第9話

「目からビームって、そんなのありかよ!」


あのゴーレム、腕を振り回すのやめたと思ったら目からビームを出して攻撃しやがった。


追尾とかしてこないからゴーレムの目が光った瞬間に回避行動をとれば避けられるけど。


目が光る瞬間を見逃したら絶対避けれないぞ

あのビーム。


さっきはなんとなく、やべぇと思って回避行動をとって偶然避けれた感じだし。


霊体化のおかげで一発目は万が一被弾したとしても痛いだけですむが結局、痛みに悶えている間に追撃をもらって死亡だろう。


そもそも一発目の時点でショック死する可能性だって有る、やっぱり攻撃は全て躱さないとダメだ。


飛行能力のおかげで、何とかなっているけど。

一発貰ったらアウトな状況で格上相手の攻撃を躱し続けるなんて極限状態。そう長く続ける事はできない。


早いところ夢境さんの準備が完了して欲しいところだけど……まだかかりそうだな。


━━━━



「待たせたな白鹿」


ヤバいもう精神的に限界。集中力切れてきた

となり始めたタイミングで夢境さんからずっと待っていた報告が。


「ゴーレムの動きを止めるので、その隙に決めて下さい」


そう言ってからゴーレムに急接近して残りの魔力全てを使い霊弾を作る。


そんな事をしたら確実に途中で制御できなくなって自爆する事になるけど……


そのぐらい無茶しなきゃインパクトハンマーで攻撃できるレベルの隙は作れないだろう。


ゴーレムもあのハンマーはヤバいと今さら気づいたのか接近し霊弾を作っている俺をガン無視で夢境さんに向かってビームを撃とうとしているがもう遅い。


制御できなくなった霊弾が弾け俺もろともゴーレムに精神ダメージを与える。


痛すぎて声も出せない。ゴーレムが地面に膝をつく光景を見たのを最後に意識が途切れた。



━━━━


「目が覚めたって事は夢境さんがしっかりイレギュラーを倒してくれたし。俺もショック死することは無かったって事か」


「突然、自爆して意識を失ったから驚いたが無事に目が覚めて良かった。早速で悪いけど急いでダンジョンを出てイレギュラーを討伐したことを報告しないと。白鹿以外にも遭遇した探索者にイレギュラーについて報告してくれとお願いしているから今頃大騒ぎになっている筈だ」


そりゃそうか。俺以外の探索者とも遭遇するよねそれは。


「それにしても、数ヶ月前もこのダンジョンで鬼童さんがイレギュラーを倒しているはずなんだけど……」


イレギュラーの出現は1年に一回あるかないかって話だし、確実に異常事態だよな。

前回のイレギュラーが出現したときだって複数のダンジョンに同時期に出現した時点でだいぶ異常事態ではあったけど。

これは色々備えておいたほうが良さそうだ。


「デスパレード発生論か?」


顔に出てしまっていたか。


「まぁ、完全に信じてるわけじゃ無いですけど。起きるわけ無いと100%否定するのも駄目だろうと思っています」


「まぁ実際に異常事態に直面した身としては

そう考えるよな。俺も、万が一デスパレードが発生した時に妻と子供も守れるように色々準備をするつもりだ」


そうだよね。デスパレードが発生してしまった場合覚醒者である自分たちが生き残るためにというより否覚醒者の親族をどう守るか。

そこが一番重要で難しい。

都合好く近くで守る事が出来るとも限らない訳だし。

そういった時に否覚醒者でも使えて身を守る事が出来る物を準備しておくべきだろう。


とっても、どういった物が良いのか全くわからないんだよな……夢境さんに教えて貰うか。

夢境さんなら聞けば詳しく教えてくれるだろう。



「ところで話が、ガラッと変わるんだがイレギュラーのドロップの分配についてなんだが…」


「ん?全部夢境さんが貰えばいいんじゃないですか?別にドロップが欲しくて助けに入った訳じゃ無いですし」


受けた恩を返すために戦っただけだしなー


「全然ドロップについて聞いてこないからまさか……とは思ったけど。そんなの駄目に決まってるだろ」


「そうですか?それじゃ売却して半分ずつとかで良いんじゃないですか?」


「別にそれでも良いんだが。今回のドロップ売却しないで自分で使うって選択肢も有りだと思うが…」


「ん?あのイレギュラー魔石以外も何かドロップしたんですか?」


通常の魔物の中には魔石以外のアイテムをドロップする種類がそこそこいるが。


イレギュラーだからと言って100%魔石以外の別のものをドロップする訳じゃない。


今回のイレギュラーは魔石しかドロップしなかったんだと勝手に思っていたけど魔石以外の何かをドロップしたらしい。


「今は持ち運びの為にスキルで小さくしてバックパックに仕舞っているが恐らくミスリルのインゴットを5つドロップしている」


「マジですか!」


ミスリルって1kg5000万ぐらいする滅多に手に入らない魔法金属だ。


確かにメタリックな水色してたなイレギュラー


純粋なミスリルはメタリックな水色をしているとを聞いたことがある。


純粋なミスリルを見る機会がある人なんて到達者の中でも一握りだろうけど。


夢境さんも噂からもしかしたらミスリルかもと思ったんだろう。




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読んでいただきありがとうございます。





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