第5話
「ぶっちゃけ。ダンジョンに入って何か変わった感じが一切しないんですよね」
ダンジョンに入るとダンジョン内に充満する魔力を体内に取り込み身体能力の上昇やらスキルが使えるようになる筈なんだけど。
魔力を一切感じる事が出来ないし、身体能力が上がったような感じもしない。
まぁ、身体能力上昇の恩恵は魔物を倒してレベルを上げないと、ほぼ無いって言うし。
今、感じられないのは当然といえば当然か。
でも、魔力に関しては今だって体内に取り込んでいる筈なんだし。感じ取れても良いと思うんだけど……
「スキルを使えない覚醒者は、まず魔力を感じられるようになるところから始めないといけない。けど、スキルを使える覚醒者なら一度でもスキルを使えば強制的に感知出来るようになるわよ」
まだ魔力を感じられて無いだけで今も体内に魔力を取り込み続けている。
スキルを使える量まで取り込んだ後、スキルを使用すると強く念じれば、強制的に魔力を消費してスキルを発動させる事が出来る。
そうすると、あら不思議さっきまで全く感知出来なかった魔力が感知できるように!!
そんな簡単で良いのか?と思わなくもないけど。これもスキル持ちの覚醒者の恩恵の一つって事でガッツリ恩恵を利用させて貰おう。
大体、30分程で体内に取り込み留めておける
限界量まで魔力を取り込めるらしく。
(留めておける限界量が増えれば増えるほど。一度に取り込む量も増えるので、この時間は基本的に、みんな一緒)
その間、ダンジョンの先に少し進むことに
入り口付近で、あれこれやっていると非常に邪魔だからね。
「これが魔物…」
ダンジョンを進んでいると土で出来たゴーレムとエンカウント。
事前にもうすぐ魔物と遭遇するとは鬼童さんが教えてくれてはいたけど。
いざ、こうやって実際に遭遇すると緊張する。
それがたとえ身長1m程度で土製、レベルが低い時に攻撃されたとしても、ちょっと痣ができる程度の強さしか持っていないような相手だったとしてもだ。
と言っても。土のゴーレムは既に鬼童さんによって斬り伏せられ、魔石だけを残し霧となって消滅している。
わかってはいたけど。あっけなかったな。
それにしても、良いな〜日本刀カッコいいな。
俺も使いたくなってしまう。
使いこなせなくて直ぐに諦めるのが目に見えてるけど。それでも憧れちゃうよね〜
「お小遣い程度にしかならないし。これは上げる」
あれは達人が使うからカッコいいのであって俺みたいなド素人が使ったところで、かっこよくなるわけがないと自分に言い聞かせていたら。
鬼童さんが何か投げてきた。
キャッチすると先程倒した土のゴーレムが残した魔石と呼ばれる結晶だ。
確か買取額100円とかだし。鬼童さんからしたら売却したりする手間に見合わないかもだけど……
だからと言って貰うのは……
って言おうと思ったら過去にこういった流れを何度もやった事が有るのか目茶苦茶面倒くさそうな顔をされたので、喜んで頂きますと通学カバンにしまった。
そんな感じで土のゴーレムとエンカウントするたびに鬼童さんが瞬殺して俺が魔石を貰うというのを繰り返しながらメインのルートを外れるようにダンジョンを進んでいると、ハズレルートの終点になっている小部屋に到着した。
「良し。ここならわざわざ来る人も少ないし
邪魔をされることなく練習できるでしょ!
時間的にも充分な量魔力も取り込めたでしょ」
「ついにですか…それじゃあいきます」
変に躊躇して鬼童さんに師事してもらえる時間を減らしたく無いので、直ぐに〈霊体化〉発動しろ!と強く念じ始める。
…が、発動しない。普通はこれで発動するんじゃ?
「魔力制御を鍛えなきゃ発動するのに時間がかかるやつなんでしょ。取り敢えず、なにか変化が起きるまで続けなさい」
そう言われたので、とにかく〈霊体化〉発動しろ〜と念じ続ける。
「ようやく。効果が目に見えて来たわね」
集中していたので実際に、どのぐらいの時間がかかったのか分からないが。体感20分ぐらい経った頃だろうか。
鬼童さんがそんな声を上げる。
「ほら、自分の手の先見てみなさい」
そう言われたので右手を上げて顔の前に持ってくると指先が半透明になっていた。
「おー変化が始まったら後は意外と早い?」
俺の体感だけど20分かかってようやく指先だけだったのに、そこからは1分ほどで肩まで半透明に、そして5分後には全身半透明になっていた。
「全身に効果を発揮する為に先ずは全身に魔力を行き渡らせる必要があって、今回はそれに時間がかかったみたいね」
なるほど。効果が目に見えて来た後は(目に見える状態になる前に比べて)スムーズになったのは、そういう理由か。
ってことは、鬼童さんの最初の予想みたいに
魔力制御を鍛えたら鍛えるだけ発動を早くスムーズに出来るようになる訳だな。
魔弾を撃てるようになるためにも必要だし。
いま最重要で鍛えなきゃいけない技術だな。
「折角、物理攻撃が効かない状態になったんだから。早速、体験してみないと」
無事、魔力も感知出来るようになったし。
ここから始まる本格的な特訓がんばるぞ~と
一人で気合い入れてると、鬼童さんがそう言って躊躇なく斬り掛かってきた。
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