第4話
「ふーん。今年は豊作だった訳だ」
学校が終わり電車で紫陽花町支部に向かう間
ネットニュースを見ていたら。
覚醒者診断で覚醒者と判明した人数が始まって以来ぶっちぎりの一番だったという記事を見つけた。
ひとクラスに覚醒者が4人もいてどんな確率だよって思ったけど。
全国的に覚醒者の数が多かったわけだ。
今までは毎年、少し増えるか前の年と同じ程度といった感じだったのが、爆増と言っても良いレベル突然増えた理由は判明していないが。
新時代の幕開けと言う人や良くない事の前触れだと言う人、ダンジョン由来の技術が大幅に発展する事になるだとか。様々な意見憶測が飛び交っている状態みたいだ。
特に意味もなく本当に偶然今年は数が多かったとかなら良いけど……
「次は〜紫陽花町西〜紫陽花町西〜」
「もう、降りる駅か」
支部に一番近い駅に到着したのでスマホをポケットにしまい席から立ち上がった。
━━━探索者協会・紫陽花町支部━━━
受付で初心者講習の料金を払うと既に教師役が待っていると言われたので、言われた場所に向かう。ノックをすると、どうぞと声が返ってきたのでドアを開ける。
「えっ」
ドアを開けると中にいたのは、鬼童梓。
まさかの事態にドアを開けた状態で固まってしまう。
「申し訳ございませんでした!部屋間違えてしまったみたいです!」
そうだ!俺が部屋を間違えたんだ。ノックする前に3回ぐらい間違えてないかな?って確認してから開けたけど…
そうに違いない。だって鬼童梓が初心者講習の教師役とか有り得ないでしょ。
全力で謝罪してドアを閉めようとしたが
ドアが全く動かない。
いつの間にかドアの前まで移動していた鬼童梓がドアを掴んでいたからだ。
「間違ってないわよ。はじめまして白鹿君
私は白鹿君の初心者講習を担当させてもらう鬼童梓よ。宜しくね」
ハッキリと初心者講習の担当だと言われてしまった……
現実逃避するのはやめよう。ただただ失礼なだけだし。
「白鹿駿です。よろしくお願いします」
覚悟を決めて、ドアノブから手を離し自己紹介をする…するけど、ほんとにどうしてこんな事に?
「どうして、初心者講習程度に私がって顔をしているわね?」
流石に動揺しすぎて顔に出てしまっていたらしい。
いや、でも、しょうが無いでしょ。
鬼童さんが初心者講習を担当するなんてもったいなさ過ぎる。
その時間で初心者ではなく、実力がある探索者を師事したほうが絶対に為になる。
俺が元々、鬼童さんと友好があったとかなら
まだわからなくも無いけど。
当然そんなもの全くない訳だし。
「そうですね。正直、鬼童さんに得なことなんて無いと思いますし……」
「得なら私にもあるわよ?探索者協会とユニーク持ちの将来有望株にいっぺんに恩を売れるんだから」
あ~なるほど。確かにそれなら意味が有るわけか。
それにしても将来有望株か……
桜花最強に言われるとリップサービスだとしても嬉しい。
と言っても、バリバリ活躍して探索者として有名になるつもりは無いけどね。
「白鹿君の性格次第では断ろうとも思ってたけど。全然問題なさそうだし。早くダンジョンで初心者講習始めるわよ」
「えっ。いきなり実地ですか?最初は座学とかするものなんじゃ……」
「なに言ってるの?座学なんて誰だって教えられるんだから、私が教える必要なんて無いでしょ」
確かに、そんな何日も面倒見てくれるわけじゃないんだから座学なんてしている時間無いか。
とは言え後日、しっかり教えて貰う必要はあるだろうけど。
「と言っても。ダンジョンに入る準備一切できてないんですよね……」
今日は元々座学受ける気満々だったから今着ている服だって普通の学生服だし、武器だって何も持っていない。
というか。買ってないから家に帰ったとしてもないんだけどね。
いや~。探索者協会や探索者向けのお店で販売はしているんだけど。初心者用でも結構良いお値段したから買えてないんだよね。
母さんからは既に初心者講習にかかる費用を借りてるので追加でお金を貸してとは非常に言いづらい。
買わないと話にならないのなら、土下座して借りるけど。
スキルが有れば取り敢えず防具はいらないかな?って感じするし…
とは言え、初心者の俺の意見で決めるのは危険だし。どうしようかなと迷った結果取り敢えず後回しにしていたわけだ。
そうだ!丁度良いから鬼童さんにアドバイスして貰えば良いじゃん。
という事で聞いてみる。
「別に要らないんじゃない?此処のダンジョンだったら中層ぐらいまでスキルを使用した白鹿君にダメージを与えられる魔物も出てこないし。武器に関してもスキル使用中は使えないだろうし」
スキル使用中は物理攻撃一切無効というのは
俺が攻撃する時にも適応されてしまうってことらしい。
武器事霊体化して、その武器を使って敵を攻撃したとしても。ただ敵をすり抜けるだけで
ノーダメージってなガンジで。
スキルがなくても武器に魔力を纏わせるという技術があるので、その状態でならダメージを与えられるけど。
それなら、同じようにスキルが必要ない技術に魔力を圧縮、球として飛ばして攻撃に使うというのがあり。こちらのほうが効率良いし。
こっちのがオススメという話だ。
後者の技術を習得すれば、このダンジョンで武器防具無しでお金を稼げるようになるんだから、なんとしても習得しなくちゃだな。
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