻撃を完全に無効化出来なかった事か?
そうだったからこそ隠し条件?を達成できたみたいだし。全然気にしてない。
聞きたい事に関しては確かに色々有るけど…
わざわざ案内役がいる時に聞く必要も無いか。
ダンジョンから出れば案内役とおさらば出来る。そういう意味でも早くダンジョンを出るべきだな。
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読んでいただき有り難うございます。
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