第13話

「でも、それって桜花も許可してくれないとだめですよね?してくれるんですか?」


桜花側に一切メリットがない気がするんだけど。


「許可してくれるに決まってるでしょ。自国民に到達者が増えるという特大のメリットが有るんだから」


それにしたって、パスポート無しで海外に行けるって、簡単に許可が降りる訳無いが可能性があるってだけですごい話だよな。


「はぁ~分かりました。で、いつから行くんです?」


「既に支部長経由で個人的な情報網を使って弟子と相性のいいイレギュラーがフグレナードのヒュルクにあるダンジョンに出現したって聞きました。すぐ行きたいので許可頂戴ってお願いしてもらっているから。許可が降り次第すぐ?」


許可が直ぐに降りるからと言って直ぐに出発するとは思わなかった……


「せめて親を説得する許可をください。お願いします」


出来るだけ危険を避けて活動するって言ってるのに、今日イレギュラーと戦ったってだけで

やばいのに、これから到達者になるために海外に行ってきますとか言える訳がない。

でも、言わないで行くよりかはマシだ。


━━━━



「で、言い訳は良いから駿はどうしたいの?」


許可を貰うために色々言い訳したけど……

それが逆に良くなかったみたい。めっちゃ怖い。


「強くなるために倒しに行きたい」


デスパレードが発生するという話がかなり現実的になってしまった現状強くなるのはもの凄く重要になってくる。


その時になって後悔するのだけは絶対に嫌だからな。



「そう…なら行けば良いんじゃない?ただ、絶対に帰ってくること。これだけは約束しなさい」


「はい!必ず帰って来ます。それでは行ってきます」



えっ今から行くの?って言われた気がするけど。聞こえなかったふりをしてそのまま家を後にした。



「ふぅ〜なんとか良いよって許可は得られました」


当分こんなヒヤヒヤする事したくない。

正直、イレギュラーの攻撃を躱し続けるよりヒヤヒヤしたよ。



「それじゃ、このまま空港に向かうわよ?」


俺が母さんを説得している間に両国からの許可が降りたらしい。

本当に速攻で許可が降りたな……

まぁ、この速さは鬼童さんの探索者としての信用が合ってだろう。


「あっ、待ってください。着替えとか準備してなかったんで、途中で適当なお店に寄って貰って良いですか?」


許可貰って直ぐに出てきちゃったからな。

なんなら着替えどころか学校の制服着てる状態だ。


数ヶ月探索者としてコツコツ稼いでるから、服を何着か買うぐらいの余裕はある。


あ、因みに今は鬼童さんが運転している車に乗っている。

イメージ的にはスポーツカーに乗っていそうなのに普通の軽自動車だったから少し驚いた。


まぁスポーツカーとか整備とか大変そうだし、車が好きとかではなければ、そのほうが良いんだろうな。



「魔物素材で作った服を売っている服屋と普通の服屋。どっちが良いかしら?」


「普通の服屋でお願いします」


魔物素材で作られる服は耐久だったり色々特殊能力があったりするけど。

その分、良いお値段するものばかりだし。

特殊能力は通常、ダンジョンの中でしか使えない。


わざわざ魔物素材で作られた服を着る必要はない。普通の服で十分だ。




━━━━━━━


途中、服屋に寄ってもらい急いで服を購入。

現在は空港の駐車場だ。


「それにしても、プライベートジェットをチャーターですか……」


「プライベートジェットじゃないと武器の持ち込みのために時間のかかる申請をしなきゃいけないし面倒くさいのよ」


確かに飛行機に武器の持ち込みなんて普通ダメだけど。ダンジョンに行く為の移動に飛行機を使う探索者からしたら武器を持っていけないというのは大問題。


というわけで、特別な申請をして武器をガチガチに梱包して直ぐに使えない状態にすることで飛行機で武器を運べるようにはなっている。


でも、それが面倒くさい+時間がかかるという理由で鬼童さんはプライベートジェットをチャーターしてしまった。


探索者として最高位の存在である鬼童さんはものすごい稼いでるんだなと再確認した。


駐車場からプライベートジェット専用の搭乗口に移動して、そのまま搭乗。


席に座り待機しているとプライベートジェットが滑走路に向かって動き始めた。


初めての飛行機に少しドキドキしつつ無事に離陸。


夕飯を食べたり制服から着替え仮眠をとる。


目が覚めたら丁度着陸態勢に入ったところだった。


無事滑走路に着陸し飛行機を降りてレンタカーに乗り空港からイレギュラーのいるダンジョンに向かって移動する。


割りと桜花と変わらないな。

古くに建てられた建物のある観光地とかに行けば全然違うんだろうけど。今回は観光しに来た訳じゃ無いからな。


そんな事を思いつつも外の景色を眺めていると

目的地に到着したようで車が止まった。


「さて、到着したわけだけど。覚悟はいいかしら白鹿君?」


「当然。早くダンジョンに入ってイレギュラーを倒しちゃいましょう」


ここまで来てやっぱり怖いですとか言ってられないからな。こんな事直ぐに終わらせてしまおう。


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読んでいただき有り難うございます。

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